自身の力で脳を制御し、なりたい自分になる方法を脳科学と心理学の両面から教えてくれる書籍。脳卒中の実体験から8年間のリハビリを経て回復した博士が神経解剖学の科学的見地から得た新しい知見を惜しげもなく開示する。
脳の「四つのキャラ」
ふたつの半球の違いは、たんに根底にある生体構造、生理機能、そしてその結果として得られるスキルよりも、はるかに大きなものです。左脳を失い、その後それを再建した経験から、私はふたつの半球が正反対の能力を遂行し、異なる現実を作ることに加え、はっきりと区別できる性質をもったキャラたちの住処であることを学びました。そう、前の章でちらっとご紹介した、あの「四つのキャラ」ですね。
もっと具体的に言うと、左脳の考えるモジュール〈キャラ1〉の機能が復旧するとともに、脳卒中以前の私の生活を支配していた、目的に向かって突っ走り、几帳面で、計画的で、制御したがる人格もよみがえりました。彼女は強く、有能で、人をあやつるのがうまく、時間管理に長け、とても批判的でした。
そのうえ、私はものごとを正しいかまちがっているか、良いか悪いかで判断するだけでなく、別の場所と時間の記憶をよりどころとする感情を抱くこともできるようになりました。たとえば、私たちにはすでに起きてしまったことに対して罪悪感や恥ずかしさを覚える能力がありますし、過去に生じた何かに対して時間とともに恨みを増幅させたり、復讐をくわだてたりします。私はふたたびこのような感情を経験できるようになったのです。つまり、厳格で生産的な〈キャラ1〉がオンラインに戻ってきただけでなく、左脳の〈感じるキャラ2〉もオンラインに復帰したのです。
私は、〈キャラ2〉が消失していたあいだ、左脳の感情モジュールが抱く、過去からの痛みを感じない状態を、心から満喫していたことを認めざるをえません。子どものころの痛ましい感情回路など、なくても平気だったのです。そうは言っても、豊かで深い感情を失った人生は、味気ないものでもあります。左脳の〈感じるキャラ2〉は、まさに私たちの過去の痛みを感じています。そしてこのキャラこそが、私たちを成長の可能性の限界ぎりぎりまで押し上げ、その限界を超えさせたり、はたまた慣れ親しんだ安全な場所へ退却させたりするのです。自分が安全でいられる境界線をはっきりさせるためには、何が安全で何が安全でないかを知る必要があります。自分に何が合っていないかを知るためには、自分に何が合っているかを知る必要があります。光や喜びを知るためには、闇と悲しさを知る必要があるのです。
有害だ、危険だ、不公正だと感じて、憤ったり、怒鳴ったり、泣き叫んだりしているのが、〈感じるキャラ2〉です。何かが私たちに恐怖を引き起こすとき、私たちを引き止めたり、逃げ出させたり、凍りつかせたりもします。将来、私たちを守るために、過去の痛みを覚えておくことが、この優しくて傷つきやすいキャラの長年の仕事でした。最高の自分へと進化して最高の人生を送りたければ、左脳の〈キャラ2〉と健全な関係を築かなくてはなりません。勇気を出して自分の痛みの真っ只中に立ち、痛みが伝えようとしていることに耳を傾けるとき、私たちは成長し、力強く前進することができるのです。
私が回復する過程で新たに優勢になっていたのは、オープンでフレンドリーで親切で、宇宙のように広大な、右脳の〈考えるキャラ4〉でした。回復したストレス駆動型の〈キャラ1〉が澄まし顔で戻ってきて、私の意識を支配することを〈キャラ4〉は歓迎しませんでした。たしかに、私は左脳の神経ネットワークが活動を再開し、興奮しました。だれかに話しかけられたときに言葉を理解して話すことも、自分の体の境界を知ることもできるのですから。でもどちらかと言うと、〈キャラ4〉の開かれた心によってもたらされる、果てしない、心穏やかな感謝の気持ちを抱く方が好き。だから、私は意図的に右脳が優勢な状態にとどまることを選んだのです。どちらの回路をはたらかせたいか、私は選ぶことができました。だから、あなたにもできるはず。
この本を読み進めていけば、「四つのキャラ」のそれぞれについて、体のなかでどんな感じがするかがわかるでしょう。そしていつでも、自分がだれで、どうありたいのかを選べるのだと、わかっていただけるはずです。
