アンガーマネジメントという言葉も浸透してきているなか、ささいなことで怒らない、ちょっとしたことで傷つかないのを目標に。人間関係で一番大切なこととは?
いつでも誰にでも穏やかな人なんていない
「いつでも」「誰にでも」おだやかな人などいない
もっと「寛容力」がほしいと思っている人は、 誰かにイラッとするたびに相手のことを責め、それと同時に、無意識のうちにどこかで自分を責めている 可能性があります。
そんな人は、「自分はこうあるべき」という理想が高すぎるのではないでしょうか。たとえば、こんな人を理想に掲げていませんか? 「いつでも、どんなときでもおだやかな人」 「小さなことには一切こだわらない人」 「誰からも好かれる人」 「みんなから尊敬される人」 「どんな人からも信頼される人」 自分もこんな人になりたい──。
ところが、そうはいかないのが現実です。その結果、「自分はダメだ……」と落ち込むのです。
そもそも、〝仏様〟のような人を理想にするから苦しくなるのです。
いつでも、どこでも、誰に対してもおだやかで、みんなから好かれ、尊敬され、信頼されて……なんて、絶対に不可能です。それは、カウンセラーとして「生身の人間」の姿をよく知っている私が断言します。
よく、ビジネス誌の記事などで「こんなリーダーになれ」といった特集があり、歴史上の偉人や、カリスマ的な経営者が「理想像」として取り上げられたりします。
もちろん、こういった記事を読み、「こんなふうに人を率いることができるリーダーになりたい!」「こんなふところの深さが人を引きつけるのか。自分も今日から実行しよう!」などとやる気を高めるのはいいのですが、注意しなければいけないのは、こういった記事で取り上げられている人たちは〝偶像化〟されているということです。
人間ですから、本来ならその人たちにも弱点はあるし、悪い面もあるはずです。なのに、そこには目をつぶり、完璧な部分だけを取り出してそれを理想とし、追いかけようとする。しかし、追いつけるはずがありません。相手はスーパーマンですから、リアルな、生身の人間である自分との差は広がる一方になります。そして、いつまでたってもその理想像に近づけないことで自信を失ってしまうのです。
寛容力がほしいなら、もっと「生身」の人間について知ることが大切です。
人間というものは、完璧ではない。 一定ではない。 一貫性もない。 その「事実」を知ることがとても大切であり、このことには、本書でも折に触れて言及していきます。
理想のリーダー像というのは作られたモノだったり偶然が重なって成功した人をモデルにしているので「現実にはそんな人いないよ」ということになりかねない。そのことを理解した上で理想を追いかけると割とうまくいくような気がする。
そのイライラは本当にあの人のせい?
あなたが朝、会社に出社したとします。
席に着くと、午前中に行なわれる予定の会議に必要な資料を部下が持ってきましたが、その資料に文章の誤りがありました。 「なんでこんな初歩的なミスをするんだ!」と怒鳴り、いつも自分を怒らせる部下に対して、あなたは、はらわたが煮えくり返りました──。
しかし、「こいつはいつも自分を怒らせる」というのは、あなたの思い込みであることが多いのです。このことは、「時系列」で振り返ると、気づくことがあります。
たとえば、もし、あなたが出社して、部下に怒るまでの間に、こんなことが自分に起こっていたとしたら──。
①朝、家を出る前に、妻とちょっとした口論をした
②外に出ると、花粉症で鼻水が止まらない
③駅までの道のりで、なぜかいつもより赤信号に多く引っかかった
④電車の遅延があって大混雑、出社も遅れてしまった
⑤席に着いてパソコンを立ち上げ、メールを開くと面倒な案件の連絡があった
そんなところに部下が会議用の資料を持ってきたが、誤りがあった。そして、「なんでこんな初歩的なミスをするんだ!」と怒鳴ってしまった──。
いかがでしょうか?
このように「時系列」で振り返ってみると、あなたが部下を怒鳴るまでの間に、繰り返し繰り返し、怒りの火種が起こっていたことがわかります。
もし、①から⑤までのイライラがまったくなかったとしたら?
部下のミスに対して、「ここ、違っているよ。急いで修正しておいて」の一言で終わったかもしれないのです。
子育て中のお母さんで、「子どもを寝かしつける直前の歯磨きの時間に、毎晩のように怒ってしまう」という人がいました。
保育園から帰宅した子どもに、ご飯を食べさせて、一緒に遊んだあと、お風呂に入れて、パジャマを着させて、さあ、歯磨きをしたらおやすみなさいしようね、というときに「もっと遊ぶ〜」「歯磨き、イヤ〜」とグズられる。「なぜ、うちの子はいつもそうなんでしょう。子どもがちゃんと歯磨きしてくれれば、私も怒らなくてすむのに……」と、お母さんはいいます。
私はこう答えました。 「私には、子どもが歯磨きを嫌がることがあなたの怒りの直接的な原因ではないような気がします。その時間帯が、あなたの一日の疲れのピークなのではないですか。一日中必死に頑張って、くたくたの時間。子どもが寝てくれたらようやく一段落つけると思っているところでグズられる。つまり自分の疲れによって堪忍袋の緒が切れやすくなっているのです。怒らないためには、子どもの歯磨きにこだわるより、まず、あなたの蓄積疲労をコントロールすることが有効かもしれません」
怒ったり、イライラしたりする原因を「特定の相手」に決めつけてしまわないようにしましょう。
日常的に怒ることが多いなと思ったら自分の行動を振り返ってみてほしい。そこには理不尽な怒りや、怒る理由が曖昧だったりする事例が必ず出てくるはず。イライラすることがあったらその原因を特定の誰かに決めつけないというステップを踏んでみよう。
寛容であることは自分自身の心身にも良い影響があるかと思います。怒らない技術というのはある程度存在しているので、それをスキルとして身につけていきましょう。
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