凄すぎて真似する気にもなれないし、そんな芸当今では無理。伝説のデイトレーダーによる書籍。投資というより投機やゲーム、ギャンブルにも通じる勝負論でビジネスなどにも応用できるかもしれない学びがあるかも。
押し目買いをやってはいけない
押し目買いは、下がったところで買おうとするわけだから、逆張りの一種になる。つまり、やってはいけない買い方のひとつ。上がっているものを買い、下がったら売る。その基本に反していることになる。 「押し目待ちに押し目なし」という格言もある。ぐんぐん上がっている株は、押し目を狙っていても、そのチャンスがなかなかこない。少し下がったところで買いたいと思っていると、上がり続けてしまう。この格言も、押し目買いが間違った方法論であることを示している。 「少し下がったところで買う」とか「割安なタイミングで買いたい」とか考えるのは、そもそも発想として間違っている。上がっている株がまだまだ上がりそうであれば、そのタイミングで買うのが基本。だいぶ上がったあとに「買い時を逃してしまったのではないか?」と考えるのは、いずれバランスが取れるという発想にもとづく。どこまで上がるかは誰にもわからない。 「遅すぎたかも?」などとは思わず、まだ上がっているならこれからも上がると考えて買えばいい。 下がり始めたら売って、そのときはじめて「遅すぎたかも?」という不安が当たっていたのかどうかの答えが出る。どこで反転するかは誰にもわからない。そのタイミングや値段を予想するのは、勝手な予測を当てはめているだけ。相場のことは相場に聞くしかない。
「押し目買い」、株式投資の世界では一般的となっている手法だがこれを否定。確かに上がっている勢いのある株を買いたいのだけれど少し下がったところで割安に買いたいという衝動にかられ買い時を逃してしまうなんていうのは日常茶飯事なのではないだろうか?それよりも上がる株を見分ける審美眼を鍛えて自分を信じろということだろう。結局のところ銘柄を選ぶ目を養うことと板に現れる些細な兆候に気づく感みたいなものを鍛えるしかない。
目先の「利確」に走れば大勝はなくなる
1000円で買った株が900円とか800円になっても、あまり売りたがらないのに、1050円とか1100円になると、「 儲かった!」という感じですぐに売りたがる。買った株が下がっていても、売らなければ損は確定しない。損を確定させて、それを認めるのはつらい作業になってしまう。逆に、買った株が上がっているときには、売って得を確定させたくなる。「勝ったぞ! 儲かったぞ!」と確認したくなる心理があるのだと思う。そんな理由から、下がった株は塩漬けにして、上がった株はすぐに利確するのが、本能に沿った行動となる。実際株の必勝法では、ある程度の段階での利確を勧めるものも多い。「買った株が上がったら、半分は売って、その分の利益を確定しておけ」などといった方法論もよく見かける。株は上がるか下がるかしかないので、果てしなく儲かるのではないかと思うこともあれば、すべてを失ってしまいそうな怖さもある。そんな恐怖心を抑える方法として考えるなら別にいい。 けれども、上昇局面での利確は勝つための方法としては間違っている。下がって800円になったときにはすぐ売ってしまったほうがいいし、上がって1100円になったときには売らないほうがいい。さきほど述べた「順張り」と発想は同じ。たった今下がった株は、そこから反転して上昇するよりも、さらに下がることのほうが多い。また、たった今上がった株は、そこから反転して下がるよりも、さらに上昇を続ける可能性のほうが高い。正確にいえば、可能性が高いというより勝負の効率がいい。 重要なのは勝率ではなく、トータルの損益。そう考えられるかどうかが株で勝つための鍵となる。
よく株式初心者でありがちなのが塩漬け。下がった株を未練たらしく持ち続けていることで含み損が増え続けるというもの。株式投資で勝ち続ける人というのは皆、損切りがうまい。そして勢いよく上がっている株は持ち続け、利益確定の売りは先延ばしにして利益を最大化する。特に損切りできない性格だなと思ったら株式市場から退場するか、注意が必要。
ナンピンは最悪のテクニック
株の買い方のテクニックのひとつとして推奨されているものに「ナンピン」と呼ばれるものがある。買った株が下がったとき、追加で買い増しすると、平均購入額が下がるから、プラスに転じるラインを下げることができるというもの。たとえば1万円の株を1株買ったとして、それが8000円に下がったとする。2000円の損だ。プラスに転じるには、ここから2001円上がる必要がある。そこで8000円で1株を買い増しすると、自分で買った2株の平均購入額は9000円になる。そうであれば1001円上がるだけでプラスに転じることができるじゃないか、というのがナンピンの発想。「難平」とも「何品」とも書く。結論からいえば、ナンピンは最悪の買い方だと思っている。場合によっては一撃で死亡してしまうから。これまでにも言っているように、上がっているものを買い、上がっているあいだは持ち続け、下がったら売るのが大原則。ナンピンはその逆になっている。 上がると思って買った株が下がれば失敗だけれど、ここまではいい。よくあることで、どんな達人でもこれを避けることはできない。まずいのは、自分の失敗、敗北を認められないこと。ナンピンは失敗しているにもかかわらずロットを増やす(= 賭け金を上げる) という点でも矛盾している。ここでやるべきなのは、失敗を認めて迅速に撤退すること。つまり損切り。なのに、失敗を認めず、粘り腰でなんとか逆転勝ちに持ち込めないかというのがナンピンの発想。これをやって逆転勝ちになることももちろんある。けれども傷が深くなる可能性のほうが高い。株でいちばん大切なのは迅速な損切り。失敗から逃げてはダメで、失敗は当然としていかに最小にとどめるか。それを考えても、ナンピンは逆を行くテクニックだということになる。
何度もいうが株は優良な株を選ぶ審美眼みたいなものを選び取る技術を上げていくのが一番。買い方にテクニックなんてなくて、下手に素人が押し目買いやナンピン買いなどという言葉を知って、それを実践すると大体負け戦が続き株式市場で資金を減らし株式市場から去る羽目に。
投資をゲーム感覚で自分のものにした著者。確かに夢のある話だが、株式投資の現実として、10人に1人は数年で資金を目減りさせて株式投資をやめてしまっているという事実を知ること。長期投資や積み立て投資も昔ほど儲からなくなっている(今でも有効な手法ではあるが)ように思う。それでも株式市場に喧嘩を売りたい方には読んでほしい一冊。
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