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働き方改革の経済学 少子高齢化社会の人事管理|八代 尚宏

少子高齢化が止まらない。でも格差がなくならない限りこの問題は解決しないのではと思う。金銭的に厳しくてあるいは結婚できなくて子供を諦めている人によって子供の数は少なくなるが、お金持ちが子沢山かというとそうでもない。この先ゼロ成長が続くであろう日本の働き方改革をみていこう。

日本の解雇規制の現状

労働基準法では、国籍や信条等の差を理由とした解雇を禁じている。また業務上災害の療養期間や産前産後の休業期間中の労働者の解雇を認めれば、それらの制度の意味がなくなるために禁止している。これは適法な組合運動や性別を理由とした労働組合法や男女雇用機会均等法上の解雇の禁止規定についても同様である。第三に、正当事由を欠く解雇の禁止がある。上記の二つの規定は、特別法に定められた場合を除き、解雇予告・解雇手当の手続きを踏めば、日本の使用者はいつでも労働者を解雇できるという「原則として解雇自由」の世界にいることを意味する。しかし、そうした法律上の規定は、現実に多くの企業が正社員には長期雇用保障を約束する慣行と整合的ではない。このため不況期に解雇される労働者が増えた1970年代に、裁判所が生み出した判例法の集大成が、「解雇権濫用法理」である。これは「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」というものである。それが2008年施行の労働契約法( 16 条)にそのままの形で条文化された。ここでは使用者には解雇権があるが、それを濫用してはならないという民法の一般ルールの原則を述べただけである。本来は、こうした総論に続いて、何が解雇の「客観的・合理的な理由」であるか、または「社会通念上相当」な解雇に当たるかという具体的な基準を示した各論がなければ、およそ紛争解決の手段として実効性に乏しい。しかし、そうした具体的な基準の作成についての労使の合意が得られなかったことから、総論部分のみの解雇法制となり、その具体的な解釈は相変わらず裁判官の心証に依存する状況が続いている。

正社員だと解雇しづらいので非正規雇用が増える現状。工場なども商品が売れてラインを増やす時には気軽な非正規労働者を期間を切って雇用するなんて会社も少なくない。サービス業などだとほとんどがアルバイトと非正規雇用の人材で繋ぎ止めているのは大企業に勤めているというステイタスだけなんてことも。僕もかつてはそうだった。

残業依存の働き方改革

政府が進めてきた「働き方改革」の内で、もっとも明確な成果が得られたものが、2017年3月に安倍晋三総理が経団連と連合の会長の合意を取り付けて実現した残業時間の上限規制の設定であった。これが労働政策審議会の建議としてまとめられ、それにもとづく労働基準法の改正案が2017年秋の臨時国会に提出されることになった。これまでも労働基準法には残業時間の上限規制自体は存在していたが、労働組合の合意さえ得られれば、残業を青天井で増やすことができた。この抜け穴を防ぎ、罰則付きの法律で残業時間の上限を守らせる改正案ができたことは画期的である。また、これと一体的に、労働時間の長さではなく成果にもとづく専門職の働き方を定めた「高度プロフェッショナル制度」についても、一定の相互理解が得られたことは大きな成果である。これらは、いずれも残業手当に依存した旧来の働き方の抜本的な改革をもたらすための第一歩となる。もっとも、これらの働き方の規制改革は、その取締りの実効性なしには成功しない。労働基準監督署の機能強化により違反企業を確実に取り締まれる監視体制の強化が不可欠となる。

働き方の多様化を求める働き方改革で、正社員が余計に残業にさらされる悲劇が起きるなんて。労働基準監督署の監督強化が求められる。

「40歳定年制」の意味

高齢者雇用を促進するために、定年制の引き上げではなく、逆に引き下げるという「コロンブスの卵」というべき提言がある。この「 40 歳定年制」を提唱した柳川(2013)によれば、大企業で、①国際化の進展や情報技術の発展等、経済社会環境に大きな変化が生じていること、②それに対応した必要なスキルを習得できない中高年社員と年功賃金とのギャップの拡大、③それにもかかわらず同一企業にとどまり続ける雇用慣行、等の組み合わせが存在する。これらの結果、企業内で長い仕事経験をもつ高齢社員が、その能力を生かすポストがなく、社内失業の状態にある場合も少なくない。こうした人材にとって、現在の企業内で新しい環境の下で通用する技術を取得するか、それが困難であれば、旧来の技術を求めている中小企業への転職のいずれかが必要とされる。例えば、ベンチャー企業を立ち上げた創業社長が、事業規模の拡大にともない、人事管理や経理などのサポート部門を担ってくれる中堅人材を必要とする場合である。高齢者が長い経験で得た仕事能力と、若年者の新しい情報処理能力とは、代替関係ではなくむしろ補完的な関係がある。また、大企業で得た経験を生かし、高齢者が新しい会社を設立すれば、若年者の新たな雇用を生みだすこともできる。

40歳定年制はもし導入されたら雇用の流動化によって案外うまく回るかもしれない。管理職につける能力のある人材だけが会社に残ることが出来、それ以外の人材は自己責任で他の職場を探し再就職を目指す。そうなってくると、大企業に入ってあぐらをかいていただけの人材は弾かれるのだ。

少子高齢化で働く人が徐々に減っていく世の中で、働く人間がどうあるべきかを考えさせられる書籍です。働き方改革を経済学的視点で読み解きます。

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