今、日本に必要なのは正社員の賃上げよりも派遣、バイト、パートの時給アップだ。生活への影響を極力抑えてインフレ目標を達成する方法とは?「賃金格差の是正」「人口の都市部集中」「不動産バブルを受け皿に」この国の成長戦略を語ります。
とりわけ正規・非正規の賃金格差が大きすぎる
本書の執筆のために、白書を中心にいろいろな資料を読み、たくさんの統計データを調べれば調べるほど、日本の経済社会の大きな問題の 根っこ にあるのは、国際的にみても突出して大きい〝属性による賃金格差〟だと思うようになりました。……これ自体はよく問題になっていることですが、金融政策や景気の話にきちんと結びつけて論じる経済学者はあまりいなかったと思われます。
すでに指摘したことのくり返しになりますが、 ① 男女の賃金格差、 ② 企業規模の大小による賃金格差、 ③ 正規・非正規などの雇用形態による賃金格差、 ④ 勤続年数の長短による賃金格差が、消費不況などの問題の根底にあり、これらは属性による賃金格差といえます。
この話についてのヒントは、筆者の元同僚で『禁欲と強欲 デフレ不況の考え方』(講談社、二〇一〇年) の共著者でもある 阪 本 俊 生 教授(社会学者、南山大学経済学部教授) から、数年前にいただいていたのですが、筆者はすぐには理解できなかったのでした。
今回、自分でデータを調べて考えたからこそ、阪本教授のヒントがなにを意味していたかに気づき、きちんと納得できました。ですから読者のみなさんにも、ぜひ、自分のアタマで考えていただきたいと思います。それは、「日本の賃金格差をどう考えるか?」についてです。なお、その際には公平性の面を考えるな、とはいいませんが、できるだけ経済効率や景気や経済成長の面から考えてみてください。
同一労働同一賃金化が考慮されるようにならないと派遣との賃金格差は埋まらない。ただでさえ正社員と違って企業の都合で契約更新されなかったりと弱い立場な派遣。企業にとって人が足りない時だけ派遣で凌ぐために好都合な面ばかり目立ち圧倒的に企業の方が強い立場であるのは是正しなけらばならない。
物価上昇による被害をもっと減らす方法
帰属家賃の値上がりでのインフレ目標達成には、さらに改善の余地があります。実際に家賃を支払っている人たちの被害を減らすことを考えてみましょう。
じつは、帰属家賃の値上がりによって消費者物価指数が値上がりした部分は、実際のダメージがないものですから、年金などの物価スライドの対象外にしてもいいはずです。そうすると、物価スライドでいろいろな支払いをしている公的支出(中央政府や地方政府の支出) について、帰属家賃を対象外にすることで浮くおカネで、リアルに家賃を支払っている人たちに、なんらかの補助をすることができます。
たとえば、引っ越し費用の補助をしてはどうでしょうか。他の補助もできますが、筆者としては、人が動いてほしいので、引っ越し費用を補助する政策を支持したいところです。こうした工夫をすれば、ここで提案した裏技はさらに威力(アベノミクスでのインフレ目標政策から国民の生活を防衛する力) を増します。
地価がある程度以上のペースで上がってくれれば、帰属家賃の値上がりでインフレ目標達成となるのですから、筆者が提案した〝おしくらまんじゅう政策〟は、じつは、この裏技を組み込んでいます。おしくらまんじゅう政策は、物価上昇による被害をかなり小さくすることも考慮した政策だったのです。
リアルな生活費の被害を小さくしたいと考えるみなさんが、都市部の地価を安定的に上げる政策が望ましいと感じて、そうした政策を期待してくれれば、それが不動産価格に反映されますから、よりいっそう、おしくらまんじゅう政策が実現に近づき、また、リアルな被害が少ないかたちでインフレ目標達成に近づきます。
筆者の提案通りにならないとしても、アベノミクス期待のなかで、REITの価格はしっかり上がってきました。図表67に、二〇一三年三月一日までの東証REIT指数の推移を載せました。一二年夏から月平均四%ほどのペースで上昇しています。上昇ペースはもう少し緩やかになってもかまいませんから、上昇がしっかり続くように、あとは日本銀行が注意してくれればいいのです。
物価上昇に伴い賃金も上がってくれればいいが中小企業だとなかなかそれも難しい。最近ではNISAが少額なら実質無税となる措置が取られ株式投資のハードルが下がっているのでこれらを利用し投資を始めてみるのも良いだろう。そうすれば自社の賃金が上がらなかても業績の良い企業の株を持っていればキャピタルゲインで補填できる。
正社員との賃金格差問題を見ながら、今後の日本の景気上昇にはどのようなハードルがあるか考察する書籍。本当に必要な経済成長戦略とは?
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