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『うつ・パニックは「鉄」不足が原因だった』鉄分摂取で完治へ

鬱やパニック障害とフェリチン値の関係を理解し、クリニックを訪れる女性患者を対象に、血液検査を実施してみたところ、鬱やパニック障害に悩む方のフェリチン値が、著しく低いことが明らかになりました。そして、フェリチン値の低い患者さんの一部に、「高タンパク・低糖質+鉄剤」を基本とした栄養を取っていただいたところ、驚くような症状の改善がみられたのです。めまいやふらつき、倦怠感、イライラ、朝起きれない、冷え性、頭痛‥‥これらは鉄分をフェリチン値100を目標に摂取すれば改善するかも?

ヘモグロビンは財布のお金、フェリチンは貯金額

貧血とは、赤血球の中にあるヘモグロビンが不足している状態をいいます。ヘモグロビンを作る材料が鉄とタンパク質であることから、鉄とタンパク質が不足すると血液中のヘモグロビン値が低下し、「酸素を体の隅々まで運んで二酸化炭素を回収する」という赤血球の働きが弱くなるため、酸素不足になり、貧血が起こりやすくなります。一方、フェリチンは、内部に鉄を蓄えることができるタンパク質で、幹細胞などを中心として全身に分布しています。血液中の鉄分が不足すると、フェリチンに蓄えていた鉄分が放出され、血液中の鉄分量を調整します。

血液検査でヘモグロビン値が正常であったとしても油断は禁物。フェリチン値が低下していれば、鉄の貯金が減っていることに。フェリチン値が低い場合を「潜在性鉄欠乏症」といいます。ヘモグロビン値は正常なので、一見しただけではわからないので、「隠れ貧血」などと呼ばれています。貧血同様、鬱やパニック障害も女性に多いと言われています。動悸、めまい、倦怠感、目覚めが悪い、冷え性など鬱やパニック障害の症状でありながら鉄不足の症状と重なります。鬱やパニック障害の主な原因は、ストレスであるとされていますが、実際に心療内科や精神科を訪れる患者の多くは、鉄不足であることが多いそうです。

フェリチン値を詳しくみていくと、15〜50歳の日本人女性の8割が鉄不足であるといいます。これは妊娠や出産などにより胎児に鉄分が移行し、母親が鉄不足になることも原因の一つとだといいます。フェリチン値にして50に相当する鉄分が胎児に移行します。これにより母体の鉄貯蓄が空っぽになるといいます。こういったことから、欧米ではフェリチン値40以下ですと、そもそも妊娠を許可されません。そうならならないためにも普段から高タンパク、低糖質食を続け、鉄分を補給する必要があります。

月経が始まってから2〜3年で鉄が枯渇

健康な女性の場合、1回の月経で失われる鉄は20〜30mgとされています。1日あたりの損失量は0.63mgとなります。これに月経以外での損失0.72mgを合わせると、女性が1日に失う鉄量は1.35mg/日です。また、第二次性徴によるホルモン合成が活発化してきますので、原料となるタンパク質、ミネラルが大量に消費されることで、鉄の減少に拍車がかかります。月経が始まると、2、3年で貯蔵された鉄が減少しはじめ、フェリチン値は30以下になり枯渇してしまうのです。この年代に起こりがちな問題ーー不登校、すぐにキレる、自傷行為、過換気症候群なども、鉄の枯渇に由来していると私はみています。

これに加え、大学入試や就職の時期になると、環境が変わり、親元を離れたことで、安価ですぐお腹を満たすことができる食事になりがち。おにぎりやパンなど炭水化物だらけの食事が続くと、タンパク質、ビタミン、ミネラル全般が不足し、それに伴いフェリチン値も低下していきます。女性の場合は無理なダイエットにより必要な栄養素が取れなくなることも。

鉄剤投与とサプリメントのダブル処方

フェリチン5〜10レベルの人であれば、食事を変えて、鉄剤と抗うつ剤を継続すれば、完治まで至る人は少なくても、半年から1年程度で、症状はかなり改善する傾向があります。問題は、フェリチン値4未満という、最も重度の鉄・タンパク質不足のケースです。このようなケースでは、「鉄剤はムカムカするから飲めない」「肉は気持ち悪くて食べれない」「卵も魚も嫌い」という人も多いのです。タンパク質不足がひどく、胃液や消化酵素の分泌能力が弱くなっているために、そうなってしまいます。これでは抗うつ薬も効いてくれません。すると治療手段がなくなってしまいます。何をやっても効かないので、正直患者さんの中には、治療を止めようとされる方もいました。最重度の鉄不足の人ほど、「鉄剤が飲めない」というジレンマを抱えているのです。そこで、処方する鉄剤を再検討し、フェリチン10以下の人には、最初から「鉄剤+フェロケル」のダブルチャージを試みるようになりました。

フェロケルはキレート鉄のサプリメントです。アマゾンでも購入できます。血液検査でフェリチン値が低すぎた場合、医師の指導のもと鉄剤とともに飲んでみるのもいいかもしれません。通っている精神科や心療内科がこういった治療法に否定的または認知していない場合もありますので、その辺は主治医との関係が悪化しないよう注意が必要です。統合失調症の男性の中にもこのフェリチン値が低い傾向にある患者さんもいるようです。

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