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羞恥心はどこへ消えた?|菅原 健介|「恥」から見えてきたニッポンの今とは?

コンビニの前など地べたに座る「ジベタリアン」、人目も気にせず「人前キス」、電車の車内で座ったと思ったら「車内化粧」を始める女性。「恥」から今の日本を考察。

恥にまみれた人生

通常、人間関係の舞台では、互いのプライバシーを最低限尊重するという暗黙の規範が成立している。つまり、「見るなの禁」は日常生活の中にも普通に存在する一種のマナーなのだ。そして、こうした規範を遵守させるのも羞恥心の仕事である。

いつも職場で共に仕事をしている同僚と、地元のスーパーなどで顔を合わせるのは妙に恥ずかしい。夕飯の食材を物色しているときや家族などと一緒にいる場合はなおさらだ。そんな姿を相手に見られることも恥ずかしいが、逆にアットホームな雰囲気の同僚を目撃したときも何となく恥ずかしくて声をかけるのがはばかられる。

これも相手のプライバシーを覗き見てしまったことの気まずさかもしれない。見たことが知れると、それは「見るなの禁」を破ったことがばれてしまうからである。後になって、「この前見たよ」などと告げると、「なぜ声をかけてくれなかったのか」と、大抵は怒られる。見られていることがわかれば、それなりの仮面を被れたはずなのに、ということである。

また、目の前でカップルがいちゃついているのを間近で見るとき、私たちは妙な恥ずかしさを覚えるが、これも「見るなの禁」を破ってしまった感覚にとらわれるからだ。

他人の性的行為はあくまで秘め事であって見てはいけない。たとえ、相手が堂々としていても、そうした暗黙の規範意識を持つ私たちにとっては、その場に居合わせ、目撃し続けること事態がマナー違反であり、羞恥心の警告を受けるのである。電車の中で堂々と着替える女子高生や化粧をするOLを見て、こちらの方が恥ずかしくなるのも同様の理屈と考えられる。そうした行為は本来、「見るなの小部屋」の中で行われることだ。

このように、他人にプライバシーを覗かれるのも恥ずかしいが、他人のプライバシーを覗くほうも恥ずかしい。結果として、人々は安心して素顔に戻れる「見るなの小部屋」をお互いに確保し合うことができる。

他人のプライバシーを目にした時、恥ずかしいと感じられるうちはまだ羞恥心が残っているのだろう。世間一般でいう恥ずかしい行為を見てしまった時、なんとも思わなくなったり、逆に進んで他人のプライバシーを覗きたいと思ったらちょっと異常だと認識した方が良い。僕は自身の行動に恥ずかしいと思うこともあれば、他人のプライバシーを覗こうとする行為がエンタメとして成り立っていることにも違和感を感じる。芸能人(今ではYouTuberなど)がその標的なのだが、いきすぎた行為は犯罪に直結する。そんな危うい他人のプライバシーを覗こうとする行為がやめられない人が一定数いるのは残念なことだ。そうした人にこそ羞恥心は必要だ。

引っ込み思案(シャイネス)

シャイネスという性格がある。引っ込み思案とか恥ずかしがり屋などとも言う。人前に出ると、何か大きな失敗をして恥をかくのではないかと恐れるあまり、行動を抑えてしまう。もっとも、こうした意識は誰にでもあることだが、それが極端に出てしまうのが特徴だ。羞恥心が人一倍、敏感なのだろう。恥をかくリスクに対して極めて慎重なのである。

投資の世界でもリスクはある。一般に、そのリスクを冒さないと大きな報酬は期待できない。対人関係の世界でも似たようなところがある。人前に出て、自己をアピールしなければ長所を理解してもらえず、新たな活躍のチャンスは生まれない。しかし、人目につけば欠点も暴かれる。また、先にも見たように、期待されても、それに応えられなければかえって批判を受ける。これが対人関係におけるリスクとリターンだ。自己顕示欲の強い人は、リスクを覚悟し、大きなリターンを求める。〝ハイリスク、ハイリターン〟戦略だ。その反対に、シャイな人は、リスクの回避を重視し、少ないリターンで我慢する。〝ローリスク、ローリターン〟な戦略である。

リスクを回避する戦略をとれば、人から嫌われたり大きな失態を演じたりすることは少ない。しかし、長い目で見ると、リスクを冒す人に水を空けられてしまう側面もあるようだ。

たとえば、恋愛。特定の異性をめぐって、競争になる場合が多い。しかし、ローリスク派のシャイな人は、異性に近づいて失敗することを避けようとするので、結局、自己の存在をアピールできず、恋の駆け引きで後れをとってしまう。恋愛関係を深めるためには、日常的な会話をする段階から、告白を経て、性的な関係を結ぶ時点に至るまで、いくつかの階段を登らなければならない。その都度、必ず相手から拒絶されるリスクを背負うことになる。

僕は自分から告白したことが一度しかない。その渾身の一言も相手に聞き逃されて気まずい雰囲気でやり過ごしたのだが。それくらいシャイネスというのは損をすることも。大事な時に決定できる決断力にかける僕らはローリスクのぬるま湯で育ってきたので、チャンスに弱い。自分に降りかかる火の粉を避けて自分から火に飛び込むこともないので結実の果実を得ることも少ない。唯一僕が思い切って行動を起こしてよかったことといえば株式投資。石橋を叩いて渡るタイプなので前知識を入れるのに投資関連の本を読み漁り実際に投資を始めるまで5年以上かかったが(笑)。

羞恥心は自分の常識と他人や世間の常識のずれから生まれるもの。自分でも十分恥ずかしいことをしているのに、他人のそうした行為には恥ずかしいヤツと思ったりするのだから手に負えない。羞恥心の生まれる状況や原因を探りながら一緒に考える書籍。

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