自分は「大人の発達障害」なのでは、と悩む人が多いなか、その解決策を具体的に示した本は少ないのが現状です。本書には、発達障害当事者である著者が、試行錯誤と度重なる失敗の末に身につけた「本当に役立つ」ライフハックだけを詰め込みました。発達障害の人はもちろん、グレーゾーンの人、仕事や人間関係がうまくいかない人にも役立つ1冊です。
発達障害者たちの神話
僕を失敗に導いたのは、まさしくそのような発達障害者たちの神話でした。自分は突出した能力を持っていて、それひとつで社会を駆け抜けていけるのか。それとも、欠損を抱えた人間として社会に順応していく努力を重ねる必要があるのか。僕は今、明確に後者が自分であると認識して生きています。僕はジョブズではない。エジソンでもない。社会の中で稼いで生きていくためには、己を社会の中に適応できる形に変化させていくしかない。言うなれば、吞み込むべき事実はたったそれだけなんです。それさえできれば、後は具体的にどうするかという戦略を組み立て、トライアンドエラーを繰り返すだけのことです。この文章を書けるようになるまでに、取り返しのつかない時間が浪費されました。
発達障害者に限らず、僕のような統合失調症患者の中にも偉業を成し遂げた人たちの神話があり、自分もなんて思ったりするが、それはとてつもない勘違いだったりする。それより100人に1人いる統合失調症患者はそれほど珍しいものではなく、才能だって人それぞれと思っていたほうが精神衛生上良い場合が多い。ムンクの叫びという作品があるがあれは友達と橋で別れた後に幻聴が聞こえてきて耳を塞いでいる様子を描いたものだとかいうのを聞いたことがある、しかし、ムンクと同じ才能が自分にもあるかもと淡い期待を寄せるとあとで才能がないことに気づき余計辛くなる。
「メモができない」僕らのための手帳術
「住民税を払う」「ガス代を払い込む」「メールを返信する」。こういう「短期タスク」を処理することが、我々には存外できません。「特に明確な理由はないが住民税を1年払い込まずにいたらものすごい延滞金が発生した」みたいな悲しいエピソードを持っている方も多いでしょう。僕もです。こういった短期タスクの管理はとても難しい。何せ細かい。いっぱいある。でも、やらないと何らかの形で怒られが発生します。生活をきちんとやれない皆さんに社会が牙をむきます。役所の牙は本当に痛い。僕も、市役所で「発達障害があって住民税の支払いが遅れたんですが……。いや特に明確な理由はないんですけど、ADHDにありがちな……」というお話をしてみたことがありますが、「それは大変お気の毒ですが」という枕をつけて、結局延滞金も取られました。ご対応ありがとうございました。次は遅れずに払います。そういうわけで、困ったときの3原則。とりあえず情報の入力先を「集約化(ぶっこみ)」しましょう。「用途ごとに複数のツールを使い分ける」というのはデキる人のやり方です。「必要な物はとりあえず一箇所に集約する」をひたすら繰り返して言っていますが、最も重要な基本戦略です。
発達障害だろうがなんだろうが、役所はそんなこと御構い無しでルールに沿った対応しかしてくれない。なので手続きの類はしっかりとする必要がある。僕も障害者に必要な手続きを定期的にするため役所に出向くことがあるが、これが体調が悪くて行けなくなったらと思うと気が気でない。ネット社会になっているのだから、オンラインで手続きができるようにするなどもっと柔軟に対応してくれればいいのにと思うのだが。
なぜあなたは「休む」のが下手なのか?
日曜の夜に徹夜でタスクをこなして迎える月曜日の絶望、皆さんも覚えがあるのではないでしょうか。 この場合、必達タスクを頭に抱えながら過ごす土曜日も全く休養になっていません。焦燥感にジリジリと焼かれながら、結局動けずに過ごすあの時間、一切回復していないのは覚えがありますよね? そういうわけで、「この日は休む」「この時間まで休む」という予定を真っ先にスケジュール帳に書き込む、という極めてシンプルなライフハックをおすすめいたします。そして、休養は神聖不可侵なる必達タスクであり、他の何かが入り込む余地はないと心得ましょう。ここで重要なのは、「完璧な休日」はまさに「完璧な休日」である必要があるということです。具体的に言えば、 ワイシャツをクリーニングに出したり、付き合い飲みに出たり、部屋を掃除したりするのは「完璧な休日」ではありません。 それは別のタスクです。月に何日の「完璧な休日」が必要かは人によるでしょうが、最低3日は取ることを心からおすすめします。そして、スケジュールを組む段階で「絶対にこの日は休む」と定義してしまいましょう。
スケジュールに完全に休む日を組み込んでしまいましょう。そうすると心に余裕ができます。僕の場合、1日完全に何もしない日を作るのが苦手。自由な時間がふんだんにある分、休みだすときりがないからです。ブログの執筆もSNSへの投稿も一切しない日を決めて、休む日のためにその日のタスクを先に消化することで休むことへの罪悪感を取り払っています。
発達障害の人がそれでも仕事を続けていくために必要なライフハックが詰まった面白い書籍。出来ないなら出来ないなりにやり方を工夫することが大事。これは発達障害でない人にも応用できるものだと感じました。
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