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死なないやつら 極限から考える「生命とは何か」|長沼毅|40億年も続いた生命という現象の本質

生命とは何か?という根源的問いに答えることができない私たち。超高温、超高圧、高塩分、強放射線、強重力……過酷な環境をものともしない極限生物たちの驚異の能力と、不可解きわまる進化を見て生命の現象の本質を見ていく。

「地球最強の生物」とは?

私はいまでこそ「極限生物の研究者といえば誰々」の一人に入れていただけるようになりましたが、もともとは「生命の起源」に興味があり、その研究をしたいと思っていました。にもかかわらず、筑波大学4年生のときに「極限生物」を専門にしたのは、卒業論文のテーマを決められず、迷っていた私を拾ってくれた関文威先生がいたからでした。その後、先生のお人柄に惹かれて極限生物の研究を始め、最初に就職した海洋科学技術センター(現海洋研究開発機構)でも深海研究部に配属されて極限生物を担当したのですが、これらは大まかな方向性は自分で指向していたものの、具体的なアクションとなると、どちらかといえば、なりゆきともいえる経緯だったわけです。そのような私が極限生物にのめり込むきっかけとなったのが、ハロモナスでした。正確を期すとハロモナス・グループです。

高濃度の塩分にも、真水にも、高温にも、低温にもへっちゃらで、食べ物がないところでは従属栄養から独立栄養に切り替えて自分で栄養をつくりだす──ハロモナスこそは「究極のジェネラリスト」といえます。私たちが「極限生物」というとき、どれだけの温度、どれだけの塩分に耐えられるか、という限界のほうばかりに目を向けがちですが、どれだけ広範囲の環境変動に耐えられるか、という視点は「極限」という概念に新しい意味づけを与えるものです。おそらく、その視点のほうが面白く、また「生命とは何か」を考えるうえでも本質的なものなのではないか、という気がするのです。

ハロモナスが地球上のどこに生息しているか、その「生物地理」を調べてみると、このバクテリアは地球規模で一大ファミリーを形成していることがわかります。

深海の生物を特集しているテレビ番組を見たことがある。極限で生きるために進化した生物の不思議な生態はなかなか興味深い。

地球生命の系統は「たった一つ」

遺伝子にプログラミングされている「協調性」が、「第3のカテゴリー」を生みだす──最新の進化論が描きだす地球生命の未来図は、実にエキサイティングです。ダーウィンが 19 世紀に初めて唱えた進化論は、いま、ここまできています。進化論も「進化」しているのです。

しかし、過去から現在にいたるまで変わらない、進化論の「泣きどころ」もあります。それはあくまで「論」にすぎないことです。生物の進化が突然変異と自然淘汰によって起きることは、大腸菌などの目に見えないほど小さな微生物では実験的に確かめられつつありますが、目に見える大型生物では「これだ!」と確かめられた例はまだほとんどありません。だから「進化学」ではなく「進化論」と呼ばざるをえないのです。

そのため、進化論など「信じられない」「嫌いだ」と否定されてしまうと、納得してもらえるような説明をすることは容易ではありません。よく知られているように、米国などのキリスト教の影響が強い社会には、進化論を学校で教えることに反対する人々もいます。だからこそドーキンスもいわゆる「創造論者」に対して一生懸命に進化論の正しさを説いているわけですが、議論はなかなか嚙みあいません。「信じられない」「嫌いだ」という人に対しては、こちらも「自分は信じている」「自分は進化論が好きだ」といいがちになるからです。

実際に、私は進化論が好きです。なぜならこれを正しいと考えたほうが、生物についての多くのことをうまく説明できるからですが、それだけではありません。私が進化論を好きなのは、これを正しいと信じると、地球上のすべての生物が──バクテリアから人類に至るまで──一つにつながっていると考えることができるからです。

極限でも生きるバクテリアから人類に至るまで進化の過程にいる生物たちを見るとそれぞれの能力が人類のどこかの部分になっていたりと興味深い事実がたくさんある。

地球上の生物の系統を具に見ていくと進化の歴史が垣間見える。極限生物の生きるための進化は恐ろしいほど極限だ。

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