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「自分に気づく」と辛い人間関係から抜け出せる

      2018/02/21

自分の気持ちを相手にうまく伝えられない、友人や恋人に過度に依存してしまう……など、友人や恋人、職場の同僚など、周囲の人とよい関係が築けない人は少なくありません。他人とよい関係を築けないのは、その人の「性格」のせいではありません。背景には「発達性トラウマ」という問題があることが少なくないのです。本書では、発達性トラウマの問題に20年以上取り組んでいる著者が、対人関係問題の根っこに存在する「発達性トラウマ」とはどんな症状か、さらに発達性トラウマを抱えた大人が、他者とよい関係を築いていくにはどうすればいいのかをわかりやすく紹介します。

発達性トラウマが、人間関係に歪みを生む理由

発達性トラウマを抱えている多くの人は、他者との関係を築く時の基礎である大事なものを育てることができていません。そのために、他者との関わりがうまくいかなくなるのです。その大事なものとは「自己肯定感」です。自己肯定感とは、その言葉の通り、自分は「それでいい」と、自分で自分のことを肯定する気持ち、自分を価値あるひとりの人間として認める気持ちです。自分を認める気持ちである自己肯定感と人間関係は、一見関係ないことのように思えるかもしれません。しかし、他者と良い関係を築いていくうえで、自己肯定感は欠かせないものなのです。

知らない間に抱えているかもしれない「発達性トラウマ」それは幼少期に受けた心の傷です。発達期にある子供の頃に受けたトラウマが、大人になっても残ったままになっていることで、心身に異常をきたします。その症状の一つに他人との関係がうまく築けないというものがあります。トラウマの原因としては、「いつも親に話を聞いてもらえなかった」「兄弟の方が、常に可愛がられているように感じた」「頑張ったのに、母親にずっと褒めてもらえなかった」など他人から見ればちょっとしたことがトラウマの原因になることも。このような小さな原因で発生したものを「発達性トラウマ」と定義して話を進めていきます。

発達性トラウマが与える脳の影響

では、発達性トラウマが脳内に具体的にどのような異変を起こすのか、順を追って説明していきましょう。脳内のネットワークの中には、他者とコミュニケーションをとったり、社会生活を送るうえで重要なカギとなる「社会性脳」のネットワークがあります。社会性脳はおもに、次の5つの回路からなっています。

  • 感情の中でも不安や恐怖を強く感じる「恐怖の回路」
  • 他人の感情や感覚に共感するための「共感の回路」
  • 無意識に相手と同じ行動をとる「同調の回路」
  • 他者視点を持ち、自分を客観視するための「心の理論の回路」
  • 過去の記憶を未来に結びつける「デフォルトモードの回路」

これら5つのうち、恐怖の回路の中心的役割を果たすのが、「扁桃体」。すぐそばに「海馬」という記憶を司る部位があるので記憶にも大きな影響があります。一方、共感や同調、心の理論、デフォルトモードの回路は、進化の過程で比較的最近できた新しい脳である「大脳皮質」にあります。デフォルトモードの回路とは脳が外部からの刺激を受けていない時に働かせている「自己内省する時に働く脳の回路」です。様々な病気や障害によって、デフォルトモードの回路に異常が起きることが近年明らかになってきました。これら5つの回路が統合的かつ柔軟に機能することで、私たちは社会性を発揮するのです。しかし、子供の頃にトラウマの原因となる出来事があるとこれらの回路の連携が不十分になり、社会性が十分に発揮されない事態に陥り、自己肯定感が育まれにくくなるのです。

弱すぎる親も、トラウマの原因となる

親が「弱すぎ」て、子どもが素直に親に甘えることができない場合も、子供の心にはトラウマが残ることがあります。そのような子は他の子のようにみんなと遊びたい、親に甘えたいといった、子どもなら誰にでもある欲求や気持ちを押し殺し、ときには親の愚痴を聞き、ときには相談に乗ります。「弱い親」を精神的に支えるその姿は、まるで「小さなお母さん」「小さなカウンセラー」のようです。このように、自分のことから目をそらし、自分を押し殺したまま、親を支えることに徹して大人になった人は、「甘えたい、認められたい、愛されたい」という感情を認識できなくなります。「甘えたいのに甘えられなかった、人に思いっきり甘えたい」という、いわば本音を残したまま育つことになるのです。

こうした幼少期を持つ人は自分の気持ちを無理やり抑え込むことで、心の奥に、怒りや悲しみ、不安や寂しさといったネガティブな感情、さらには無力感や劣等感や罪悪感などの自己否定の感情が蓄積していきます。そしてあるとき、我慢の限界値を超えて感情の爆発が起こるのです。

トラウマを手放すにはまず事実を受け入れ、そのあと手放すといった手順を踏むこと。後半には具体的にトラウマとうまく付き合う方法の数々が載っています。あなたが他人とうまく関われないのは、トラウマのせいかもしれません。

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