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『人工知能は資本主義を終焉させるか』齊藤元章,井上智洋

      2019/05/06

人工知能(AI)は急速な進歩を遂げている。アメリカの未来学者レイモンド・カーツワイル氏が、1960年頃から提唱してきた概念を2005年の著書で明確に整理し記したことによれば、「シンギュラリティ・ポイント(特異点)」、すなわち「人類の知性を超越する非生命的な知性」が出現し、その知性が人類の上に立つことで、われわれの想像を絶する社会の大変革が2045年頃にも起こるのだという。そして2030年には、その前段階となる「プレ・シンギュラリティ(前特異点)」が到来するとみられている。だが今後、プレ・シンギュラリティやシンギュラリティの到来時にいかなる社会変革が起こりうるのかを考える際に、お金と経済の問題を抜きには語れない。AIは資本主義を終わらせるのか。モノやサービスの価格はどうなるのか。人間はAIに仕事を奪われ、働かなくなるのか。本テーマのエキスパートであるスパコン開発者と経済学者が描く未来社会図。

現実がSFを超える日は近い

ただシンギュラリティと言っても、さまざまな定義があるかと思います。人工知能がいったん人間の知性を追い越したら、どんどん差を広げていくというのが一般的な認識だと思いますが、そうはならないような気がしています。そもそも知性というものが単純に数量的に測れるのか?私は2030年頃に、汎用人工知能ができるという前提で『人工知能と経済の未来』を書きましたが、そのときの汎用人工知能を人間の知的振る舞いをぎこちなくまねる程度のものだろうと考えています。そのあともAIを人間に似せる作業がずっと続くと思っていまして、分野にもよりますが、人工知能が人間を追い越すというのはかなり難しいのではないかと考えています。もちろん現在でも、囲碁や将棋などの特定の分野ではすでに人工知能がプロの棋士に勝っているので、そういう部分ではシンギュラリティがすでに起きていると言ってもおかしくはありません。でも、人工知能が人間の知性のすべてを追い越すかというと、そこは難しいのではないかと思うのです。

人間の凄いところは想像できること。貨幣や宗教など曖昧なものに対して不信感もなく接することができるため、広く人間社会が形成されてきた。AIはどうだろうか?意識がないAIに物事を信じ込むということができるだろうか。ロジックで説明できない物事に対してAIは弱いような気もするが、それすらもアルゴリズムで超えて行けるのだろうか。手にカード情報などが入ったチップを埋め込みちょっとしたサイボーグ化して便利さを享受する人まで出てきていてこうした、人間と機械のハイブリッド化はこれから盛んになっていくのだろうか。

来るべき「経済的特異点」とは何か

たとえば、私たちがアマゾンやフェイスブックを利用した履歴などの個人情報は、それぞれの企業が持っています。そのように、いま企業がそれぞれ持っている情報をうまく組み合わせることで、ビッグデータが本当に宝の山になるわけです。ところが企業が個別に情報を持ったままでは、相乗効果がそれほど期待できない可能性があるため、そういうところで政府がうまく介入しなければならないのです。もちろん、政府が個人情報を管理することの是非について意見が分かれるところではありますが、いま実際にこうした世界的な競争が起きているのは事実です。

ビッグデータが個人情報としてしっかり管理されているかは確かに問題だが、現実問題、実際には個人情報はダダ漏れしていると考えた方が良いと思っている。悪意ある人に目をつけられたらその人の個人情報を抜き取るのは容易なのではないだろうか。実際、資産額が記されたリストをもとに詐欺集団が特殊詐欺を行うケースが蔓延している。こうした個人情報をAIを使って強固なセキュリティーのもとに置くことができるかもしれない。

「社会的特異点」がもたらす人類の未来

たとえばヒトの遺伝子情報は、まだ1・5%程度しか意味が理解されていないのが現状です。遺伝子情報の多くは、複数の染色体の中に不規則に飛び飛びで存在するので、人間がそれらをパターンとして認識して、その意味を理解することは非常に難しいのです。ところがAIを活用し、そこにさらにスーパーコンピュータも組み合わせると、残り 98・5%の遺伝子情報の意味も確実にわかってくることになるでしょう。いまでは遺伝子操作も可能になっていて、中国ではすでにゲノム(DNAに含まれるすべての遺伝子情報)編集技術によって、単一遺伝子異常が原因である場合には肺がんを治せるようになっています。こうした技術の進歩によって、いずれ抗がん剤はいらなくなるはずです。

遺伝子情報をいじったデザイナーベイビーなど、倫理的に問題があるのではないかと思われるこのような研究はこれからどのような道筋をたどるだろう。倫理的に問題だからと踏みとどまるか、ねじ曲がった親心からそれを許してしまうのか。

一家に一台小型の植物工場ができ、3Dプリンターで食事をプリントアウトする。他の生活必需品もネット上でデータをダウンロードすればいくらでも手に入る。そんなキットを国が支給するような世界。ベーシックインカムの究極系とも言えるそんな世界が僕の生きている間に実現するのだろうか。そうしたら、資本主義は崩壊することになるだろう。今生まれてきた赤ん坊たちはそうした世界を体感することになるのだろうか。

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