孤独死などが心配、老後の不安は尽きません。家族が近くにいれば安心感はありますが、そばにいるからこその不自由さは否めません。孤独こそが至福の老後であると主張する著者の老後を幸せにする方法。
「なるべく家にいないように過ごす」ではなく「好きなことばかりして過ごす」に発想を切り替える
70 歳になる守さん(仮名)は、元会社役員で、専業主婦の妻との二人暮らしをしている。いわゆる年金悠々自適生活組だ。彼には、結婚して母になった娘と、独身でフリーターの息子がいる。
守さんは「人には話せないことだ」と多くを語らない。外から見たら人も羨む老後を送っているように見えるが、家族を持つというのはそう簡単なことではないようだ。実は、定年後の妻との生活も彼の 憂鬱 のひとつになっている。 「定年後は、自宅に妻と二人でいるのが辛かったですよ。妻も同じだったみたいだけどね。自宅は妻が支配していたわけだから」
最初の2年間は、なるべく家にいないように、図書館に行ったり映画を観たりして時間をつぶしていたそうだが、それもやりきれなくなり、最近になって決心したことがあるらしい。それは、時間をつぶすのではなく、ひとりの時間を楽しむ方向にマインドを切り替えることだった。
せっかくの年金暮らしで時間があるのだから、好きなことをして過ごそうと、彼は気持ちを切り替えた。 妻とはもともと会話がかみ合わないので、本心を話せるわけもない。
学生時代、山岳部だったことを思い出し、ひとりで山を歩くことを思い付いた。ガイドブックを買い、登りたい山に印を付け、全国の気になる山を歩こうと決めたのだ。場所によっては1週間、2週間、家を空けることがある。 妻にとっても、ひとりの時間を持てるので、両者にとりとてもよいライフスタイルとなった。
こんな言い方をしたら失礼だが、家に帰ると妻がいるのは、夫にとりかなりのストレスだと思う。わたしが母親と同居してわかったことのひとつに、「ただいま」と仕事から帰ってきたときに、母という家の主がいつもドカンといるストレスだ。これは、好きとか嫌いとかの感情的な問題ではない。
夫婦は、対でいることを求められるので大変だと、はたから見ていて思う。そう感じない人もいるだろうが。特に男性にとり二人で小さな家の中にいるのは忍耐だろう。本当はほっとできるはずの家で、ひとりになれないのは苦痛だ。その原因は、夫婦といえども本来はひとりひとり別々の人間で、一体ではないことによるものだとわたしは理解している。
以上の理由から、男性は退職したら、家族のしがらみから離れ、孤独な時間を過ごすことをわたしはお勧めしたい。
僕の父親も定年後は家で過ごす時間のほとんどをパソコンと向き合いマンション管理に関する情報を検索収集している。耐えきれなくなると気分転換に本屋に赴き帰りにドトールやスタバに行き作業しているようです。このように自分を逃す場所を持っているとストレスは軽減されるようです。
1人であれば、他人の分まで稼がなくていい
高齢期を退屈に過ごすのは、あまりにも時間の無駄だ。その時間をお金を生む時間に変えるだけで、生きるエネルギーが満ちてくる。自分で自分を鼓舞しないで、誰がエンジンをかけてくれるというのか。
以前住んでいたマンションの管理人さん(当時 70 歳)は、いつも笑顔の絶えない素敵な人だったので、通る度に話し込んでいた。彼がよく言っていたことで、忘れられないことがある。それは、管理人の仕事に感謝しているということだ。彼はよく働く。
朝のゴミ置き場の掃除から始まり、階段や廊下の掃除、粗大ゴミの管理など。仕事中に会うと、Tシャツが汗でびっしょりなことが多い。「大変ですね」と労をねぎらうと「ジムに行かなくても、運動になるのでありがたいですよ。それにお金までいただけるのですから」と満面の笑顔を見せた。
令和に元号が変わっても、厳しい時代は続きそうだ。年金もカットされ、保険料だけが増え、増税の嵐が吹き荒れる。もし体を鍛えたいなら、ジムで汗を流すのではなく、ジムの掃除のパートに切り替えて、働きながら運動するのはどうだろうか。
お金を払う立場からもらう立場に変える と、仕事終わりのビールが更においしくなるはずだ。
マンションの管理にもいろいろなタイプがいる。ひたすら掃除して徹底的に綺麗にするタイプや、住民との会話を楽しむタイプ。それぞれに仕事をしながら自分に合ったスタイルで働いているようです。現役時代のように高給はもらえませんが時間が潰せて、年金生活の足しになるお給料がもらえるのはありがたいようです。
孤独と言っても全てのすべての人間関係を絶てと言っているのではありません。自身のペースで生活リズムを作るために必要な孤独を見つけようというもの。サードプレイス的な考え方を老後にも。
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