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依存症者を治療につなげる|水澤都加佐|対人援助職のための初期介入を体系化

依存症治療の一番の課題は本人が治療を受けようとしないこと。初期介入はそのための技法で、正しく行えばかなりの確率で治療までもって行けます。本書は初期介入を体系化に学べる初めての援助職待望の本。便利なチェックリスト多数付。

初期介入 の流れ

この章では実際に 初期介入 を行う手順について、具体例をあげて説明していきます。まず、準備から介入までの流れをざっとつかんでおきましょう。

初期介入 は、否認のカラに閉じこもっている依存症者を温かく手招きして、生きていくことを愛情をこめて勧めること、とイメージしてください。そのためのゴールが「治療につなげること」です。

介入の流れは、 情報の把握→関係者への教育→チームづくり→介入ゴールの設定→リハーサル→介入 で、チームリーダーの指導のもとに準備をします。チームリーダーは、多くは相談を受けた援助者が担いますが、場合によっては家族がひきうけなければならないこともあります。

リーダーは情報を把握して、チームメンバーを選び、チームをつくります。

チームをつくるのは、一人で行うより成功率がずっと高くなるからです。チームが成功しやすい理由には、情報が多面的に集まるために問題をより正確に把握できること、チームとして方針を統一するためミーティングを行うので、メンバーにイネイブリングがなくなることです。複数のほうが依存症者の否認に対抗しやすいこともあげられます。しかし、大人数では動きがとれにくくなるので、三~五人程度が適当でしょう。

介入の準備を行う中で、リーダーが覚悟しておかなくてはならないのは、危機的な状況が起きてしまう場合があることです。内科疾患の悪化、暴力によるトラブル、金銭的トラブル、家族関係の 破綻、警察 沙汰、離脱症状、失業・左遷、ケガ、自殺未遂などです。

こうした危機状況は依存症にはつきものなのです。危機的な状況で行う介入を「危機介入」と呼びます。危機には程度の差がありますが、本人が事態の深刻さに直面しているので、チャンスとして生かせる場合があります。可能ならば、タイミングを逃さず介入するのがよいでしょう。タイミングを逸すると、のどもとすぎて熱さを忘れるということになるからです。この時はリハーサルなどの入念な準備はできませんが、駆けつけられる関係者でチームをつくって介入すると効果的です。また、危機状態をあいまいに処理してしまわないことが大切です。

まずリーダーは、相談に来た方に、「初期介入が必要だ」ということを理解してもらうために、教育や説明を行います。「もう、あの人には死んでほしいので、初期介入なんて余計なことをしなくていいです」という人も、たまにはいます。すでに依存症がすすんでいる場合が多いです。初期段階の依存症の家族でも、「そんなこと、うまくいかないわよ」とか、「そんな面倒なことできません」、「そんなことやっている暇なんかないわ」と言う人もいます。

そう言われたら、リーダーはていねいに話をしていくしかないのです。初期介入にはちゃんとしたやり方があって、それを実行すれば成功率が高いこと、このままほうっておいたら悪い方向へどんどんすすんでいくことなどを説明します。

依存症、特に犯罪に関わる依存症患者を撲滅するのはイタチごっこで難しい。僕の若い頃はマジックマッシュルーム、その後も脱法ハーブとか大麻に似た成分を配合したグミなど規制ができてはそれを掻い潜るものが出回る。根本的にこれらの薬物や大麻系の飲食物全般をこれから出てくるであろうものも先回りして規制をかけるしか方法がない。そして依存症患者へのアプローチの仕方をまずは初期介入から詳しく解説。治療につなげる第一歩を踏み出そう。

日々のセルフケアの大切さ

援助者は、責任を一人でかかえこんでしまうことがよくあります。

ある公的機関で実際にあったことですが、保健師さんが依存症者の家庭訪問をしたら、自殺をしていました。担当の保健師は責任を感じて落ちこみ、チームを組んでいた人たちも沈んだ気分になり、職場全体が抑うつ状態になってしまいました。そこに私が呼ばれて相談を受けたのです。

「残念なことではありますが、依存症者の自殺は、皆さんの責任ではありません。依存症と自殺とうつは密接につながっています。自殺を防げなかったことを残念に思う気持ちは、援助職として当然とは思いますが、それイコール皆さんの責任だということにはならないのです」と伝えました。

こんな例もありました。あるソーシャルワーカーが関わった依存症者の家族で、お母さんがガンで亡くなり、お父さんである依存症者が一人残ってしまったので、娘さんは悲観して自殺してしまいました。そのソーシャルワーカーは、「自分も死にたい」と、なげいていました。

そこで、私が相談にのったのですが、つまり、援助職を援助するシステムがないのです。

患者が自殺する、あるいは事件やトラブルを起こすという問題に巻きこまれることは、援助者には多くあります。たとえば依存症者である子どもが親に暴力をふるったり、妻が夫を殺したりすることもあれば、反対に親が暴れる子どもを殺害することもあります。

援助者が、仕事への責任感から「燃えつき」を起こしたり、「うつ」になったりするのもめずらしいことではありません。それを防ぐために、依存症という病気に対する正しい理解と、 初期介入 の技術を身につけることが必要です。そして三つ目として、援助者自身がセルフケアをすることです。

援助していた相手が自殺する。それで自責の念に駆られる人も多いだろうが苦しみの度合いは人それぞれで健常者には理解し難いものだと認識しておく。自殺は悲しい事だけれど介入の仕方がもっと上手くいっていればなどと思わないこと。自殺には苦しくて苦しくて考え抜いた上自殺する場合もあれば、衝動的に自殺に至る場合も。本人以外が止めることは難しいのが悩みどころ。

依存症患者へのアプローチの仕方を事細かに解説。介入の初期段階から実際に治療を行う過程までサポートしてくれる書籍です。

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