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『日本の居酒屋文化 赤提灯の魅力を探る』マイク・モラスキー

      2019/05/06

「ドクターストップがかかり、酒が呑めなくなっても、居酒屋に通い続けるだろう」――人は何を求め、居酒屋に足を運ぶのか? パリのカフェ、イギリスのパブ、ドイツのビヤガーデンとも異なる、〈第三の場〉としての独自の魅力とは?40年近い居酒屋経験を誇る著者が、北海道から沖縄まで、角打ちから割烹まで具体的なお店(登場軒数120軒)を紹介しながら、その秘密に迫る。

「居酒屋学」の基礎概念

赤提灯のようなローカルかつ小ぢんまりした呑み屋を捉えるために有用な概念である〈第三の場〉と、それに関連する〈所有意識〉を紹介したい。都市社会学で英語の“ Third Place” という概念は、日本語では〈第三空間〉とよく訳されるが、私は本書ではあえて〈第三の場〉と呼ぶ。その理由は、 空間 という表現には抽象的なニュアンスがあるのに対し、本書で用いる〈第三の場〉とは、常連客にとって特定の行きつけの 場所 を指すからである。すなわち家庭でもなく、職場でもない、第三の居場所だが、本書では社会学者レイ・オルデンバーグ( Ray Oldenburg)の The Great Good Place という著書に倣い、次の意味合いでこの概念を規定する(同書は、二〇一三年十月にみすず書房より『サードプレイス』として邦訳版が刊行された)。〈第三の場〉とは、とりたてて行く必要はないが、常連客にとって非常に居心地がよいゆえに行きたくなるような場所である。会員制にはなっておらず、予約などするような場所でもない。いつでもひとりでふらっと立ち寄って、店主やほかの常連客に歓迎される。そして、帰りたいと思ったら、いつでも帰ればよい。その意味では、第一の場所である家庭とも、第二の場所である職場とも著しく違うだろう。ただし、家庭とは異なるものの、「アットホーム」な気持ちでいられることが〈第三の場〉の大きな魅力である。

僕はサードプレイスというとスタバを想起するのだが、お酒を飲む人にとっては居酒屋が欠かせない場所〈第三空間〉と〈第三の場〉となっていることだろう。ひとえにサードプレイスといっても、人によって環境はまちまちなので、それが居酒屋であったり、パブであったり、カフェであったり、バルであったりと多様となっている。僕のようにお酒を飲まない人間には居酒屋はいくらつまみが美味くてもハードルが高い。流石に居酒屋に入って一杯も酒を注文しないのではちょっと問題があるだろう。酒のつまみには美味しいものも多いので、それだけが残念です。

和風酒場の種類と特徴

確かに冬になると、コンビニの店内で「おでん」と記された赤提灯をぶら下げ、 いちおう おでんらしきものを売っているようだが、そもそもあの 殺伐 とした売店の、 煌々 と光る蛍光灯の下で、いったい誰がおでんを買いたくなるのか、私には理解できない。商店街で見かけるような持ち帰り専用のおでん屋にはチェーン店が存在するかもしれないが、それは呑み屋とは違うので本書の対象外である。さらに、スナックも小料理屋もチェーン店がありそうにない。これらの呑み屋がチェーン店に向かない理由はいろいろ考えられるが、概して言えばカウンター中心の小ぢんまりした空間であること、そして店主個人の性格が店内の雰囲気を大きく左右することが挙げられよう。また、スナックや小料理屋ほどではないにせよ、おでん屋には女性店主が比較的多い。女性店主には、男のように次々に姉妹店を開き、居酒屋帝国を築き上げようとする人はあまりいないように思える。おでん屋の場合、小ぢんまりした温かい雰囲気が大きな魅力であり、男性の制覇願望から作られる 帝国 よりも、一軒の居心地よい家庭を大事に守るという気持ちが感じられる。チェーン店の利益至上主義、規範化原理、そしてマニュアル通りの接客にはとうてい向かないだろう。

チェーン展開している居酒屋に比べて、個人経営の居酒屋はハードルが高いように感じる。そこにはいつも常連さんが集い、なかなか一見では入りにくい。そのハードルを見事超えていく強心臓あっての居酒屋巡りである。

〈地〉の味わい

店は街に位置している。なので当然といえば当然のことだが、〈店〉と〈街〉との関係によって居酒屋の味わいがずいぶん変わることがある。一方では、その街ならではの居酒屋がある――ステレオタイプの例を挙げれば、東京の下町のモツ焼き屋や大阪ミナミの串カツ屋、博多の屋台や釧路の炉ばた焼き、あるいは京都や金沢の割烹など。一軒の店を通して、その街の雰囲気を感じ取れることもある。他方では、「えっ?! この街に、こんなところがあったんだ!」と思わせる異空間の店や呑み屋街がある。前述した新橋駅前ビル地下の路地裏のような呑み屋街や、おしゃれなデパートから数歩しか離れていない、大阪梅田地下街の小汚い串カツ専門の立ち呑み屋などが好例である。

都心ではないが、僕の住んでいる溝の口駅、西口商店街にはみる人が見ると寂れた立ち呑み屋がある。この本でも紹介されているので、興味のある方は足を運んで見るのもいいだろう。

赤提灯の魅力を語る、謎の外国人の本。日本の居酒屋についつい足を運んでしまうという著者が語る居酒屋文化はお酒を呑まない人間には理解しがたいところもあるが、僕のように呑まない人だからこそ、その世界に興味がわくこともある。

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