頭にくる一言、傲慢な態度、陰湿な嫌がらせ。どんな職場にも一人ぐらい嫌な人がいるものです。この書籍ではそんな嫌な人から自分を守る「言葉の護身術」を紹介します！
言葉のカウンターパンチ
前項 の「やんわりとオウム返しをする」方法は、上司や先輩など目上の人に対して有効な護身術です。ただ、それも程度の問題。もし、あなたの上司が、
「あなたには期待していたが、どうやら完全に見込み違いだったようだ」
「あなたのせいで部署の評判が地に落ちたよ」
などと、「 人格否定」ともとれる言葉で攻撃してきた場合、「やんわりと〜」などと相手をおもんぱかる必要はありません。
仮にあなたが何らかのミスや失敗をした場合であったとしても、上司にそこまで言われる筋合いはないのです。
ここは躊躇せず、毅然と「 言葉のカウンターパンチ」をお見舞いしましょう。
女性総合職として、地方から東京に転勤してきたＳさんの実例を紹介しましょう。
地方で目覚ましい成績を上げ、それが認められて東京本社に転勤になったＳさん。
ところが、配属先の上司ＴさんはＳさんに開口一番、こうつぶやいたのです。
「女性は結婚や出産もあるし、使えないから来てほしくなかったんだけどな……」
Ｓさんは思わず耳を疑いました。今時、こんな「 男尊女卑のモラハラ発言」を聞かされるとは思ってもみなかったからです。
「おそらくＴさんは、モラハラの常習犯に違いない」
Ｓさんはそう確信すると、Ｔさんのモラハラを告発するために、準備を始めました。
Ｔさんの発言を録音できるようにつねにＩＣレコーダーを携帯し、人事部に告発するルートも確認しました。
そんなある日、事件が起こりました。
プロジェクト終了の慰労会で、ＴさんがＳさんに向かって、
「正直、期待はずれだったな〜」
「よくうちの会社に入れたね〜、うちの人事も見る目がないなあ」
と、 明らかにＳさんを貶める発言 をしてきたのです。
Ｔさんの発言は、完全に人格を否定する「モラハラ発言」です。相手が上司であり、お酒が入ったうえでの発言だったとしても、とうてい許せるものではありません。
ここは忖度も遠慮も必要ありません。毅然と言い返すことが必要な場面です。
実際、ＳさんもＴさんに痛烈な「言葉のカウンターパンチ」をお見舞いしました。
「正直、期待はずれだったな〜」
「よくうちの会社に入れたね〜、うちの人事も見る目がないなあ」
というＴさんの発言に対し、 「……期待はずれって、それ、どういうことですか？
期待するのはそちらの勝手ですよね。文句は人事に言ってください」
「……よくうちの会社に入れたねって、どういう意味ですか？
Ｔさんに人事権あるんですか？ もしかして人事部批判ですか？」
と数秒おいてから、低い声で、そう言い返したのです。そして、とどめに、 「私を侮辱するのはやめてください。謝っていただけますか？」
と毅然と言ったといいます。
Ｔさんは、Ｓさんの言葉が心底恐ろしかったようで、それ以来、人が変わったように、Ｓさんに対して丁寧な態度を取るようになったそうです。
人事部批判ですか？というのには笑った。確かに人材の配置は人事部の仕事だから文句があるということはそういうことに。ICレコーダーに発言を録音するのは更なる攻撃を受けた時の保険としても有効。データをコピーした上で突きつけてやるのもいいかもしれません。
個人情報について
職場では、個人情報について、あまり大っぴらに言わないほうが得策です。
前にも 説明したように、同じ情報でもさまざまなとらえ方をする人がいますし、嫉妬の感情をかき立ててしまい、トラブルの元になる危険性があるからです。
職場での個人情報の公開は「百害あって一利なし」 と言っても過言ではありません。
個人情報は、本当に信頼できると確信した人にだけ言えばいいことです。
職場で、たいして親しくもないのにプライバシーに土足で踏み込んでくる人がいた場合、どう対処すればいいでしょうか？
ここでは、そんな時に相手をうまくあしらう言葉の護身術をお伝えします。
Ｗさんは、金融関係の会社に正社員として入社しました。
結婚して２児を出産し、子どもが小学校に入って手がかからなくなった段階で、夫とは離婚。本格的に職場復帰を果たしました。
仕事はやりがいがありますし、今年から役職もつくことになり、大変充実した毎日を送っています。
そんなＷさんの課に、派遣社員Ｘさんが配属されました。Ｘさんもシングルマザーで、子どもが１人います。
最初はＸさんのことをたいして気にとめていなかったＷさん。
ある日、Ｘさんを交えての課の食事会が開かれた際に、ＸさんはＷさんの隣の席に座りました。そして、
「Ｗさんは私の憧れの女性です！」
「一緒に働けて光栄です！」
と、瞳をキラキラさせながら言ってきたそうです。
ＷさんはＸさんの言葉を聞いて、 正直嬉しくなかったと言えば嘘 になります。
歯が浮くようなお世辞 だとは思いつつ、お酒も多少入っていたせいか、ＷさんはⅩさんに つい気を許してしまったのです。
最近では職場の人間といえども個人情報の開示は控えた方がトラブルに巻き込まれずに安心。SNSなども迂闊に教えてしまうとウザ絡みのDMとかが送られてきて面倒なことに。LINEはもちろんその他SNSも教えない方が良い。
職場でトラブルに巻き込まれないための対人護身術。あなたの身の回りにもきっといる厄介な人からの攻撃をさらりと交わす方法をご紹介。
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