リベラルアーツを学ぶ意味を方法と共に語りながら「知」の広野をめぐる。知識ではなく知恵の時代、思考や行動に影響を与え、人生そのものを成長させていく本物の教養の身につけ方がここに。
外来の目新しい思想を知っているのが教養?
本当の意味における教養、リベラルアーツとしての教養は、飾りやファッションではありません。ところが、日本では、大昔から、教養といえば、まず、「外来の目新しい学問、思想」であり、「権威付けとしての飾り物」でした。この傾向は、明治時代以降、日本が、欧米諸国に追い付くために、ことに富国強兵、中央集権、官僚的ヒエラルキー(位階)の確立といった観点に重きを置いて欧米の学問や思想を輸入したことにより、加速されました。
僕は、十歳前後から大人向けの本を持ち出しては人の見ていないところで盗み読みするませた子どもの一人でしたが、そんな子ども時代以来の長い読書経験からみても、日本でベストセラーになる思想書の多くは、海外の思想をわかりやすくパラフレーズした「舶来もの」、横文字をタテにするという意味では「横タテもの」だったといってよいと思います。
こうした書物はえてしてオリジナリティーに乏しく中身も薄いのですが、目新しいことと日本人の欧米コンプレックスとが相まって、よく売れるし、著者に 箔 が付くという効果も大きいのです。よくいわれる「日本人の権威主義的傾向、横文字コンプレックス」ということですね。
しかし、こうした思想書の大半は、飾り、ファッションとして受容され、消費されるだけで、それらが人々の生き方や考え方を深い次元で変えるなどといったことは、ほとんどなかったように思います。
教養を身につける上で動機はファッションでもいいかと思いますが(笑)入り口はどうあれ学ぶきっかけとなればそれで結果オーライ。お金と安定のために大企業を選ぶのと同じ感じだと思います。
リベラルアーツとしての映画
僕がみるところの、映画のリベラルアーツとしての大きな特徴は、ロック、漫画と並んで、その洗練されたポップ感覚であるかもしれません。芸術の項目の最初に書いたとおり、僕は、芸術に、暇つぶし、消費という意味での「娯楽、エンタテインメント」は求めませんが、それが提供するある種のポップ感覚や鋭利なレトリック、技巧については、重視していますし、それを十分に楽しみながら受容しています。芸術性の高い監督、たとえば後記のロベール・ブレッソンのような監督にさえ、そういうものはあります。
映像というものは本質的に言語よりも官能的、エロティックです。また、そのつなぎ方、編集が生み出すリズムは音楽的であり、セリフで進行するという意味では戯曲を舞台から解放したものともいえます。多くの場合には音楽が流れ、美術的な要素も強いですね。
映画は、以上のような意味でまさに総合芸術であり、また、これは映画製作の実際を知るとよくわかるのですが、ありとあらゆる細かな約束事で構成された、徹底的な虚構の世界です。芸術というのは要するに虚構であり、虚構によって真実を描くものですから、映画は、最後に生まれてきたところの、最も手の込んだ、洗練された総合芸術とみることができるでしょう。
反面、第2部の終わりのほうの「コレクション」の部分でふれたとおり、製作、配給に莫大なお金がかかり、したがってどうしても多数の観客を集めなければならないという商業上の制約、そして、多数のスタッフのインスピレーションが一つの方向に結集しないとよいものはできないというチームワークの制約がありますから、すぐれた作品を作るのが非常に難しい芸術の領域でもあります。
映画もエンタメの枠を超えて芸術として見るとまた面白さの発見があって面白い。何テイクも重ねて撮られた演技をなんとなく見過ごすのは勿体無いので噛み締めて。まずはお気に入りの俳優さんが出ている映画を映画館で!
世代も国境も越えて通用する教養を身につけて、ワンランク上の人間になるための手引き書。生涯勉強だと思って、リベラルアーツをアップデートして学び続けましょう。
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