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強い絆が会社を潰す!トップの暴走を止められない企業風土とは?

企業統治(コーポレート・ガバナンス)のしくみとは、端的にいってしまえば「企業経営者への規律づけ」と定義され、企業のトップによる不祥事を防ぐための方策として、一九九〇年代から二〇年以上ほぼ毎年強化され続けてきた。トップの暴走とそれを止められない社内風土=企業内のソーシャル・キャピタルのあり方に原因があるという。「強いリーダーシップ」や「各部門のサイロ化」が危ない等、意外な知見も。あなたの会社は大丈夫?

東芝粉飾決算事件

二〇一五年七月に公表された東芝粉飾決済事件についての第三者委員会調査報告書では、不祥事の原因の一つとして「上司の意向に逆らうことができないという企業風土」という表現を用いている。ただ、上司の意向に逆らえないのはほとんどの企業で該当するであろうから、「上司の意向に逆らえない」ことが企業風土の本質ではない。同社の問題の本質は、適法性を欠く指示を上司が出していたことにある。しかし、明らかに不当で結果として適法でない措置が実施されることを容易に想定できる指示を上司が出すということは、ここでいう上司が単に直属の上司というだけではなく、トップないしはその意向を体現した上司ということではなかろうか。

つまりこの企業風土というのは、適法性を欠いていても、それがトップの意向ならそれに従い、従わなかった場合には左遷ないしは解雇が暗黙の了解になっているとも受け取れる。それだけ強い拘束力があるものだということだ。部下の側からすれば、コンプライアンス上問題があったとしても、意を唱えるのが難しい状態であり、それが慣習化していれば違法性と感じる感覚も麻痺していくだろう。企業風土はトップが作るものなのでこういった事件の責任は全てトップにあるといえよう。

トップの関与が大部分

『企業不祥事辞典』を参考に一四七件の不祥事を間嶋の分類で再分類すると、組織的かつ意図的な不祥事が全体の五四%と過半を占め、これに組織的かつ非意図的なもの一九%を加えると七三%が組織的なものとなる。つまり、個人的なものは二七%にすぎない。

不祥事を当事者レベルで見て見ると、主要な不祥事の多くは組織レベルであり、つまり何らかの形でトップの関与が推測される。そこにトップの責任がないとはいえず。いずれの場合も不祥事当事者だけでなく、経営者にも管理仕切れなかった責任が重くのしかかってくることとなる。

個人遊興目的の不正借入

大王製紙は、紙・パルプ・日用品雑貨等の製造加工及び販売、山林及び木材の売買、造林などを行う売上高(二〇一五年度)が四〇〇〇億円を超える我が国第四位の製紙メーカーで、家庭用としてはエリエールのブランドで広く知られている。大王製紙の創業家三代目の経営者であるFが、代表取締役社長在任時の二〇一〇年四月から代表権のある会長に退いた二〇一一年六月以降二〇一一年九月までで、実に総額一〇六億円を超える借入を子会社七社から不正に受けていたことが発覚した。これらの融資は、各子会社での取締役会の決議や貸借契約書の作成が行われないままに実施されるという不正なものであった。のちのFの供述でこれらを個人的な金融取引やカジノで使ったことが判明した。

トップが遊興費を会社から引き出すなんてことは、接待費が削減される世の中においては信じられない暴挙だ。まさに会社を私物化した悪例だろう。カジノでは多くの国から客が来て、年億円もすっても笑顔で帰っていくお客がいると聞くが、そもそも勝率が極めて低い(胴元が儲かる仕組みになっている)カジノがそこまで人気がある意味がわからない。経営トップがやるギャンブルとしては新事業に乗り出したり社内ベンチャーに投資したりする方がよっぽどスリリングだし会社のためになると思うのだが。

企業内の社会関係資本のダークサイドによる複合汚染

ワンマン経営者が様々な企業統括のネットワークを自ら断ち切り、独自のとりまきによるインナーサークル(内輪のグループ)を作り、結局グループシンクに陥り不祥事や企業の衰退を招いた。

三菱自動車工業によるリコール隠しは繰り返し行われた。30年間もリコールの必要を知りながら会社ぐるみでリコール隠しをしていたのだ。これは完全にグループシンクに陥って抜け出せなくなった例といえよう。結果110万台を超える規模のリコールを実施することとなり、信頼を大きく失墜させた。

院政をさせない

普通、従業員は退職イコール退社である。経営トップも同様に社長辞任後は速やかに退社すべきであろう。後任のパフォーマンスが心配で退社できないのなら、それは後継者の育成に失敗したということであろう。少なくとも社長が辞任した後も社内の役職を得る場合は、その理由と待遇について公表すべきである。

相談役や顧問など、社長辞任後に役職を得るケースではどのくらい成功しているのかが見えづらい、株主との兼ね合いもあるので、どれくらいの権限や発言力があるのか、公表すべきだ。

企業不祥事が起こるメカニズムから、不祥事を起こさないための対策まで。自分の会社はワンマンだという人は読んでみてほしい。隠蔽体質の企業経営者への警鐘を鳴らす書籍です。

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