Book

県警VS暴力団 刑事が見たヤクザの真実|藪 正孝|工藤會対策に従事した刑事が明かす、暴力団との戦いのこれまでとこれから

暴力団対策に従事してきた筆者が語る暴力団との戦い。真の暴力団の姿、そして暴力団壊滅のために何が必要かを多くの市民と共有する書籍。

暴力団対策法施行

昭和が平成に変わり平成二年三月、警部補に昇進していた私は、門司署の盗犯係長、北九州市警察部の機動捜査係長などを経て、県警本部刑事部捜査第四課に異動になった。暴力団を担当する四課に初めて配属されたが、盗犯志望だった私にとっては一度も希望したことのない部署である。

だが四課に来た以上、やはり捜査をやりたいと思い、特別捜査班を希望したものの、暴力団排除を担当する刑事部参事官付を命じられた。参事官は暴力団排除活動の中で、生命保険や損害保険などの暴力団対策協議会を担当していた。私がやる仕事は、それら協議会関係者との連絡、調整、そして参事官の秘書兼運転手であり、暴力団そのものと対峙することはなく、物足りなさを感じていた。そのため、捜査経験のある四課のデスクから、耳学問で暴力団について少しずつ学んだ。

平成四年、暴力団取締りに大きな力を持つことになる法律が施行された。「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律」。いわゆる暴力団対策法(暴対法) である。

暴力団を法律上で初めて定義し、「その団体の構成員(その団体の構成団体の構成員を含む。) が集団的に又は常習的に暴力的不法行為等を行うことを助長するおそれがある団体」と定め、一定の条件で「指定暴力団」に指定することができると定めた。さらに指定暴力団員がその威力を背景に、要求行為をすることを禁じた。

だが当初、この暴対法への四課の捜査員たちの評判は芳しくなかった。「せっかく法律を作るなら、暴力団そのものを禁止しろ」「(要求行為への) 中止命令なんかかけても、暴力団員が言うことを聞くわけがない」「三年ごとに指定しなおすなんて大変だ。一回指定すれば、それでいいじゃないか」といった意見が多かった。暴力団について素人だった私自身も、暴対法はまどろっこしく感じた。

現場の評判がよくなかった中止命令だが、実際はみかじめ料の要求に対して大きな抑止効果を上げた。

みかじめ料の要求は多くの場合、恐喝事件に該当する。だが大抵は被害者側が相手を暴力団員と認識しており、敢えて暴力団員側が脅迫や暴行を加えなくても、逆らった場合に起こることを想像して被害者側は不当な要求に応じている。その場合、恐喝事件としての立件は難しい。また、立件するためには、被害者からの被害届、参考人供述調書の作成、その他の証拠資料の収集といった捜査手続きを踏まなければならない。そもそも、被害者が暴力団側のお礼参りを恐れ、被害の届出を拒むことも多い。

そういったグレーゾーンの行為でも、中止命令は可能だ。被害者が相手を指定暴力団員だと認識していれば、その背後にある指定暴力団の威力は十分に理解されているからだ。

中止命令の場合、事実関係の裏付けは当然行うが、簡単な事情聴取書の作成で足りる。また、暴力団員は命令に従えば、逮捕されることはない。下手にお礼参り等を行えば、今度は警察から徹底的に取り締まられることになる。彼らは逮捕されなかっただけ得と考えるものだ。暴力団員が最も恐れているのは事件が発覚して、警察に逮捕されて服役することなのだ。

暴力団が一番恐れていることは事件化して警察に逮捕→服役というパターンだという。僕の感覚だと服役も厭わないという印象だったので意外だ。確かに服役してしまうと暴力団といえども無力だ。暴力団の取り締まりは法のもと日々行われているが事件化はあまりしていない様に思う。その辺の匙加減で警察にはたてつかない様に組織立って行動している案外クレバーな集団なのかも。

暴力団の現状

第一部では、福岡県警と暴力団、特に工藤會との戦いについて、個人的経験を交えて述べてきた。第二部では、今後、市民がどう暴力団と向き合い、戦っていくべきか、私の考えを述べたいと思う。

令和元年十月十八日、六代目山口組ナンバー2の 山清司若頭が出所した。それを機に、分裂した神戸山口組との間で複数の死傷者が出る襲撃事件が起こり、ついに令和二年一月、両団体は「特定抗争指定暴力団」に指定されるに至った。  とはいうものの、当該地域以外の皆さんは、暴力団の具体的な脅威は感じていないだろう。

実際、暴力団員、そして準構成員は年々、その数を減らしている。

図2は昭和三十三年以降の「暴力団勢力」、図3は平成三年以降の「暴力団員」「準構成員等」の数と、その二つの合計である「暴力団勢力」の推移を示したグラフであり、数値は各年末のものである。準構成員等とは、暴力団または暴力団員の一定の統制下にある者、つまり手足となっているような者のことだ。資金や武器の提供など暴力団の維持、運営に協力している者を指す。

データのある昭和三十三年以降、昭和三十八年までに勢力が大幅に増加している。昭和三十八年末がピークで、約十八万四千百人を数えた。同年の都道府県警察官の数は約十三万七千五百人であるから、全国警察官数よりも暴力団勢力のほうが多かったのだ。

その後、昭和三十九年からの第一次頂上作戦、昭和四十五年からの第二次頂上作戦によって数は激減しており、いずれも暴力団の弱体化に一定の効果があったことが明らかだ。

しかし、昭和五十年の第三次頂上作戦以降、暴力団勢力の減少傾向が弱まっている。

平成三年に暴力団対策法が制定されると、暴力団員が減って準構成員等が増加し、平成十八年末には逆転している。結果、全体の数である暴力団勢力としては横ばい状態が続いていた。

だが平成二十三年十月の東京都と沖縄県を最後に、全国都道府県で暴力団排除条例が施行されると、以後、暴力団員、準構成員等いずれも大幅に減少している。

暴力団を取り締まる気運が高まり現状構成員、準構成員は減少傾向。その代わり半グレなどの新しい組織が幅を利かせている。形こそ違えど反社会的勢力であることには変わりはなくこれも取り締まらなくてはならない。まさにイタチごっこ。

暴力団の今を詳細に解説してくれる書籍。勢力が減少するなか市民や警察との攻防を見える化。普通に生きていると用のない暴力団について学んでいく書籍。善良な市民として知っておきたいその実態とは?

※この書籍はKindle Unlimited読み放題書籍です。月額980円で和書12万冊以上、洋書120万冊以上のKindle電子書籍が読み放題になるサービスが初回30日間無料となっております。PCの方はサイドバーのリンクより、スマホの方は下の方へスクロールしていただければリンクが貼ってありますので興味のある方はどうぞ。なお一部の書籍はキャンペーンなどで無料になっていて現在は有料となっている場合もありますのでその場合はあしからず。

【サブスク】 Kindle Unlimited

Kindle Unlimitedの詳細はこちら

僕が利用している読書コミュニティサイト

【本が好き】https://www.honzuki.jp/

【シミルボン】https://shimirubon.jp/

-Book
-, , , , ,

© 2024 51Blog Powered by AFFINGER5