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『生殖医療はヒトを幸せにするのか 生命倫理から考える』

若いうちに卵子を凍結保存し「婚前卵活」するシングル女性が出現し、受精卵の染色体異常を調べ、健康に育ちうる胚だけを選ぶ「新型着床前診断」も登場した。不妊の補助的な医療として始まった生殖医療(ART)が、生命操作にまで介入しようとしている。これは、子孫繁栄という人類普遍のニーズに応える福音か。それとも、不自然な欲望を掻き立て、新たな苦悩を与えるモラル・ジレンマの始まりなのだろうか。

生物学的時計を止める

仕事をもつ現代女性の多くは、アラサー( 30 歳前後) になると、「仕事は好きだけど、このまま家庭をもたない人生でいいのだろうか」と悩んだり、「子どものいる人生か、子どものいない人生か」と、人生選択の岐路に立ったりすることが一度はあるのではないでしょうか。そのとき、具体的に結婚を考えている相手がいることもありますが、結婚を考えられるパートナーがいないこともあります。出産・育児情報サイト「ベビカム」と出産ジャーナリストの河合蘭氏が共同で行なったインターネット調査で、高齢出産をした女性140名に「あなたはなぜ高齢出産になったのですか」(複数回答) という質問をしたところ、「パートナーとの出会いが遅かった」という回答が 40 代の初産で 70%、 35〜 39 歳の初産で 46%を占めていました(河合蘭『卵子老化の真実』文春新書、2013年、 57 頁)。2番目に多かったのは、「妊娠しにくかった」という回答で、パートナーとの出会いが「遅」く、その結果、「生みたい」と考えたときに妊娠しにくくなってしまっていることが見えてきました(図1)。

晩婚化が進んでいる昨今、仕事とのタイミングが合わず出産時期が遅れてしまい、子供を産むかどうかを悩む女性は意外と多い。そんな悩み多き女性の救世主となるのが婚前卵活と言われている生殖医療。その可能性やメリットデメリットなどを見ていこう。

不妊治療

不妊、すなわち生殖のための障害の「治療」には、二種類あるということです。排卵がうまくいかない女性や、精子の数が少ない、あるいは精子がない男性(造精機能障害)、または精子の運動性や授精能力が低いなどのケースでは、ホルモン剤による「治療」が行なわれることがあります。このような「治療」には、比較的、批判は集まりにくいでしょう。医療本来のあり方に近いからです。医療の本来のあり方は、患部を治す「根治治療」です。病変部を除去する、炎症を抑えるなど、病んでいる患部そのものを修復する、何らかの方法で正常な状態に近づける(あるいは機能を回復させる) というのが、医学的な「治療」です。この場合も、ホルモン剤による治療は、生殖のための障害を取り除くため、問題となっている患部そのものを「正常」な(生殖可能な) 状態にすることであり、「根治治療」ということができます。  他方、生殖技術のなかには、これらの治療がうまくいかずに、生殖器官の障害を治すことができなかったとしても、その「疾患」をもったままで、「治療」したのと同じような効果が得られるものがあります。たとえば、「体外受精」という技術を用いれば、卵管閉塞の人でも、閉塞した卵管を迂回して受精卵をつくることができますし、卵巣を摘出(あるいは機能不全) してしまった人でも、別の女性から卵子をもらって子どもをつくることができます。男性の精子の数が少なくても、わずかな精子を見つけて卵子に入れる「顕微授精」という技術があり、まったくの無精子であれば、第三者(ドナー) の提供精子を使って子どもをつくるDIがあります。

女性の不妊治療ばかりがクローズアップされがちだが、男性の方に問題がある場合も。全くの無精子だったった場合第三者(ドナー)の提供精子を使って子供を作るDIというものもある。それでも父親がいれば、問題がないように思う。独身女性がDIで子供をもうけシングルマザーになった場合、父親が遺伝子学上も生活上もいない状態に。これでは子供が大きくなった時、父親について尋ねられ困ることになる。

自分の「半分」を知りたい!

ドナーを知ることは、自分たちの「基本的人権」であると、成人したDI児たちが声をあげ始めました。それに対応して、ドナーの情報の開示を認める国も出てきました。世界に先駆けてスウェーデンが、DIで生まれた子の出自を知る権利を認めています(「人工授精法」1984年成立、 85 年施行)。他にもノルウェー、オランダ、英国、フィンランドやニュージーランドなどで、2000年代に入ってから、ドナー精子や卵子によって生まれた人のドナーを知る権利を定めた法律が成立・施行されています。スウェーデンでは、人工授精法によって、精子ドナーの匿名を廃止しました。この法律では、ドナー自身は、自分の精子で子どもが生まれたかどうかをあらかじめ知ることはできません。しかし、生まれた子どもは、 18 歳になれば、ドナーの氏名や住所を知ることができるのです。この法律の施行によって、スウェーデン国内の精子提供者は激減し、DIを求めるカップルの待機期間が長くなってしまったそうです。匿名の精子ドナーを求めるスウェーデン人は、匿名を認めている隣国のデンマークへ渡航するようになったそうです。「生殖ツーリズム」ですね。デンマークでは、匿名の精子か非匿名かを、DIを利用するカップルが選択できる仕組みになっています。

ドナーを知る権利というのは、精子を提供した側にドナー兄弟が沢山いる場合もあり微妙なところだろう。そんな時は、非匿名のドナーを選んでDIを行うのが良いだろう。後になって子供が知る権利を主張した場合安心である。

生殖医療は多岐にわたって進んできている。日本ではまだメジャーじゃないようだが、これからペースを上げ増えていくのではないかと思う。モラルとの間でジレンマに苦しむケースもあるが、それでも子供が欲しい親にとっては光明である。

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