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古代から現代<見える世界>の奥にあるものとは?

      2017/03/25

21世紀を象徴する道具のひとつであるスマホは、その中に<見えない世界>の断片がいっぱい詰め込まれている。そのひとつが20世紀が産んだ知の巨人アインシュタインが特殊相対性理論によって明らかにした「伸び縮みする時空世界」です。普遍の光の速度を原則にすると、時間や空間の概念が変わる。速度という量は、空間を時間で割った次元を持つことから、時空の概念に関わることは何となく想像できる。<見える世界>の奥にあるものを古代から現代の歴史とともに俯瞰してみよう。

<見える世界>と<見えない世界>の矛盾

運動という現象の、目に<見える世界>の裏にある、運動の法則性という<見えない世界>を記号や数字を用いて明らかにすること、すなわち記述することが、現象を説明するということなのです。逆に言えば、記述することができなければ、その世界はずっと<見えない世界>のままなのです。

理性に重きを置いたゼノンは<見えない世界>について考えるとき独特なパラドックを用い現象を説明しようとします。するとどうしても私たちが実感している世界との間で矛盾が生じる。有限と無限という矛盾、感性と理性の間の矛盾などがそうです。言い換えると<見える世界>と<見えない世界>の矛盾です。ゼノンのパラドックスの一番の特徴は、この矛盾を示したところにあります。

「神」の登場

運動論自体の議論がギリシャ以降、ぴたりと止んでしまったからです。運動論だけではありません。宇宙論や原子論といった古代ギリシャで誕生した自然学の探求の数々が、いずれもその歩みを止めてしまったのです。歩みを止めただけではありません。西ヨーロッパにおいてはその存在そのものが、忘れ去られてしまうのです。

それはなぜか?古代ギリシャ哲学より<見えない世界>を雄弁に語り納得させてくれる「神」が現れたからです。ここでいう神とは古代神話における神ではなく、より思弁的で、体系だった教養を携えた宗教における形而上的な神です。3500年前に生まれたユダヤ教、その基盤の上に建てられ、その後、ローマ帝国の国教となったキリスト教などが、瞬く間に<見えない世界>を語るようになります。一神教を中心とする宗教の時代の幕開けです。

このキリスト教の強い影響下で太陽を中心とする宇宙モデルを唱えることは難しかった。その後中世に至るまでの西欧社会においては、神を中心とした世界観がメインとなる。すなわち地球を中心とした宇宙モデル以外のモデルを唱えることは、神をも恐れぬ暴言か戯言以外の何物でもなかった。

羅針盤の発明

磁石の指向性が天に由来するものではなく、地球にその原因があるという認識が進展するのも大航海時代のたまものです。航海を通じて偏角という、地球の各点で磁針が正確に北を刺さない現象が発見されたのです。その最初の観測者は誰か?それははっきりしないようですが、クリストファー・コロンブス(一四四六頃〜一五〇六)の名があげられます。しかし、日時計(携帯用・旅行用の磁石付き日時計のこと)や、羅針盤の製造職人には、そ以前から知られていたようです。

大航海時代に普及した羅針盤。現代でいうとカーナビ等がそれにあたりそうだ。行き先を示してくれるという点では同じようなブレークスルーであっただろう。カーナビも出始めの時はうまく道路とリンクしないなど不満の残る代物だったが最近のものはかなり高性能になっている。加えてスマートフォンのナビなども結構使えるものができていて地図は常時、最新に保たれるなど進化のスピードは上がっている。

大航海時代には今まで見えなかった世界、新しい海の太平洋や新大陸のアメリカ大陸の発見、新しい人種や新しい植物、新しい鉱脈などをもたらした。見えない世界を見える化すると新しい発見など枚挙にいとまがない。現代だと深海と宇宙などが人類にとってフロンティアと言えるだろう。

重力波の観測

アインシュタインは重力の乱れも、電磁波と同様に波として伝わると考えました。重力波です。ただ重力は他の遠隔力に比べ格段に微弱なために、その波の振幅もまた格段に小さく、検出することは困難です。そのためアインシュタインがその存在を予言してから一〇〇年近く、その検出は成功していませんでした。しかし、二〇一六年二月一一日、米カルフォルニア工科大学と米マサチューセッツ工科大学などの研究チームが、米国にある巨大観測装置LIGOを用いて、重力波を検出することに成功したと発表しました。

こうやって何百年と時を経て<見えないもの>が<見えるもの>に変わっていく。日本でも世界最大の水チェレンコフ宇宙素粒子観測装置『スーパーカミオカンデ』による太陽ニュートリノ、大気ニュートリノ、人工ニュートリノなどの観測を通じて、ニュートリノの性質の全容を解明が進んでいる。

見えない世界だった宇宙もこうして少しずつ見えるようになってきている。第4章『宇宙論における人間原理と文明』では「友達の友達」を六回たどっていくと世界中の誰もが間接的な知り合いという「六次の隔たり」を引き合いに出したりして、巨大ネットワークもよく見れば、数多くの小さな世界が緩やかにつながっている「スモール・ワールド」モデルなども解説。日々の生活の上での困難など<見えない世界>を感じたら小さくて取るに足らないことに思えてくる、そんな書籍です。

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