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本質を見抜く「考え方」 |中西 輝政|「ほんとうのこと」を正しく判断するための「ものの見方、考え方」

国際学者が明かす世の中の「ほんとうのこと」を正しく判断するための実践的思考法。他人が言う一見もっともらしい判断や見解に左右されずに自身の頭で考え、判断する素地を作ります。

考え始める技術

外国に行くと自国や自分がよりよく見えるようになるというのも、見方を変えれば、外国という鏡に自分を映したからです。この原理で、もっとも鮮明に自分の像を映し出してくれるのが、「自分の敵」の存在です。

輪郭がぼけてあいまいになっていた自分の像も、「敵」という明らかに色目の違う「地」の上に置くと、くっきりと浮かび上がります。

戦後半世紀以上、表面的には平和と繁栄の時代を過ごしてきた日本は、いまになってその自画像の「あいまいさ」が問題になっています。そもそも戦後の日本は、いまだに同じような改革論が論じられ、すべての議論が右に左に揺れ続けています。どうして、この国の「右往左往」は止まらないのでしょう。

大きな理由の一つに、日本特有の「やさしさ」があります。いってみれば、八方美人的なやさしさです。「あちらを立てればこちらが立たず」というのが、あらゆる関係における宿命ですが、日本では個人も政府も、「あちらもこちらも立て」ようとします。

実際はあちらもこちらも立てるわけにはいかず、すべての国を友として等距離につきあうのは不可能です。そういう意味で、「日本にとっての敵」をはっきりさせることが当面の日本の課題といえるのです。

地震をはじめとする天災に対する場合には、とくに日本の「やさしさ」が 遺憾 なく発揮されます。毎年報道される阪神・淡路大震災特集でも、各報道機関は被災者の「悲しみ」により多くの時間を割きます。

こうした報道が悪いとはいいませんが、もっと多くの時間を割くべきは、今後の防災をどうするかという点です。地震という「敵」に備えることが優先されてしかるべきです。

これに対し、つねに大陸という「敵」の脅威にさらされている台湾は、日本の数倍ものエネルギーを持つ震災に襲われても、死者は日本よりはるかに少なくてすみました。目前の敵をつねに意識しているために、己の強さや弱さとふだんから向き合っているからです。 「ことさら敵をつくる必要はない」という議論もあるかもしれませんが、つくりたくなくても、敵は間違いなくいるのです。

平和ボケで「やさしさ」が身に染み付いているのではと思うぐらい日本国民の大多数はこうした思考。だから震災が起きても諸外国と比べ火事場泥棒的な人は少数ですんでいる。それより人助けをする人の方が目立つのだ。

そんな日本が僕は好きだが、世界で競争の波に飲まれていくのではと不安になったりもする。日本が下手に出ることで調子に乗る隣国が出てきたりはっきりものを言わないことで不利益を被ることも。僕の性格もこれと似ている。

疑問を抱く技術

十数年前に世間を騒然とさせた、オウム真理教の事件を通して、「ディベート」という言葉が広く万人に知られることとなりました。当時、同教団の広報を担当していた幹部の名をもじって、「ああいえばジョウユウ」という流行語までも生み出し、連日マスコミを通じて「ディベート」のパフォーマンスが披露されました。

本来「ディベート」は、法廷のように二手に分かれて、論点を分析・検証し、そして論証をしていくというスタイルをとります。議論の場では、数字や論理を駆使することで、相手の反論を抑え、ただ単に論戦に勝利すればいいのですが、本当の意味で心から相手を納得させられるかどうかは疑問です。

数字というのは一番単純明快な論理でできていますが、ほかの言葉と違って具体的なイメージがなく、人間の肌身感覚や皮膚感覚でとらえにくいものです。そのせいか、八割から九割もの人が「数字嫌い」といわれています。

ですから、「ディベート」で勝つための戦略として、都合のいい数字を並べ、肌身感覚ではわからない論理だけで「正しい」理屈を展開されると、聞くほうは反論の手がかりを失って、何か釈然としないまま説き伏せられてしまうのです。

現実の社会でも、同じようなことが政治討論や法廷、企業の会議といった場で繰り広げられています。相手を黙らせたい、自分の思っている方向に結論を導きたいと思っている場合は、形式的に整った論理や数字を振りかざして、一挙にねじ伏せようとします。 「ディベート」の本では、誰も反対できない大義名分をスローガンとして声高に叫んだり、数字や論理を戦術として上手に利用したりせよと教えています。たしかにそういった論戦では有効でしょうが、個人対個人の心からの納得を得られるものではありません。

高学歴な人にありがちな議論して相手を打ちまかそうとする傾向。そんな方法で相手をねじ伏せようとしても相手の共感は得られないし、相手はもうこの人と関わりたくないなんて思うことも。正しいことを言っているならもっと他の方法でその正しいことを納得させる方法を知らなくてはなりません。議論にもやさしさを。

物事の本質を自分の考えに乗せて発信すること。それができている人ははやはり一定程度支持されている印象があります。間違ったことをいくら雄弁に語っても相手には響きません。それどころか論じようとしていること自体が本質から離れていると逆効果に。考え方について学ぶ書籍。

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