選手で監督で50年に渡り球界で実績を上げてきた伝説のメモ。知将ならではの野球論は「人づくりのポイント」「指揮官・リーダーの心構え」「機能する組織のあり方」など、上司としての管理術の数々だった。
小事が大事を生む
イチローを最初に見たのは彼が入団1年目のオープン戦でのこと。私には彼がとても 18 歳には思えなかった。打撃練習中にゲージの後ろから見たのだが、構えだけでも実に雰囲気があった。
オリックスで金田義倫という峰山高校の後輩がフロントとして働いているのだが、彼に「ええ選手やな」といったら、「いいでしょう」という言葉が返ってきた。久々に高校を出たばかりの野手が1年目から活躍するのかなと思った。
松坂やダルビッシュ有(日本ハム)、湧井秀章(西武)など、投手がルーキーイヤーから出てくることは珍しくないが、野手で高卒1年目からレギュラーとなると、近年では清原、広島の前田智徳以来いないのではないか。
ところがそれから1年たったあとも、あのときの高校生(厳密にいえば初対面のときは卒業式を終えていただろうが)が出てきたという話は聞かなかった。
そこで翌年のオープン戦でオリックスと当たったとき、金田に「おい、あの鈴木って子はどうしたんや」と尋ねた。
すると金田が「土井(正三)監督が使わないんですよ」という。 「どうしてだ」と驚いた。すでに当時のイチローは誰が見ても一軍でも通用するという域まで達していた。ところが金田がいうには、「土井監督が、あの振り子打法が気に入らない」とのことだった。 「あんな格好でプロの球が打てるわけがない。あの打法を直さないかぎりは一軍では使えない」
そういって一軍に上げようとしなかったらしい。
まさに固定観念である。確かにイチローという選手は、「いい格好をしよう」という意識が見え隠れする。
「振り子打法が気に入らない」そんな理由で一軍に行けなかったというのは固定観念が生んだ悲劇。一流の選手というのは時に一般論からかけ離れた次元で物事を達成することがある。それゆえ理解されないことも多い。
後継者づくりがチームの伝統を築いていく
最近の球界を見ていると、人間教育を重視している監督がほとんどいなくなった。選手を叱らない、怒らない。選手をおだて、気持ちよくプレーさせることを優先する。
誰だって怒られるより褒められるほうがはるかに気分がいい。特に前の監督が自分のライバルである選手を重用したりしてふて腐れていたところ、新しい監督が自分に目をかけてくれたりしたら 俄然 やる気になるものだ。
そういった効果が重なって、新監督になって見違えるようにチームが強くなって優勝したりすることもあるのだが、そんな「のびのび野球」と呼ばれる掌握術で優勝したチームは結果的に何年も続かない。
選手なんておだてておけばいいと思っている指揮官は、「チームに 70 人の選手がいて、一軍に 28 人の選手がいても、試合に出るのは9人」ということを忘れてしまっている。9人プラス先発ローテーションが確保されている投手、あとは抑えの切り札と呼ばれている投手、それ以外の選手はたいていは不安にさらされている。だから選手の多くは不満をもっている。
誰にだって不平不満はあるわけだが、それを口にするかしないかが、いい組織とだめな組織の境界線になる。誰かが不満をいう。そうするとつい我慢していたものが切れて、自分も同じようなことをいったり態度に出してしまう。小さな不満が 蔓延 していくことでチームのムードまでが悪くなっていく。
不満のない人などいないのだが、それをぐっとこらえる抑制術は人間教育ができていないともちえないものだ。不満をもっているということは、裏を返せば理想を描いているということでもある。理想と現実が重ならないから不満をいい、ぼやくのである。
後継者問題、褒めて伸ばす教育というのが今は主流だ。昔のように叱咤激励するというのが一部の人間にとってはパワハラに当たるということもあるのでなかなか叱れないといった現実もある。そこは人間関係をしっかり構築していれば問題ない。最初にそういった教育方法でついて来れる人だけ教えますというスタンスを理解してもらわなくてはならない。
言わずと知れた野村監督によるノートの分析。当時画期的だったデータを多用した指導方法をノートというワードで切り取ります。そのノートにはどんなことが書かれていたのか興味が尽きない。
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