部下に責任転嫁し手柄は自分のものになどというふとどきな上司たちが跋扈する世の中。なぜ仕事がバリバリできて優秀だった先輩が上司になった途端このような変貌を遂げるのか?その心理的なメカニズムから彼らへの対処法をレクチャー。
粘着系の上司
部下が何かミスを起こしたときなどに、しつこく追及してくる上司がいる。
ミスの原因について徹底的に質問し、部下を追いつめる。原因を追及すること自体悪いこととは言えないが、それも度を過ぎればパワハラでしかない。
たとえば、部下が始業時間に5分ほど遅刻したとする。5分であろうと遅刻は遅刻。その理由を訊くのはいいのだが……。
上司「なんで遅刻したの?」
部下「すみません、寝坊しまして」
上司「なんで寝坊したの?」
部下「時計の音に気づきませんでした」
上司「なんで時計の音に気づかないの?」
部下「熟睡していたものでして……」
上司「そんなの理由にならんだろうが! 時計の音に気がつかないほど眠りこけているなんてどうかしてるよ、まったく」
部下「申し訳ありません」
上司「ハァ? 申し訳ありませんだぁ? それで済めば警察はいらないよ。オレのことをナメてんだろ!」
部下「そんなことはありません!」
上司「じゃ、なんで遅刻なんかするんだ」
部下「すみません。夜遅くまで起きていたので、つい寝坊してしまいまして」
上司「なんで夜遅くまで起きてるんだよ! たいして仕事もしてないくせに。どうせ、どこかで呑んだくれていたんだろう」
部下「そんなことはありません」
上司「じゃあ、どんな理由で夜遅くまで起きてたんだ? 言ってみろ!」
(この後、上司の追及は果てしなく続く……)
部下は、「すみませんでした」と心から反省している。にもかかわらず、ネチネチと追及は続く。私が聞いた例では、こんな調子で部下を立たせたまま、2時間にもわたって問い詰めた上司もいた。
流石にここまでしつこいと辟易しますよね。原因を突き詰めるタイプの人間という域を超えている。こんな上司への対処法はひたすらその時間を耐えるしかないのか?反論でもしようものなら逆にお説教は長引きそうだし。ネチネチとした追求を交わす術があるとしたら忍耐力といったところでしょうか?
自分より先に帰るのを許さない上司
毎晩遅くまで会社に居残っている上司がいる。
本当にその時間まで仕事があって、残っているならいい。また、仕事がなかったとしても、部下とコミュニケーションをとりたい、部下から話を聞きたいと思っているのなら、遅くまで会社にいることに意味はある。
しかし、どう見ても、たいした仕事も目的もなく残業をしている。資料を見るともなく眺めていたり、机の中をガサゴソしていたり、新聞を読んでいたり。かと思うと、それにも飽きたのか靴下を脱いで足の爪を切りはじめ(手の爪は昼間に切ってしまった)、夜更けの静かなオフィスにパチン、パチンという音を虚しく響かせる。
こういう上司の場合、自分自身に「仕事は終電ギリギリまでしなければいけないもの」という思い込みがあったり、もしくは「遅くまで仕事をしていないと、何だか不安になってしまう」というようなものであったりすることが多い。習慣としてそうなっているにすぎないのである。
自分ひとりで、勝手に会社に残っているのならまだいい。この手の上司が問題なのは、部下を巻き込み、早く帰らせないことだ。若い部下たちは、金曜日の夜ともなれば友人や恋人との約束があるもの。約束がなかったとしても、週末ぐらいは家に早く帰りゆっくりしたいものだ。
しかし、この手の上司の前では、そんなことは許されない。
たとえば、仕事が早く終わった部下が「お先に上がります」と言ったとしよう。すると上司は、「もう帰るのか!」「上司より早く帰っていいと思っているのか!」と、とたんに不機嫌になる。気の弱い部下なら、「いえっ、もう少し仕事をします」と答えてしまうだろう。
それでも帰ろうとする部下に対しては、「先月の行動を分析したいから、1ヶ月分のスケジュールをまとめて提出しろ!」などと、急ぎでもない仕事をさせたりする。部下が上司より早く帰るなどありえないと考えているのだ。
ときには、それでも強引に早く帰る部下もいる。すると上司は、残っている部下を相手に「あいつは協調性がない」「ロクに仕事もできないクセに、早く帰りやがって」「そんな恵まれた立場にあるとでも思っているのか!」などと帰ってしまった部下を口汚く罵りはじめる。
もし、この場で帰ってしまえば、自分も同じ目にあうのは間違いない。皆「早く帰ってくれないかなぁ」と思いながら、暗い顔で机に向かうのであった。
もしこんな「もう帰るのか?」という上司に出会ったらそのまた上役に無駄な残業が多いとクレームを入れて自分は何を言われようとさっさと帰る。ワークライフバランスが叫ばれるようになってからそれも容易になったのではないだろうか。無駄な残業に付き合う必要はありません。
上司に悩んだら、そして自分自身が残念な上司にならないための示唆に富んだ書籍。いくつも例を挙げ疎まれる上司について考えます。
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