自分が嫌で仕方がない、自分らしさの醸成の方法、他者との距離感。人間関係に悩む全ての人に送る目から鱗の人間観。
引きこもりと自分探し
そうした中、私の世代に最も多く見られた現象が二つあった。
「引きこもり」と「自分探しの旅」である。 引きこもりは、対人関係をいっさい遮断して、文字通り家に引きこもることである。実家にいるのかどうか、近所のコンビニ程度なら出かけるのか、ネットでは人と交流があるのか、色々なケースがあるだろうが。他方で、「自分探しの旅」は、典型的には海外に行って、まだ知らぬ人々との交流を通じ、「本当の自分」と出会おうとすることだ。
片や内向きのベクトル、片や外向きのベクトルと、方向性としては真反対である。しかし、両者には共通点がある。いずれも、この日本社会の中に居場所を見つけられない、というところだ。
引きこもりは、しばしば、単なる甘えだとか、社会性の欠如だとかいった、批判の対象とされた。また、自分探しの旅は、「自分はここにいるのに、いったい何を探すんだ?」と、ヘンな夢でも見ているように 揶揄 された。
しかし私は、ここまで語ってきた通り、こういう現象がなぜ起きているのか、痛いほどにわかる気がした。
アイデンティティが不安定だからこそ、「かりそめの自分」に翻弄されたくない。漠然としているからこそ、確固とした「本当の自分」を追い求める。
引きこもりや自分探しの旅は象徴的な現象だが、この願望は、真綿で首を絞めるように青年期の人間を苦しめる。
夢を持ちなさい。自分が本当にしたいことは何か、よく考えなさい。そのためには、「本当の自分」を知らなければならない。その自己を社会的に実現するのが職業だ。目標に向かって努力している人は立派だ。目標も持てない人間は、人生に対する真剣さが足りない。
引きこもりや自分探しの旅、別に他人に迷惑をかけなければ全然ありだと思います。ただ、そうすることによって社会的なデメリットを多く抱えることになってしまうことだけ忘れずに。特に金銭面では、どうにかして収入源を得なければ厳しい現実が待っています。僕も引きこもりという言葉ができた時期からの引きこもりで、なんとかお金を得ようとブログをやってみたり株式投資をやってみたり試行錯誤しました。自由になるお金は少ないものの収支はプラマイゼロに持っていくことができたので、今でも引きこもりを続けています。もっとも、みなさんが思っているほどのものではなく、外出もするし、ただおうち時間が極度に長いだけですが。
遺伝要因の影響
さて、この最後の章まで、私はあえて触れてこなかった問題が一つある。そのために、フラストレーションを感じていた読者もいるかもしれない。遺伝の問題だ。
一人の人間が、ある個性を備えるに至るには、大きく分けて、遺伝要因と環境要因とがある。分人を巡るこれまでの話は、専ら環境要因についてだった。どのような場所で、どのような他者と出会い、どのような分人の構成で生きていくべきか?
他方で遺伝要因は、当然のことながらある。私が父を早くに亡くしていることは先述した。一歳の時に亡くなっているので、何も覚えていないが、にも拘らず、父を知っている人は、私のちょっとした仕草や性質に、父と「似ている」ところを発見しては、しばしば驚いていた。そのために、遺伝は、小説家としての私にとって、もう一つの重大な関心事である。
遺伝的要素、似ても似つかないと思っていた父親とそっくりなのが、電話越しの声。親戚が実家に電話をかけてきた時、僕が出るとよく間違えられたものです。趣味やなんかに傾倒するこだわりようも似ていたりと割と遺伝的要素は受け継いでいるのかと思います。育った環境がそうさせているのかもしれませんが。
本当の自分というと大袈裟だが自分を再確認するための補助的役割を担う書籍。自分らしさを失わず社会で生き延びるための方法論がここに。
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