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レジリエンスとは何か|枝廣 淳子|何があっても折れないこころ、暮らし、地域、社会をつくる

レジリエンスとは「しなやかな強さ」と訳します。強い風にも重い雪にも、ぽきっと折れることなく、しなってまた元の姿に戻る竹のように、「何かあってもまた立ち直れる力」のことです。いまの日本はこの「レジリエンス力」がとても弱くなっていると著者は言います。たとえば、効率やコストを重視するあまり、資材の調達先を一社に絞った結果、3・11のような大きな震災の場合、企業は立ちゆかなくなってしまう。レジリエンスがかつてないほど必要となっている日本と日本人にレジリエンスの考え方と取り組み方を世界の実例を交えながら解説します。

子どものレジリエンスをつくり出すもの

オーストラリアの「バウンス・バック!」プログラムでは、

・自尊心

・楽観的思考

・勇気

・感情のコントロール

・ユーモア

・社会的スキル(対人関係)

・物事を成し遂げるためのスキル

がレジリエンスをはぐくむために必要と位置づけられていました。

同じくオーストラリアの「マインドマターズ」のカリキュラムで、子どものレジリエンスを高めるトレーニングや力として位置づけられているのは、

・(対人関係などの)ソーシャル

・スキル

・学習スキル

・ストレス対処

・助けを求められること

・違いを認めること

・仲介と対立の解決

です。

米国ペンシルバニア大学のセリグマン博士らが始め、世界各地にも広がっている「ペン・レジリエンス・プロジェクト」のプログラムでは、

・認知行動学的スキル:何かうまくいかないことが起こったときにそれをどのようにとらえるか

・社会スキル:問題解決スキルや対人関係のスキルなど

の二つが子どものレジリエンスをつくり出し、支えるものとして位置づけられています。

8 歳までの子どものレジリエンス向上を目的とするカナダの RIRO では、次のようにレジリエンスに関連する七つの重要な能力を打ち出しています。

・自分の感情を自分で管理する

・自分の衝動をコントロールする

・問題の原因を分析する

・他の人に共感する

・自分の能力を信じる

・現実的な楽観主義を維持する

・他の人や機会に手を差し出す

このようにプログラムの内容を見てみると、「自尊感情・自己肯定感」「楽観志向・楽観主義」「感情のコントロール」「社会的スキル(対人スキルや問題解決スキルなど)」は複数のプログラムで取り上げられており、「ユーモア」「勇気」「共感力」なども、子どものレジリエンスを培う上で重要なものと考えられていることがわかります。

子供のレジリエンスを培う上で重要なもの「自尊感情・自己肯定感」「楽観志向・楽観主義」「感情のコントロール」「社会的スキル(対人スキルや問題解決スキルなど)」に加え「ユーモア」「勇気」「共感力」まで。そうしたものをきちんと伸ばす教育が求められている。子供の頃の体験は大切でそうした体験が大人になった時の差となって出てくる。成人した時にはすでにその差は顕著でなかなか取り戻しにくいものになりがちなので子供の頃のこうした教育は大事。

災害へのレジリエンス

前章で、温室効果ガスの削減に最善を尽くしたとしても当面進行してしまう温暖化への「備え」としてのレジリエンスについて取り上げました。温暖化が進行すれば、豪雨、洪水、土砂崩れ、干ばつその他、さまざま災害が増えると予測されています(これらは「自然災害」と呼ばれてきましたが、人為的な二酸化炭素排出が引き起こすものであるならば、「人工的な自然災害」と呼んだ方がよいかもしれません!)。

言うまでもありませんが、私たちの暮らしや社会、時には生命に影響を及ぼす災害や脅威は、温暖化がもたらすものだけではありません。たとえば、日本は、世界でも有数の地震国です。

1923 年の関東大震災以降、日本で 100 人以上の死者が出た地震が何度くらい起こっていると思いますか? 東日本大震災までを含めて、 15 回です。 9 年に一度は発生している計算になります。そして、東日本大震災で痛ましくその破壊力を見せつけた津波も、いつ何時起きるかわからない災害の一つです。国土交通省が「日本の人口の 73・7% が、洪水、土砂災害、地震、液状化、津波のいずれかで大きな被害を受ける危険のある地域に住んでいる」との推計 ★ 1 を発表しているほど、多くの人々が災害の被害を受ける可能性がある状況なのです。

また、自然災害以外にも、テロなど、私たちの社会が備えておくべき脅威(ハザード)があります。鳥インフルエンザなどの新型インフルエンザや SARS(重症急性呼吸器症候群)などの勃発的な感染症の広がりなどがその例です。

災害やハザードに対するレジリエンスとは、たとえ被災しても、個人や家庭、企業や組織、地域などが折れてしまうことなく、被災前の状態に戻れる力を指します。

近年、「防災から減災へ」と言われることがあります。防災は「被害を出さない」ことをめざし、読んで字のごとく「防ぐ」取り組みですが、減災は、被害が発生することを想定したうえで、できるだけその被害を小さくしようという取り組みです。本章では、「防災から減災へ。そしてレジリエンスへ」とも捉えることのできる世界の動きや、日本の現状を紹介しながら、さまざまな災害への対応力としてのレジリエンスを考えます。

コロナや連続する大規模災害。こうしたものにあったときのレジリエンスは被災しても個人や家庭、企業や組織、地域などが折れてしまうことなく、被災前の状態に戻れる力となる。きちんと備えて恐るべきは恐れ正しい対策を前もってすることで正しい対応ができる。

さまざまな問題に直面した時に良い方向へあるいは最悪を避けるための素地としてレジリエンスが大事になってくる。そんなレジリエンスとは何か掘り下げた書籍。

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