幸せなお金持ちになるため大富豪のえびす様からお金持ちになる秘訣を学ぶ。すると貧乏界の常識は次々とひっくり返されることに。主人公の成長とともに普通の人が読むだけで大富豪マインドを身につけられるお金持ち小説。
数字嫌い、計算は苦手。投資で勝つにはどうしたらいい?
仕組みづくり。「いかに自分の時間を使わず、いかに大きく稼ぐか」。例えばどんな稼ぎ方だったらこれが叶うのだろう?と考え抜いた結果、起業か投資かな、というところまでは絞られた。
特にどちらがいい、というこだわりはない。そうね、起業して会社を大きくして、ゆくゆくは社員さんに全てを任せて……といった選択肢を取るなら、実現までに最低でも十年はかかりそう。十年という期間は、私からすると少し、時間がかかりすぎだと感じた。それは、今までに生きてきた人生の半分を費やすということだから。
情熱も自己顕示欲もそれほどなく、飽き性な私には、起業よりも投資のほうが向いているような気がした。投資だったら経営と違って誰かを雇うわけではないから、仮に途中でやめたくなったとしても他人に迷惑はかからないし。よし、消去法で投資に決定。とりあえず、始めてみよう。
元来、決めたらすぐに動かないとムズムズしてしまう性分。早速情報収集を始めたものの……いきなり最初の壁にぶち当たる。まず、用語がちんぷんかんぷん。聞いたことのない単語ばかりで、もはや日本語と認識できない。これは論語か漢文か何か? それに、種類がありすぎる。何を選んだら良いかも、仕組みもわからない。そして極めつけは、私自身が大の数字嫌いだったこと! どうしよう。盲点だった。こんな私でも投資で勝つ方法ってあるのかな? ……私はとりあえず、投資の大先輩であるえびすさまに相談することにした。
「えびすさまって、元々数字得意だった?」
「そうだね、あんまり意識したことはなかったけど、経営者の家系でもあったし幼い頃から数字には親しんでいたかな。どうして?」
「やっぱりそうなんだ~……。私ね、投資を始めようと思ったんだけど、もしかしたらものすごく向いていないかもしれないの。数字嫌いだし、計算も苦手だし。こんな私でも投資ってできるものかな?」
「できるに決まってるじゃないか。やる気になったんだろう?」
えびすさまはいつも通り満面の笑みで、優しく促してくれる。
「それで? 何の投資をしようと思っているの?」
「えっとね、それが相談したいことなんだけど……今、それすらわからないの。投資って私、すっかりひと括りにしてしまっていたのだけれど、ちょっと調べてみたらたくさん種類があって、もうそれだけでお手上げって感じ。えびすさまから見て、私に向いている投資って何かありますか?」
「うーん……、どこを目指すかによるかな。でもあすかちゃんは飽き性だから、結果が出るまでに時間のかかるものはきっと向いていないよね。今のうちから始めておけば、合わなかったとしても簡単に軌道修正ができるし、何より時間を味方につけられるから、基本的には何をしても大丈夫。……そうだなぁ、今すぐに始められて、結果がわかりやすいものか……。
『株』か『FX』はどう? 『不動産』もじっくり育てていく選択肢としては悪くないんだけど、学生の段階ではやりづらいんだよね。学生ローンで不動産は買えないし、そもそも頭金を用意するのがきっと大変だ。最初からそんなに大きな勝負を仕掛ける必要はない。大学生でもできて結果がわかりやすいもの、少額でも良いから稼げる可能性を実感できるもの、となると、株かFXあたりが順当なところだろうね」
初心者に株かFXどちらがいいかと聞かれるが相手が若ければインデックスに積立投資をお勧めしている。この本では個別株やFXを儲けが早くわかるものと位置付けて取り上げているが、この二つほど初心者に向いていないギャンブル的な要素の強いものはない。巷には株やFXでガッポガッポみたいな文言で誘う広告などが多く見受けられるが、これはお勧めできない。短期間でトレードを繰り返すデイトレードやスイングトレードに誘導しようとするのは証券会社の企みです。売り買いを頻繁に行えば行うほど証券会社は手数料で儲かるからそうした広告が打たれているのであって、これで儲かるのは胴元である証券会社ということに。銀行や証券会社がやっているサービスの一つであるファンドラップなんかはもっと酷くてトレードはお任せということで手数料ビジネスとなっています。最近流行りのAIによる自動の投資アプリなんかも同じで手数料が高すぎます。こうした胴元(証券会社)が儲かるようなシステムには目もくれず淡々とインデックスに積立投資するのが賢く堅実な投資かと。
「幸せなお金持ち」になる三つの条件
「この世には、幸せな金持ちと不幸な金持ちが存在する。今日は改めてそれを定義していこうか」
「二種類のお金持ちが存在するってこと?」
「そう。お金を持っても幸せな人、お金を持つと不幸になる人。前者は幸せを更新し続け、後者はやがて没落していく。せっかく金持ちになるのであれば、幸せな金持ちサイドにいたいよね?」
私は大きく頷いた。その二択だったら、幸せなお金持ちにしかなりたくないに決まってる。
「お金だけを稼いでも意味がない。単にお金を稼ぐだけでは、幸せな金持ちにはなれない。幸せな金持ちになるために必要な三つの要素はね、
・お金
・時間
・仲間
だ。いくらお金を稼いでも、時間がなければ使えない。お金と時間があっても、一緒に使う人がいなければつまらないし、そもそもお金自体、ひとりではそんなに必要のないものだ。有益に使いきれないお金だとしたら、それはあってもなくても変わらない。
使うことのできないお金は『死に金』と言ったね。だからこそ、お金、時間、仲間。この三つの要素のどれが欠けても、幸せな金持ちにはなれないんだ。
特に、時間と仲間が欠けている状態ではむしろ『お金なんてなければ良かった』といった、悲惨な結末を迎えることになりかねない。せっかくお金を稼いでも『何のために稼いだのか』『虚しい人生だった』と後悔するような事態は、できる限り避けたいよね。だってそんな人生、悲しすぎるじゃないか」
孤独死、という単語が頭に浮かんだ。たくさんのお金に囲まれてひとりで死を待つ人生。そんな最期は迎えたくない。
「お金があれば幸せになれるわけではない。お金があれば仕事が楽しくなるわけでも、人間関係がうまくいくようになるわけでもない。お金を持つ前も持ってからも勘違いしてはいけないこととして、決して『お金があれば全ての問題が解決できる』という錯覚は起こさないように、とは今までも話してきたよね。お金に逃げたところで、根本は何も変わらない。
お金にできることは限られている。お金があれば死なないわけでも、病気にかからないわけでもない。寿命には抗えないし、古来より今まで、人の死亡率は依然百パーセント。お金はあくまでも問題を解決するための『手段』で、それ以上でもそれ以下でもない」
お金は人生を豊かにするファクターの一つではあるが全てではない。時間や仲間などといった付帯する幸せも加味して総合的に判断し幸せの度合いを計算する。高収入だが忙しすぎるとかお金はないが時間はあるなどバランスを欠いた人生では満足感を得られない。ほどほどにバランスよくが現実的。
職業、お金持ちとあるが、不労所得を得よう的な書籍とはちょっと毛色が違うかと。人生バランスをとるため、あなたに足りないのがお金だった場合役に立つ書籍かと思います。
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