脳内の4つのキャラが分かれば、今自分がどの状態にあるのかがわかり体の変化にも気付けるはずだ。自身を制御するという意味合いでもこれを感じられるかどうかは大事。今どのキャラが全面に出ているなというのがわかれば、軌道修正もしやすいというわけだ。
朝起きたとき(そして、夜寝る前)
朝、目が覚めたら、自分を目覚めさせてくれた脳幹の細胞に感謝しましょう。そして、目を閉じたまま、自分の体のなかで、生きている感覚を観察します。横になったまま、自分の体が今、どのような姿勢かを感じ、「自分であること」がどんな感じなのかを確かめましょう。脳が睡眠周期を終えたあと、自分のスケジュールに合わせて私を起こしてくれたので、ああ、ゆっくり休めて満足だと感じていますか?それとも、睡眠周期の途中で早々に目が覚めてしまい、「すっきりしない」感じがするでしょうか。
目を閉じて、自分の内部システムを簡単に微調整できるようにして、「四つのキャラ」たちをチェックします。ベッドから飛び起きて、今日の予定表どおりに行動を開始したいと思っているでしょうか? アビーは、今日は休みにしてもう一度眠りたいと思っている? ヒキガエル女王は、私たちが感謝していることを広い心で包んでくれるでしょうか。ピッグペンはまだ眠っているかも。脳のすべての部分が同時に目を覚ます(あるいは眠る) わけではないので、どのキャラが最初に目を覚ますかに注目して、朝の雰囲気を作ってみてはいかが?
朝の習慣を意識して身につけることは、自分への最も大切な贈り物です。目覚めたとき、全身の細胞が、脳のなかで交わされている会話を聞いていることを私は知っています。もし、〈キャラ2〉が最初に目覚めて、「ああ、なんだか不快だわ!」と言えば、私の体のすべての細胞は、点呼のようにその痛みを叫びはじめます。〈キャラ3〉が朝のマイクを握ったら、仮に痛みの神経メッセージがその存在を主張したとしても、「まあ、いつものことだよ」と軽くいなしてくれます。私の「四つのキャラ」たちは、それぞれの主張に耳を傾けますが、その反応は、キャラごとに違ってくるはずです。
たとえば、〈キャラ2〉は、痛みに焦点を当て、不快感の密度に集中することで、不用意に痛みを強くしてしまうかもしれません。一方、〈キャラ3と4〉は、痛みをエネルギー球に見立ててくれ、その硬い球が少しずつ広がっていくようすを意識的に思い浮かべると、痛みが緩んで軽減されます。右脳は生きていることに感謝しているので、〈キャラ3〉は「痛みよ、私が生きていることを思い出させてくれてありがとう。さてさて、どういう姿勢になったら体が楽かな?」と質問します。そして、〈キャラ4〉はこう言うでしょう。「痛みよ、私が生きていることを思い出させてくれてありがとう。私がこの痛みを感じることができるのは、まだ命があるということ。だから、感謝しています」。キャラたちが発言し終えたら、私は円陣を組み、その日の気分を意識的に整えます。
もちろん、このような作戦会議を夜の就寝前におこなうことで、それぞれのキャラが静かになり、落ち着いて、眠りのモードに移行することもできます。おしゃべりな〈キャラ1〉や怖がり屋さんの〈キャラ2〉がどうしても黙らないときは、〈キャラ4〉の広く包み込むような意識をわざと選ぶといいでしょう。意識はいつもそこにあり、あなたが利用するのを待っています。その意識をつかまえて、深い眠りへと誘うデルタ波をオンにしましょう。
人生において大半の時間を占める睡眠。だからこそ制御したいですよね。最近では睡眠の質を問われるシーンが増えてサプリメントや飲料など様々な睡眠サポートのグッズに事欠かない。自身が今頭の中がそのキャラクターに支配されているかを客観視し制御できれば武器になるに違いない。
自分の中にある4つのキャラを巧みに変えて人生を快適に過ごすためのバイブル。神経解剖学の科学的見地から得た新しい知見があなたの問題を解決します。
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