ミッションの実現、自己実現、社会貢献など経営者の課題を踏まえトップマネジメントの意思決定をどうやってするかを解説。ドラッカー研究47年の著者による丁寧なドラッカー理論。
企業の目的は顧客の創造
企業の目的についての妥当な定義はひとつしかなく、それは「顧客の創造である」と断じました。
この定義は1954年に出版された『現代の経営』で高らかに宣言され、従来からあたりまえのように支持されてきた「企業の目的は利益の追求にある」という通説を覆す革命的ともいえるものでした。日本では1970年代になっても経営学の教科書には「企業の目的は利益の追求によるゴーイングコンサーン(存続しつづけること)である」と記述されていました。
顧客の創造とは、顧客すなわち社会的ニーズを発掘しそれを満たすことによって、よりよい社会を実現するというドラッカーの原点に直結するものでした。企業の目的を利益追求による企業自身の存続という自閉的・自己完結的なものとせず、あくまでもよりよき社会の実現に貢献することに求め、利益追求による企業の存続はそのための手段・条件でしかないとドラッカーは考えました。
ドラッカーが企業をあくまでも社会の一器官(organ)として捉える考え方は、渋沢栄一から学んだことを晩年になって語っているのも興味深いところです。特に企業の社会的責任について世界で最初に理解した人物として渋沢栄一の名をあげて高く評価しています。
社会活動の中で臓器の一つとして機能する企業。こういった考えは渋沢栄一から学んだのだというのだから渋沢栄一の凄さがここからもわかる。企業が持つ社会的責任、最近ではとりわけSDGsという言葉がキーワードとなって広くその意味が問われている。しかし、サステイナブルな活動を掲げているのに実際にそれを実行するに至ってない会社は多い。とりあえず看板にそう書いておけばいいというものでもないので、しっかりして欲しい。
トップマネジメントのためのイノベーション論
ドラッカーは『マネジメント』で、継続的な成長軌道にある企業は、いずれもイノベーション志向の組織であり、そこには次の6つの共通点があると述べています。
イノベーション志向の組織がもつ共通点
①イノベーションとは価値であり、変化であり、影響であることを知っている
②イノベーションの機会は、体系的に探究することができることを知っている
③イノベーションを実現する戦略をもち、それは体系的な廃棄を前提とすることを知っている
④イノベーションのための、評価基準と予算管理手段をもっている
⑤イノベーションの推進役をトップマネジメントが担い、アイデアを奨励するとともに、変化を受け入れる継続学習の風土をつくりあげている
⑥イノベーションのための活動を既存の組織から独立させ、チーム型組織として取り組んでいる
さらにドラッカーは『イノベーションと企業家精神』で、イノベーションの機会の体系的探究のための方法論としてイノベーションの7つの機会を提唱しています。
イノベーションの7つの機会
①予期せぬ成功と失敗
②産業構造の変化と地域間格差
③ギャップの存在
④ニーズの存在
⑤人口動態の変化
⑥認識の変化
⑦新しい知識・技術
この7つの機会は、成功確率の高さの順に並んでおり、①からのイノベーションが最も成功確率が高く、⑦からのイノベーションが最も成功確率が低くなります。また、①から④は企業が存在する業界内の機会であり、⑤から⑦は業界外の機会です。当初、②は単に産業構造の変化として4番目に位置づけられていましたが、ドラッカーは晩年に地域間格差を加えた表現で2番目に格上げしました(『P.F.ドラッカー理想企業を求めて』『初めての人のドラッカー案内』参照)。
イノベーションが起こる背景が詳しく説明されており、どんな時に化学反応が起こるのかがわかっていれば自らそれを喚起しやすい。こうした点を踏まえながら開発を行えばスムーズにいくと思われる。最も成功率の高いやり方で。
難解で読むのに一苦労するドラッカーの書籍を噛み砕いてエッセンスを抽出した書籍。とりあえず、ドラッカーを読む前に読んでおくと理解が早いかと。
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