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実践版GRIT やり抜く力を手に入れる|キャロライン・アダムス・ミラー

人間の集中力は金魚以下だそうです。そんな人の集中力の持続時間(7秒)を意識しつつ、注意力散漫な現代を走り抜ける資質「GRIT=やり抜く力」を身につけるべく指南。どんな場面でも成功と失敗を決するのは「才能」よりも「グリット」!!

グリットの低い世界

鬼ごっこやドッジボールやそり滑りといった子どもの定番の遊びや活動は、次第に「危険な遊び」として学校や地域で禁止されていった。マニュアル車の運転や縦列駐車のやり方を覚える若者はどんどん少なくなり、今や自動運転機能のついた自動車が出てきて、ゴルフカートの操作以上の難しい操作ができる必要はなくなってきている。加えて、携帯電話の出現により、外出するときには自分がどこに行くべきかも、そこへどうやったら辿り着けるかも、携帯電話が教えてくれるようになった。ヘリコプター・ペアレントたちは携帯電話を通じて子どもの帰宅経路を自宅のパソコンで知ることさえできる。子どもに怪我をさせたくないという親の願望は、コンセントにカバーをするというところから始まり、ついにはプレティーンやティーンになった子どもたちの目と耳にもカバーをし、彼らを困惑させるすべてのものを見ることも聞くこともできなくしてしまった。実際、ニューヨークのとある小学校では、保護者宛てに送られてきた子どもの通信簿に、「極めて慎重に」扱うようにという注意書きが添えられていたという。つまり、批判的なコメントや悪い成績を見た子どものトラウマにならないよう、もし親から見てその心配があるのであれば、学校側は児童につらい思いをさせないために偽物の通信簿を作ると言っているのだ。また、扱いづらくなったのは成績表だけではない。多くの小中学校、高校で、子どもたちにとって不適切だと保護者が判断した図書や題材を授業で取り扱うことを禁止すべきだという要望が次々と押し寄せ、学校側はそれを黙って受け入れるようになってきた。禁止になったものには、『ハックルベリー・フィンの冒険』や『ハリー・ポッターと賢者の石』も含まれている。こうした、「脆弱な脳を持ったティーンたち」が大学へ進学し、何か感情を傷つけるような話の矛先が自分に向いたと感じると、彼らは弱い立場にいる教授や、下手をしたら同級生にまで、いわゆる「マイクロ・アグレッション」〔明らかな差別や偏見ではないが、そうともとれる微妙な言動のことを指す〕だとして苦情を申し立て、その結果訴えられた同級生には不名誉な記録が残され、そして彼らに「脅された」教員は、その後のキャリアを打ち砕かれることになる。

公園の遊具を間違った使い方で遊ぶことで危険が及ぶことはあるが、その危険かそうでないかの判断力を身につけるという意味でも、子供にその決断を委ねた方が得策だと思う。しかし、今の親御さんは少しでも危険があればそれを取り除く方向に持っていく人が大多数なようで、使用禁止の遊具が増えてきています。多少危険な遊びの方が面白かったりするし、集中力を発揮するのに有効なので残念なことではある。

グリットを高めるための下準備

「何事もタイミングが肝心だ」とよく言うが、目標に関しても同じだ。プライベートでも仕事でも、リスクを負い、居心地の悪い状況に身を置き、慣れ親しんでいる活動をやめ、守られた空間から外に出るには、情熱や粘り強さといったグリットの要素のすべてが必要となる。私は、生半可な気持ちでいる人や、夢を追う決断ができずにいる人とは目標達成に取り組みたいとは思わない。なぜなら、一緒にやり始めても、最初から失速し、自信を喪失し、諦めることになったら、双方にとってフラストレーションになるからだ。人の生涯には、年齢の節目をうまく利用して、自然な流れで未知の世界に飛び込むことができる大事なタイミングがいくつかある。私のところには、今の人生に甘んじてしまっている状態にいながらも、夢を追うことでもっとワクワクできるのかどうかを確かめてみたいと思ってやってくる人が多くいる。また、子どもが巣立ったあとに空の巣症候群に陥ったときや、その人にとって重要な意味を持つ誕生日── 40 歳、 50 歳、 60 歳などをきっかけにする人もいる。そうした節目が近づいてくると、突然、「人生はあっという間に過ぎていってしまう」 という感覚に目覚めるのだ。そしてそのとき初めて、自分が現状から抜け出せないでいることや、自分の人生に満足していないということに気づく。心理学では、そうした現象は「フレッシュ・スタート効果」と呼ばれている。リスク・テイキングのもうひとつの重要なタイミングは、他の何か、例えば人間関係や仕事などで何ひとつ成功できなかった人が、もうこれ以上何も失うものはないと感じたときだ。その例として有名なのはJ・K・ローリングだろう。2008年にハーバード大学の卒業式でスピーチをした際、彼女は『ハリー・ポッター』を書こうと思ったのは「もう失うものは何もなかったから」と言っていた。

何かを始めるのに遅すぎるよいうことはない。ケンタッキーフライドチキンの、カーネル・サンダースにしろ『ハリー・ポッター』のJ・K・ローリングにしても歳を重ねていながら諦めなかった「GRIT=やり抜く力」があったから成功したわけで、途中で何度も挫折しかかってもやめなかった結果が晩年に出たわけである。人間の脳や筋肉は鍛えれば年齢に関係なく強化できるのであとは「GRIT=やり抜く力」がものをいう。

「GRIT=やり抜く力」を手に入れて人生の壁に立ち向かおう。あなたのパフォーマンスを上げる科学的な方法、人生を劇的に変えるメソッドがそこに!!

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