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『「性格」のカラクリ』苫米地 英人

――性格とは、「対人戦略」である。――

臆病、意地っ張り、せっかち、嫉妬深い、自己中心的、無責任……。

人にはさまざまな心理的特性があり、それが人生で役に立つこともあれば、足を引っ張ってしまうこともある。また、「自分はせっかちだから勇み足をしてしまう」「嫉妬深い性格がわざわいして他者を許せない」など、私たちは、自らの「性格」によって生きづらさを感じていないだろうか?

しかしそもそも「性格」とは何なのか?

「個人に特有の性格など、ない」と苫米地博士はいう。「性格は相手によって変わる。つまり、性格とは対人関係における「戦略」である」したがって、性格で悩んでいる人とは、他人に自分の人格をコントロールされている、ということなのだ。他人のコントロールから自由になるためには、「性格」の仕組みを理解しなくてはならない。

ブリーフシステムが、人の選択や行動を決定する

それではここで、「ブリーフシステム」という耳慣れない言葉について、詳しく説明しましょう。ブリーフとは「belief」、つまり「信念」のことです。「信念」という言葉は、一般的には「人は社会に貢献するべきである」「親は無条件に子を愛し、子は親を大事にするべきである」「人には優しくするべきである」「弱者は守られるべきである」といった、個人個人が信じる「人間のあるべき姿」「社会のあるべき姿」を示すものとして使われています。しかし、ここでいう「信念」は、そのような道徳的で崇高なもの、世間から「好ましい」とみなされるものだけに限定されません。「この世はお金がすべてである」「自分さえよければいい」「社会的弱者は差別されて当然だ」といった反社会的なもの、世間から「好ましくない」とみなされているものであっても、個人個人が強く信じて疑わない固定的な考えは、すべてその人の信念なのです。ブリーフは、その物事を判断する際の基準となる「評価情報」である、ともいえるかもしれません。

このブリーフを基礎として出来上がった自分はどういう人間なのかといった、認識のパターンや無意識の行動を決めるシステムがブリーフシステムです。これらブリーフシステムは自身が自由意志で獲得した場合のみならず、外部からの働きかけ、例えば親や教師などの影響によるものも入ってくる。つまりブリーフシステムはあらゆる情報源によって摺り込まれた認識の集合体といえるのだ。それが個人の選択や行動を決定する元となっていると考えられる。もし子供の頃ピーマンが嫌いだったとしたら、その摺り込みによって苦くてまずいものといった無意識の拒絶反応によってあえて食べないでいる場合も。実際に大人になって多様な味覚に適応できるようになっていたとしてもだ。

子供の頃に「勉強をしなさい」「いい学校に進学し、一流企業に就職しなさい」と言われて育った人は、自然とそれ以外の選択肢から遠ざかるような場合もある。例えば音楽が好きでミュージシャンに興味を持ったとしても、ミュージシャンでは食っていけないという摺り込みによって自然と趣味のレベルでヤメてしまうなんて事も考えられる。可能性という視点から言えば、いい大学に入るための猛勉強の時間を音楽に費やせばプロとして食っていけるだけの実力がつけられるかもしれないのにだ。僕らの周りにはこのブリーフシステムに支配されている事案が多いともいえるだろう。

実体がなく定義が曖昧な「性格」

ある人からは「明るく快活で、誰とでも仲良くなれる人」と思われている人が、別の人からは「暑苦しくて遠慮がなく、何の深みもない」と思われているかもしれませんし、「ちょっとしたことでくよくよ悩んでしまう人」は。裏を返せば、「慎重で内省的な人」ととらえることもできます。ただでさえ実体がなく、定義があいまいな「性格」というものを、これまた区別が難しい「良い」「悪い」といった基準で判断する。それがいかに無意味なことか、みなさんにはおわかりいただけるのではないかと思います。

性格なんてとらえる人の主観でしかないので、気にする必要はありません。消極的でマイナス思考と思われがちな人も、見方によれば、慎重で思慮深いともいえるのです。何が良くて何が悪いかなんて決めてしまうのはナンセンス。だから性格なんて気にする必要はありません。

RASによるフィルタリング

「雑誌をパラパラめくっていたら、他の文字は引っかからないのに、自分の好きなアーティストの名前だけは目に飛び込んでくる」といった経験をしたことがあると思いますが、これらはいずれも、RASによるフィルタリングです。

このフィルタリングにより、必要な情報とそうでないものを選別できるように。読書に当てはめると、一度、目次をしっかり読んで何が書かれているか把握したのちに、読み始めると、ペラペラと高速で読んでも重要な部分を拾って読むことができます。僕は速読派ではないのですが、時間がないときにはこのような読み方をすることがあります。

「性格」というと個人特有のものと思われがちだが、周りによって意味付けされたものであることも多々ある。そんな性格のカラクリを教えてくれる書籍。あなたの常識を根底から覆す目からウロコの性格論がここに。

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