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最後まで自分で噛んで食べたいと思うすべての人へ

「口から食べないほうが安全」という理由から、鼻から管を入れて、栄養を摂るように。食べるという最後の楽しみを奪われ、元気を失う。「食べないほうが安全という理由だけで、このまま食べることを奪ってしまっていいのか。それで幸せと言えるのだろうか?」最後まで自分で噛んで食べたいと思うすべての人へ向け送る〝食医〟たちの活動。

口のリハビリ

口のリハビリを始めると、変化はすぐに表れたという。二週間後にはお粥や雑魚などを口から食べられるようになり、三週間後には、鼻のチューブを取ることができた。さらに話が全くできなかった義信さんが、筆談で意思の疎通ができるまでに回復は一気に進んでいったという。光銭歯科医師が行ったのは口のリハビリだけではない。長いこと使っていなかった入れ歯もちゃんと噛めるように調整した。それによって、流動食だけでなく、噛んで食べられるところまで回復は進んだ。

余命1ヶ月と診断された患者が、口のマッサージなどのリハビリと入れ歯の調整などで食べる喜びが復活し、その後病状悪化のスピードが緩まることで、3年ほど生きることができたという。それほど口から食べるという行為は人間の楽しみなのだと知らさせる事例だ。

〝食べられない〟患者の8〜9割は本当は食べられる!?

「これまで、『食べられない患者さん』を五千人ほど検査してきたが、その中の八〜九割が本当は食べられていたんです」一度は「食べられない」と言われた患者を、再度調べていく。すると、驚くべきことに、その八〜九割は、本当は食べる力が残っていたことがわかった、と戸原准教授はいうのだ。

検査方法は2つ特殊なレントゲン装置を用いて行う嚥下造影検査(VF検査)と鼻から細い管を入れて行う嚥下内視鏡検査(VE検査)。VF検査は口から喉までの動きを調べることができるが大きな装置が必要なため病院で行う。一方VE検査は喉の奥しか調べられないが、簡単に持ち運べる機材で行うので在宅の患者でもみることができる。患者にもう一度口から食べることに挑戦させてみたいという方はまず、この2つの検査で喉の状態をチェックしてみてはいかがだろう。

一時的に飲み込む力が低下するだけで食べられないというレッテルを貼るのは如何なものか。

それまで全く元気だった高齢者が、ある一つのきっかけ、例えば脳梗塞や骨折などで入院することになり、生活が一変する。体が衰弱して、一時的に「飲み込む力」が低下して食べられないというレッテルを貼られる。そして、食べられなくなると、どんどん体力、免疫力、生命力など人間が持っているあらゆる力が低下し、さらに合併症を生む。負のスパイラルに陥るのである。

医者は誤嚥性肺炎などのリスクを語り〝食べられない〟という診断を下すが、それがかえって患者の意欲を減衰させてしまう。危険だからという理由や治療の妨げになるという理由で「禁食」となるケースは多い。誤嚥性肺炎などの治療をする際、まず検査で診断してから、ガイドラインに沿って薬を注射し治療を行います。ここまでは問題ありません。しかし治療中ほとんどの場合、食事を止めて点滴にすることが問題だという。点滴は多くて400カロリー、少ないと100カロリーしかありません。これでは栄養不足になってしまいます。食事を禁止することはガイドラインには出ていませんが、ほとんどの医師が、禁食は正しいものと考えているため「とりあえず禁食」させてしまいます。しかし、「禁食」が正しいという根拠はどこにもない。

禁食をした患者とそうでない患者とを比較してみても、入院日数の平均が禁食した患者の方が明らかに長い。退院時の経口摂取率、口から食べられる割合も禁食を三日以上した患者が80%だったのに対し禁食をしなかった患者は95%を上回るという結果も出ている。とりあえず禁食することが高齢者の食べる力を奪っていて入院期間まで伸ばすことになってしまっていることが分かっていただけるだろう。

リスクとメリットを天秤にかける

「口から食べることによって誤嚥や窒息のリスクがあります。そのリスクをどう考えますか?受け入れる覚悟はありますか?」「窒息と誤嚥の危険とどう向き合うか」胃ろうの患者を食べさせるためには、この難題を解決しなければならないのだ。誤嚥の可能性が相当に高いから、胃ろうをつけているのだから。しかし、誤嚥をしているからといって、必ずしも肺炎になる訳ではない。肺炎になったからといって必ずしも死にいたる訳ではない。「食べさせたいけど、そこには大きなリスクがある」とはいっても、本人は認知症で判断を下せない。

こうなる前に家族ともし胃ろうをしなければならなくなった時どうするか、リスクを冒してでも口から物を食べたいか意思表示をしていることが大切になってくる。もし本人が認知症やなんかで判断が難しい場合は、医師と家族で徹底的に話し合うことだ。

「食医」と言われる医者がいることを初めて知った。食べることの意義をもう一度考えさせられる書籍で、元気なうちに意志表明しておくことも家族の負担を減らすことになるのだと感じた。巻末には家で簡単にできる口のリハビリが載っているので興味のある方は買って読んでみてください。

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