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心を見つめ直せば思い当たるフシも?あるカウンセリングの記録

      2018/01/06

大人も子どもも「がんばり屋さん」があふれる日本社会。がんばること自体はいいけれど、心身に不調をきたしてしまう場合も。長年のカウンセリングで出会った多くの「がんばり屋さん」の姿から、その心の中で何が起きているのかを対話を通して見つめ、考えます。「仮想カウンセリング」を読むと思いあたるフシのある人も?

みんな頑張って活躍しようという風潮

日本社会が酔っぱらわずにはいられない「依存症」に陥っているような気がしないでもありません。「そんなにがんばって、どこへ行くの?」「知りません、前の人に聞いてください」みたいな感じで、みんなががんばっているから、自分もとりあえずがんばってどこかへ向かっているような。そういうふうに見えてくるのです。わが国のアルコール依存症患者は二百数十万人いるといわれています。その人たちの多くは四〇代、五〇代の働き盛りです。父親がアルコホリズムの家庭で暴力的な父親をみて育つ子どもたちのなかにも、つねに自分を厳しく監視し、評価する「よい子」が多いように思います。そして、彼らも睡眠薬がわりに酒を飲み、日頃のうさやつらさを忘れ、束の間の高揚感や多幸感に身を浸すすためにアルコールに耽溺するようになるのかもしれません。

すでに自分自身でがんばっている人にとって、みんな頑張って活躍しようという風潮は結構辛いものがあります。一体これ以上何を頑張れというのだと。皆同じ方向を向き頑張って仕事などで活躍しようというのはこのストレス社会ではもう考え直さなくてはならない風潮かもしれません。働かざる者食うべからずなどというのはもう古い言葉として葬り去ってほしい。僕自身、10年以上無職を続け、貯金を切り崩して生活しているが、以前働いていた頃は、働かざる者食うべからずという言葉を人にいう側の人間だった。自分が病気になって働けなくなるという未来など想像もしていなかった。今考えると、自分は少し古い考え方の人間だったことがわかるいい例だ。仕事なんかはいい加減でいいというゆるい考え方がこれからの時代のスタンダード(適当な仕事をするというのではなく、フルタイムの仕事を2人で折半して仕事したりすること)となって行くでしょう。

不登校や引きこもり、「うつ」を越えて元気になるということ

「うつ」の患者さんのカウンセリングも良くしてきましたが、「うつ」の患者さんのなかには、元気にバリバリがんばっていた頃の自分に戻ることが「治る」ことだと思っておられる方がとても多いような気がします。私は違うと考えています。「元の自分に戻ること」ではありません。元気に明るく「がんばる」自分が切り捨ててきた「自分の中の弱さや柔らかさ」などと、もう一度向き合って、それを自分の中に取り込んで、より大きな、広がりのある自分、つまり、「いい加減」「いい具合」の自分、「いい呼吸」で自分と向き合える自分になって戻って行くのです。それが「治る」ということだと思っています。不登校の子どもや引きこもりの若者たちだって一緒です。

僕もそうだが、バリバリ仕事をしてうまくいっていた時期があった人は、その成功体験からなかなか抜け出ることができず、うつなどの精神疾患に罹患したあと、完全に元通りになることを望んでしまい辛い思いをする人が多い。自分のできる範囲で、元気でいられる範囲で行動をすればいいんだと開き直ることができるまで、僕も随分と時間を要しました。人より頑張れることが少なくても、様々なサポートを受け生活することに引け目を感じることなんてないんだと思えれば、次第に元気になって行くと考えます。

いじめやなんかで不登校になった場合、子どもが自分を作り変えるよりもまず、学校の方を(社会人になっていた場合会社の方を)どうにかしろよと思ってしまいます。しかし、学校や会社組織をどうにかするには時間を要します。人生というのは生きる舞台を選べない。「今、ここ」なのです。学校や会社が良くなるまで待っていては余計具合が悪くなってしまいます。一度離脱して元気になれるよう医師やカウンセラーなどのサポートを受けるべきだと思います。

「ジャスト・イン・タイム」と一億総活躍社会

疲れてしゃがみこんでいる者も立ち上がって作業することを求められ、元気なものはコストのかからない、より効率的な動きやコースを走ることを強いられ、ゆったりした生活よりも、徹底的に「改善」「改革」しつづけ、最大の利益を得ようとする生き方が善とみなせれる社会になってきているのではないでしょうか。一九九五年の日経連による「新時代の日本的経営」の提言以降、企業にとって使い勝手のいい非正規雇用が大量に増えました。それは、〝必要なものを、必要なときに、必要なだけ〟という〝ジャスト・イン・タイム〟の方式の人間版のように見えます。在庫を抱え込むのではなく、必要な人材を、必要なときに、必要なだけ雇う。そのことによって、できるだけ人件費を切り下げて、コストダウンを図っているということでしょう。

学校や会社では、超高速道路を走らされるような状況が起こり、それについていけない人が現れ始めているのが現在の状況ではないかと思います。

頑張りすぎず、自分が元気でいられる「ちょうどいい加減」はどこにあるのかを考えて見ると、うつや不登校、その他の精神疾患などにも光が見えてくるように思います。

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