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地球をめぐる不都合な物質 拡散する化学物質がもたらすもの|日本環境化学会

微量な化学物質でも感受性の高い幼児期にそれらに触れるとその後の成長や免疫機構に影響を与えることが危惧されている。最前線の環境化学の専門家が化学物質汚染についての現在の深刻な状況を報告する。

世界中に拡散するPOPs汚染

人類は、これまで無数ともいえるさまざまな化学物質を生み出してきました。その中でも、生態系にとってとりわけ厄介なのが、プロローグでも取り上げたPOPs(Persistent Organic Pollutants 〈残留性有機汚染物質〉) です。環境中に放出されたPOPsは、生体内に容易に侵入し、ひとたび生体内に入り込むと、そこに長期間とどまります。さらに、環境中では低濃度で存在していたPOPsも、食物連鎖を通じて生態系の上位に向けて生物濃縮が進みます。その結果、アザラシ、アシカ、セイウチ、イルカなどの 鰭脚類や鯨類では、驚くほどの高濃度になることが知られています。たとえば、西部北太平洋に 棲むスジイルカが、海水中の1000万倍もの高濃度でPCB(ポリ塩化ビフェニル、代表的なPOPsのひとつ) を蓄積していたとの報告もあります。

人類にとっても、POPs汚染は決して他人事ではありません。汚染はすでに地球全体に拡大しており、POPsをこれまで製造・使用したことがない地域でも、汚染が顕在化しています。例えば、極域に居住するイヌイットは、血液中PCB濃度が著しく高いことが報告されています※ 1(※1は巻末に掲載した参考文献を示します。以下同)。

そのため、遅まきながら国際社会も「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)」などで対策に取り組んでいます。多くの国々はすでにPOPs条約に加盟し、いち早く対策に取り組んできましたが、一部の国々では、特にマラリア対策などのために一部のPOPsの使用が継続されています。また、発生源・汚染源対策が遅れている国もあり、汚染物質の新たな供給源となっています。このようにPOPsの汚染源は、先進国から産業化が著しい新興国や途上国にまで広がっているため、問題の解決を難しくしています。

POPs汚染に関する条約などで対策に取り組むも、なかなか一体となって取り組むには障壁があるのが現状。先進国から新興国や途上国に広がるため問題がなかなか解決に至らない。海洋生物がまず犠牲になりそこからそれを摂取する人間にも影響しそうな汚染の連鎖。早い段階でこれらに対処しないと深刻な事態になりうる。

化学物質に壁を越えさせない

それでは、食べ物や飲み物を介して取り込んでしまった有害な化学物質が、もしも消化管から吸収されてしまったら、私たちヒトや動物の体は、どうやってこれらの化学物質から身を守るのでしょうか?

実は、ここでも防御機構が働きます。

私たちヒトを含む高等動物は、血管から各臓器に化学物質が入らないような巧妙なしくみを持っています。化学物質は、血管壁の小さな穴に入り込むことにより、体内に自然に拡散してしまうケースがあります。これを防いでくれるのが、特定の化学物質と結びつく「結合タンパク質」です。

血液中に存在するさまざまなタンパク質の中には、化学物質を運搬する役割を担っているものがあります。化学物質には、タンパク質に結合しやすいものと離れやすいものがありますが、離れやすい化学物質は血管から細胞の中に取り込まれやすく、各臓器内に運ばれることになります。

化学物質と結合する力が弱いタンパク質は、栄養素など、体に重要な化学物質を各臓器に運ぶ分には都合が良いのですが、毒性の高い化学物質の場合には好ましいものではありません。反対に、化学物質と結合する力が強いタンパク質は、栄養物の効率的な運搬には向いていませんが、有害な化学物質を細胞に配達する能力も低くなります。つまり、強力な結合力のあるタンパク質は重要な生体防御機構の一つとなります。実際に、大きな結合タンパク質に結合している化学物質は、ほとんどの場合、血管壁にある小さな穴を通ることができません。

また、化学物質の中には、細胞膜に発現している、トランスポーターと呼ばれるタンパク質を介して取り込まれるものがあります。トランスポーターとは文字通り、物質の輸送をするタンパク質の総称で、化学物質を細胞内外に移動させます。

トランスポーターは、化学物質の取り込みにおいても活躍しますが、細胞から危険な化学物質を外に追い出す「汲み出しポンプ」の役割も担っています。トランスポーターがたくさんあると、トランスポーターと相性の良い化学物質が次々に外に追い出され、結果的に細胞の中に取り込まれにくくなる場合があります。

一部の抗がん剤は、繰り返し使用するとトランスポーターの量を増やすことが知られています。そのため、抗がん剤が細胞に取り込まれにくくなり、かえって抗がん剤が効かなくなる原因にもなっています。

脳には、化学物質が簡単には入り込まないようになっています。脳にいきわたっている血管の細胞は、細胞どうしがぎゅっと密着して化学物質が通りにくくなっているほか、細胞にトランスポーターが発現し、入ってくる化学物質をすぐに外に追い出しています。これを血液‐脳関門と呼んでいます。

有害な化学物質を口にしたときの人間の防御機構が嘔吐だ。口に入れて吐き気を感じた場合は我慢せず吐き出すこと。なんか味がおかしいに気付いたならそれは体に有害だというサイン。つい最近も海鮮丼弁当で複数人、体の不調を訴える事件が起こった。食した人はご飯がネバネバしていることに気づいたが食べ続けた。異変に気づいたら食べるのをやめるべき案件。

地球環境で進行する深刻な汚染の事態をレポート。その危険性に警鐘を鳴らす書籍。ダイオキシン、マイクロプラスチック、PM2.5。メチル水銀etc

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