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思考力の地図|細谷 功|論理とひらめきを使いこなせる頭のつくり方

知識は過去の集大成と言える、これに対して思考力は違うものを生み出すための能力であり変化が激しい時代を生き残るのに必須のスキルになってきます。そんな論理とひらめきを使いこなせるようになる頭の作り方の本。

知的能力を構成する要素 VUCA時代に求められる力

なぜ思考力がビジネスにおいて重要なのでしょうか? そもそも本書を手に取っている時点で皆さんはすでにその重要性を理解していることとは思います。本書のテーマである全体像を把握するための「地図」という視点から、ビジネスや日常生活における思考力の位置づけを整理するところから始めましょう。本書の思考力の全体地図のさらに外側、ビジネスや日常生活で必要な能力の全体像をまずは示します。

日本語には「 心技体」という便利な言葉があります。スポーツ選手や芸術家、あるいはプロ棋士等の高度に研ぎ澄まされた能力を発揮して頂点を極めた人たちの描写に「心技体ともに充実していた」などという形でよく用いられます。しかし、これは一般の社会人や学生なども含む、あらゆる人間が能力を発揮するための条件として用いることができる包括的な概念であると考えられます(後述する「フレームワーク」の1つとしても優れたものとして用いることができるでしょう)。ビジネスの能力では「技」としてのビジネススキルばかりに目が行きがちですが、「技」を活かすためにも「心」と「体」も忘れてはいけません。

そう考えると、ビジネスに必要な能力もこの「心技体」の観点で考えることには大きな意味があると言えます。それではビジネスにおける「心」「技」「体」とは何か。1つひとつ見ていきましょう。

まずはわかりやすい「体」からです。どんな職業でも、あるいは仕事をしていなくても、人間として生きていく限り、身体の重要性は誰もが理解していることでしょう。まずは基本中の基本として、普段は意識していませんが「失ったときにその価値を痛感する」のが健康です。もちろん病気やケガをしないという最低限の健康に加えて、良質な睡眠の確保や適度な運動による体づくりなど、仕事のパフォーマンスを一定に保つ体調管理も求められます。

次に「心」ですが、ベースとなっているのは健全な精神です。それに加えてモチベーション、誠実さ、さらには自ら積極的に動ける能動性なども「心」に入ることになるでしょう。

そして最後に残るのが「技」の部分です。「心」と「体」以外の、主に知的能力、いわゆる「頭を使って」発揮する能力がこの「技」の部分であると定義しておきます。

それでは人間の知的能力はどのような構成要素から成り立っているのでしょうか?

これには「心技体」のような決定版となるようなフレームワークはなく、さまざまな人がさまざまな視点を示していますが、ここでは著者の定義する3つの要素を抽出しておきます。

それが「知識力」「対人感性力」そして本書のテーマである「思考力」です。思考力と知識力が直交し、また思考力と対人感性力が直交しているのは、これら2つの力と思考力との関係が、お互いに独立した関係になっているところから来ています。

これらの3つの知的能力は、ビジネスにおけるさまざまな実務を行う上でいずれも必須のものとなります。中でも思考力の重要性が、現代のVUCAと呼ばれる変化が激しく先が読めない時代に相対的に上がってきています。VUCAとは、Volatility(変動性)・Uncertainty(不確実)・Complexity(複雑性)・Ambiguity(曖昧性)の頭文字をとった用語です。

最近本当に世の中の時間の流れが速く感じます。テクノロジーの進化に追いつくのがやっとでなかなか使いこなせないサービスやものが増えています。これを若い子らは簡単に使いこなして日常をより豊かなものとしています。変動の世の中では思考力がますます大事になっています。考える力なくして最新技術を使いこなせません。どんな扱い方ができるのか見極めそして行使していくそんなサイクルで新たに加わったテクノロジーを使いこなすことが生き残りのために必要な時代に。

1つの事実をとらえても、 状況や相手でメッセージは変わる

思考力を構成する重要な要素の論理的思考の取り扱い上の留意点として、 メッセージには「だから何なのか?」が不可欠である ことに言及したいと思います。

具体的には、論理の要素である「結論」について考えてみたいと思います。ビジネスにおける「結論」は、何らかの役に立つものや、何らかのアクションにつながるものである必要があります。

ここで「メッセージ」がビジネスの世界では非常に重要になってきます。つまり、結論の中で、「だから何なのか?」 あるいは「受け手に対してどういう影響があるのか」「どういうアクションが必要なのか」 というものにつなげたメッセージとして、整理する必要がある、ということです。

例えば図表33-2を見てみましょう。何かの売上高の推移として、時間軸で5年間の変化を示したものです。この売上高の変化を見て何が言えるでしょうか。

言ってみれば、これは「事実」としてのデータであり情報です。ここから何が言えるかという点で、実はさまざまなメッセージが考えられます。例えばグラフの全体の傾向にしてみると、おおむね売上高は順調に伸びているというメッセージが導けると思います(図表33-2のN-1)。

ところが次に2013年の落ち込みと2014年の急激な増加から、図表33-2のN-2の「V字形状」を見てみると、今度ここから出てくるメッセージは「2013年の落ち込みにもかかわらず、2014年は再び従来の成長軌道まで回復した」というものにもなりえます。

あるいは大きな傾向として、図ではおおむね成長している傾向であると結論づけましたが、この動きをとらえてみると、この市場あるいは製品については非常に売上高の「ブレが激しい」というメッセージになるかもしれません。

データ社会ではそれの読み取りができるかどうかが重要になってきます。ある部分だけ切り取って自分にとって耳障りのいい捉え方をするようでは現実を見誤ります。よく見かけるのはもっともらしいデータを切り取ったプレゼン。データは大事だけどこれではすぐにボロが出てしまいます。状況や相手によって変幻自在に結論を変えられるデータの運用には気をつけて!

論理とひらめきを使いこなす思考力を養うための書籍。心技体の「技」の部分を強化して変化のうねりを乗り越えよう。

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