51Blog

興味のあることや本の感想などを綴っていく雑記Blogです。

なぜ人は権力に従うのか?それは誰もが「自由」だからです

      2018/08/01

「自由だからこそ、人は権力にとらわれていく」「自由でないことが問題なんじゃない、自由であることが問題なんだ」―そういった直感を、学問というフィールドで表現することはかなり難しいことでした。いくら理屈を積み重ねてもなかなか周囲の人に理解してもらえず、自分は何か決定的な思い違いをしているんじゃないか、そう思うこともありました。そういう試行錯誤を二〇年近く繰り返してきたわけですが、それだけ年を重ねると最初は直感でしかなかったものの姿も、かなりクリアになってきたように思います。この本は、そうやってみえてきた姿を、できるだけわかりやすく説明しようとした結果の産物です。

自由なら、幸せですか?

「自由である」ことの意味はそう単純なものではなさそうです。確かに、特定の選択肢を強制されるのではなく、さまざまな選択肢の中から自分の判断で選択できることの方が、自分にとって、より満足のいく結果を実現してくれるように思います。そういった意味では、誰にとっても、より自由である状態の方が望ましく思われます。たとえば登校時の服装についていうと、学校から指定された制服ではなく、自分の判断で決めた服を着ていく方がお洒落 を楽しむことができるし、服装に、より関心をもつことができそうです。そして大切なのは、服装を通じて、ほかの誰かとは違う自分を表現することも可能になるという点です。もちろん、こうしたことは学校を離れた社会ではごく当たり前に行なわれており、本来取り立てて問題にされることでもないように思われます。いずれにしても、自分をその他大勢の中に埋没させてしまうのではなく、自分が自分であるためには、「自由である」ことは欠くことのできない前提だと思われています。だからこそ、私たちは自由を、私たちの社会においてもっとも基本的な価値の一つとして尊重してきたともいえるでしょう。しかし、「自由である」ことがこのようなものだとすれば、私たちは「自由である」ことによって、いやおうなく自分というものを他者に評価されてしまうといえるかもしれません。たとえば、制服を着ているときであれば、服装によってその人の個性を判断しようなどという人はいないでしょう。ところが、私服であれば、そうする人が出てきても不思議ではありません。

僕の通っていた学校は制服着用が原則だったので、その範囲内でいかに校則から逸脱するかで自己主張していた。男子のスラックスは、テーパードの入ったもの(俗に言うボンタンというやつ)を学ランは長かったり短かったり、女子はスカートの丈を腰で折ることで調節して短くしたり、ソックスを指定のものとは違うタイプのもの(当時はルーズソックスが流行っていた)に履き替えたり。しかしそういった規定もなく制服は一応あるが、着用は自由で私服も許されるとなると自由であることの意義は一気に薄れる。結局大半の生徒は制服を着ることに。

抵抗する、という服従 サボタージュするOLの場合

両者の格差は賃金に現れます。仮に同じ大卒であっても、総合職に就いている社員は歳を重ねるにともなって賃金が上昇していくことが期待できますが、一般職に就いている社員の賃金上昇の程度はそれをかなり下回っていることが予想できます。この格差は、そのまま男女間の賃金格差になるわけです。また、一般職として採用されている女性は、正社員であるにもかかわらず、長期雇用を期待されていません。企業からは、遠からず辞めていく人たちと思われているのです。実はこのことは、OLにとって、その企業で働くことがライフコース上でどのような位置を占めているかに関わってくる大きな問題です。OLは、基本的には新卒採用ですから、大学あるいは短期大学を卒業してすぐにその企業で働きはじめることになります。しかし、OLは、さまざまな出来事をきっかけに、定年よりもはるか以前にその企業を辞めていくことになります。たとえば、OLは結婚をきっかけにして退職します。社内結婚をした女性が退職することになっている企業は少なくありません。また社内結婚でなくても、出産・育児と仕事の両立に困難を感じれば、女性は退職することになります。なぜなら、性別役割分業が前提になっている社会では、出産・育児にともなうコストを結局は女性が負担することになるからです。あるいは、夫が転勤した場合、同居生活を維持しようとすれば、女性は仕事を辞めざるをえません。

最近では彼氏や旦那が非正規雇用であるケースも多く出てきているため、女性であるOLがなかなか仕事を辞めづらい現状も出てきている。そんな中で生き残ろうとすると出産・育児など様々な問題が彼女たちを襲う。結局、出産・育児に関するコストは女性が負うことになってしまう。そこに社会の歪みが生じているようにも思う。

僕たちの住む日本は、自由であるかのように見えるが、様々な不自由のもとに成り立っている。自由という服従とはどんな意味だとタイトルに惹かれて買ったが読んでみると納得。人がなぜ権力に従ってしまうのかという問いに、誰もが自由だからという答えを出した書籍。

 - Book , , , ,