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関係する女 所有する男|斎藤環|大テーマ「性差」とは一体なんなのか?

男女の性差を語るとジェンダー問題が生じることがありそうだが、そんなことは置いておいてさまざまな側面から男女の違いを考える書籍。人気の精神科医による大テーマ「性差」とは一体なんなのか?

精神疾患とホルモンの関係

極端な例ということで言えば、やはり病気の話がわかりやすい。

人はジェンダーのいかんを問わず、心を病むことがある。心の問題である以上、男と女で重なり合う部分のほうが大きい。しかし、後で述べるように、身体が少しでも関係する疾患では、かなりジェンダーごとに頻度が異なる。

むしろ不思議なのは、身体的な原因がないにもかかわらず、はっきりと性差が認められる精神疾患がけっこう多いことだ。僕が男女の性差について、どちらかと言えば後天的に与えられる要素を重視しているのは、こうした臨床経験によっている。

性差ということで僕が真っ先に思い浮かべるのは「性的倒錯」だ。かつては病的とみなされたり治療が試みられた時代もあったが、現代は倒錯イコール病気として扱われることはほとんどない。「治療」がなされうるのは、せいぜい常習的な性犯罪者の矯正くらいだろうか。だから今は、「クイア」とか「セクシュアル・マイノリティ」という言い方のほうが一般的だろう。それはともかく、この種の倒錯の問題は、ほぼ男性の問題とみなされる。

たとえば服装倒錯と呼ばれる嗜好がある。これは男性が女装するというパターンがもっとも多い。注目すべきなのは、一般にこのタイプの服装倒錯者は、同性愛者ではなく異性愛者であるということ。だから彼らの最大の楽しみは、女装した自らを鏡に映して自慰をすることであるという。もちろん女性が男装したっていいわけだが、こちらは一般に、その行為自体からは性的満足は得られないらしい。男装はむしろ、性同一性障害や同性愛などを実践するための手段として二次的に選ばれることが多いという。

ジェンダーの違いは外見のみならず精神にまで及ぶことも多く、その組み合わせは多岐にわたる。マイノリティの存在は最近になってやっと認識されるようになり少しずつ理解されるように。若い子たちはそれが当たり前の世の中で生きているので、そういう問題に敏感だったりして彼らが大人になる頃にはだいぶ世間も変わっていることだろう。

「ひきこもり」の性差

心因性の疾患は、広い意味では社会や文化の影響を大きく受けると考えられている。それがもし事実だとすれば、どういうことになるだろうか。少なくとも、性差と呼ばれるものが社会・文化的に構成されていることの、ひとつの強力な傍証にはなるだろう。

たとえば、そのまま「病気」とは言えないけれど、僕が専門とする「ひきこもり」にも性差がある。そう、圧倒的に男性が多いのだ。僕の著書『社会的ひきこもり』(PHP新書、一九九八年) で紹介した調査データでは、八割が男性だった。ほかにもひきこもりに関する統計データはいくつもあるが、どの調査でも全体の七~八割を男性が占める結果になっている。もちろん臨床の現場でも、男性事例の相談がほとんどだ。

こうした性差の理由として、本来ならば、まず生物学的な要因を考慮しておくべきだろう。しかし今のところ、それをはっきり示すような報告はみあたらない。ひきこもりに発達障害が多く含まれているという説があって、さきほども述べたように発達障害は男性のほうが多いから、性差と関連づけるならこのあたりの影響をまず考慮すべきかもしれない。ただし僕は、ひきこもりと発達障害との関連性については、かなり慎重な立場を取っているので、この影響がそれほど大きいとは思えない。

性差を考えることはそれによる心因反応を研究することにもつながる。性差に対するなぜ?を慎重に考える上でこのような取り組みを加速させる。

男女の違いを考える書籍。ジェンダーフリーな世の中を作り上げる上で重要となってくるこのような性差を学んで偏見をなくしていこう。

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