やりたいことがなく才能の意味すらわからない。好きな仕事と向いている仕事、天職って?働く意味って何?そんな働く理由についての疑問を人生の先輩たちと一緒に考えよう!
木田元(哲学者)
近年、若者に人気のある職業として「ユーチューバー(YouTuber)」(独自に制作した動画を継続的にアップして、動画の再生回数によって広告収入を得る人たち) が注目されている。ここで疑問に思うのは、「ユーチューバーは果たして職業名なのか」ってことだ。職業というからには、その職業に特有の専門的な知識や技術がなければいけない。ユーチューバーをめざすと決めたとき、どういう知識や技術を身につけていけばいいのかが見えないのだ。 ユーチューブにはビデオブログ、ハウツーもの、ペット、商品紹介、やってみた系、料理、ゲーム実況、メイク・ファッション、衝撃映像、政治・ニュースなどのジャンルがある。いずれも何らかのコンテンツをユーチューブという表現媒体を使って流すことで広告収入を得るという仕組みだ。このコンテンツが職業名と関係してくる。ユーチューブというのは特別な撮影技術や編集技術を持っていなくても気軽に投稿できてしまう仕組みだから、こういうことに関する知識や技術は必要とはいえ、差別化の要素にはならないだろう。 「ビデオブロガー、映像作家、YouTuber」などの肩書きを持つ愛場大介は若者がユーチューバーに憧れるという風潮に対して「あなたは何を持っていますか?」と問うている(『You Tubeで食べていく』光文社新書)。あなたはどういう技術や知識を持っているのかを聞いているのだ。続けて愛場は「中味が空っぽではダメ」「自己を確立する前の子どもが『何も持たずに』ただ他人の真似事をして『オレのほうが面白い』と騒ぐだけなら、その前に時間を割いて学ぶべきことは山ほどあるはず」と書いている。 ユーチューバーになりたいというのは、ユーチューブを表現媒体として何らかのコンテンツを提供する者になりたいということだ。ユーチューバーになりたいのなら、自分はどういうコンテンツを提供することに興味を持っているのか、そういう能力がありそうかを考えなければいけない。また、必ずしも専業ユーチューバーをめざす必要はなくて、副業や複業としてユーチューバーをするというあたりを目標にしよう。 職業というのは基本的に、時間とお金とエネルギーをかけて知識や技術や価値観を習得し、それを消費者に提供することでお金を得るということであり、ユーチューバーであっても、その仕組みに変わりはない。そういうものが何もないと、無理やり再生回数を増やすために、過激な動画へとエスカレートしていくことになる。世の中に楽して稼げる商売はない。
あなたはどのようなYouTubeチャンネルをチャンネル登録しているだろうか?そのチャンネルを見続ける理由は?そう考えるとよく見るチャンネルはなんらかの専門性を持ったチャンネルであることが多いだろう。YouTuberになりたいと思うなら、専門性を磨き続けなければ大多数のなかに埋もれてしまう。チャンネル登録者数も思うように伸びず収益化も難しいだろう。運よく収益化を果たすことができてもサラリーマンやアルバイトを地道にやっていた方が全然稼げるという状態の人が大多数なのだ。そうやってだんだん更新が滞ってやめていくはめに。
P・F・ドラッカー(経営・経済学者)
最初の仕事選び、最初の会社選びはもちろんくじ引きではない。ほとんどの場合、本人がしたい仕事、本人が入りたい会社を選んではいる。しかし、その仕事やその会社の実態が不確かなものであり、仕事や会社を選ぶ自分も不確かなものであることを考えると、それを選んだとは言っても、そこにどれだけの合理性があるのかというと、たいへん怪しい。よく分からないものとよく分からないもののマッチングなのだから、両者がぴったり合うはずがない。そう考えると、最初の仕事選び、最初の会社選びは、くじ引きであるという表現もまんざら間違ってはいない。くじ引きなんだから「最初から適した仕事につく確率は高くない」のは当然である。「石の上にも三年」ということわざがある。「冷たい石の上でも、三年間座り続ければ暖まる意から、たとえつらくても我慢強くがんばれば、むくわれる」という意味である。この場合の 「三年」に深い意味はなく、多くの月日ということを「三年」という数字で表しているにすぎない。 学校を卒業して就職した若者に対して「石の上にも三年だよ」とよく言われる。三年という数字にこだわる必要はなくて、何が何でも会社に三年いなければならないというわけではない。だからといって、数ヶ月ごとに職場を変わることを推奨しているわけではない。一つの目安として「最低でも一年、できれば三年」は一つの会社で働きたい。 黒田真行は『転職に向いている人、転職してはいけない人』(日本経済新聞出版社) の中で転職の回数と転職の成功率について次のようなデータを示している。 2回目までの転職―学校を卒業して最初に入る1社目の会社から数えて、3社目の会社への転職―までは成功率に大きな影響はない。しかし、3回目以上の転職になると成功率は下がっていく。その上で黒田は「石の上にも三年」という言葉に囚われて転職を思いとどまる必要はなくて、最初の就職から3社目までに自分が長く働けるような場所を見つけるように努力をするべきだという。
転職を経験して思うことは今までのキャリアを過信してやいないかということ。同じ会社に長く勤めていればどんな職場でも慣れてくる。そして大きな会社ほどサポートしてくれる人材も豊富で自分の実力以上の成果を得ることだってよくある。それを自分の実力と勘違いし、そのキャリアを持って転職すると痛い目にあう。
働き方改革が叫ばれる時代だからこそ読んでおきたい働く理由。働くということの意味を偉人や著名人が回答を出してくれています。名言に学ぶ仕事論。
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