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興味のあることや読んだ本の感想などを綴っていく雑記Blogです。

『困ったことばかりでも、何かひとつはよいことがある。』

      2017/10/19

イエローハット創業者にして、「掃除の神様」として有名な著者が、78年の人生のなかで心がけ、実践されてきた信念、考え方を纏めた最新の言葉集。一見ありきたりだが、99%困った状況にあったときでも、すべてが困ったことばかりではないと受け止めるのが、「分けて考える」こと。たとえ1%でも、必ず光明が射していることを信じ、もてる力を集中する。すると、「どんな暗闇でも、かすかな進むべき道が見えてくる」。

人格は本人の努力と工夫

このことについては歴史が証明しています。あの中国統一を成し遂げた秦の始皇帝でさえ、二代目の胡亥に十分な人格を継承することができていません。その証拠に始皇帝亡き後、またたく間に胡亥は自殺に追い込まれ、国は滅びています。同じような例は、ほかの国や日本でも枚挙にいとまがないほど、繰り返されてきた歴史です。つまりこの歴史的な事実は、初代がどれだけ人格的に優れていても、そのまま継承し得ないという証ではないでしょうか。だとするならば二代目は、自力で築き上げていく以外に方法はありません。ことこの人格だけは、本人の努力と工夫がすべて。人の姿や形を真似しただけでは、通用しないということです。人格は、その人の生き方すべてにかかっているからです。

子孫に残すべきは必要以上の財産などではなく、自分が培ってきた数々の体験で、この体験をなんとかして子や孫に継承できないかと願うのが、イエローハット創業者。いくら財産を残したところで、子孫が、散財すればあっという間に財産など底をついてしまいます。それだけ世の中にはお金をかけようと思えばいくらでもかけられる世界がある。ならば体験を共有し、心に止めることで枯渇することのない経験値を与えた方が良いという考え方。それでもお金のないものにとっては受け継ぐ財産があるって羨ましいものですよね。

人間的な成長へとつなげる生き方

今の日本は、ないものがないと言われるくらい豊かな国になりました。問題はその物質的な豊かさを手にした現在、果たして幸せかどうかということです。現実には、今なお満たされず、不安におののいている人が多くいるのではないでしょうか。人はよく努力の成果として、金・物・肩書きを求めます。ところが、金・物・肩書きに対する欲望には際限がありません。ひと通り手に入れても、さらに欲しくなるのが、私たち人間です。そして、ほしがる分だけ苦しみや不安が増していきます。そこでいまの私たちが心がけるべきことは、努力の成果をこのまま金・物・肩書きに求めるのではなく、人間的な成長へとつなげる生き方ではないかと思います。人間的な成長こそが、落ち着きのある人間性を取り戻す妙薬だからです。

よくネットを回遊してショッピングなどしていると、次々に欲しいものが現れ、とても今の収入では全部手に入れることができないということが起こります。欲しがったぶんだけ、それを手に入れられない苦しみを味わうことに。キャパオーバーな買い物をした後は、「来月は生活していくのに十分なお金がない」などと余計な心配ごとが増えるものです。中にはキャッシングを魔法の杖と勘違いし、限度額ギリギリまで買い物し痛い目を見る人もいるのではないだろうか。テレビであれだけキャッシングの会社がCMを打っているのは、それが儲かる商売だから。僕はあんな高金利で金を借りるなんて自殺行為死んでもできません。今月厳しいからと、何気なく借りた数万円から始まり自分のお金と区別できなくなるまでに多くの利息を払う羽目に。

無駄遣いが横行する社会

たとえばいまの私に、一〇〇円しか所持金がなかったとします。そうすると当然、電話ひとつかけるにしても慎重にならざるを得ません。十分な手持金があるときは、到底考えたこともない使い方を工夫するはずです。時間も同じ。私が若いころ、時間は無限にあるものと信じて疑うことがありませんでした。それだけに、今日できることを翌日に伸ばすような、もったいない時間の使い方を平気でしていました。ところが七十八歳になった現在、どうあがいても私の持ち時間は限られています。そういう年齢になってやっと、時間の貴重さをひしひしと感じています。遅まきながら「今日やれることは今日中にやる」をモットーに過ごしている毎日です。このように、お金も時間もあり余ると無駄にします。同様に現代社会もまた、このあり余り現象に陥っています。衣食に限らず、あらゆる生活用品に至るまで。その結果、無駄遣いが横行し、使い捨てが当たり前になっています。こうした状況も、あり余りの弊害以外の何物でもありません。

現代社会特有の無駄と言えば代表的なのが、廃棄される食料の多さなどが挙げられる。コンビニのお弁当なんかは、廃棄する前にスーパーみたいに半額の札を貼れば買っていく人は増えて廃棄処分されるものも減るだろう。なのにいっこうにコンビニでは廃棄がなくならない。

イエローハット創業者が綴った珠玉の言葉が現在の社会のひずみを浮き彫りにする。生きていく上で何を優先するかを考えさせられる書籍。困った状況の中でも、何かひとつ光明を見つけてそれを頼りに生きる妙薬がここに。

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