ストーリー形式で管理会計のプロである著者がドラッガーの名著・名言を読み解く。そこには正しい働き方と生産性が詰まっている。
「生産性」の本当の意味
ご機嫌の西園寺は、さっそく、本題に入った。
「さて生産性だが、マヤさんはこの意味をどのように理解しているかな」
「ほとんど考えずに使ってきた気がします」
「じゃあ、どんなときに使っているんだね」
「棚卸をするときに、『生産性を上げて早く終わりましょう』とか」
「なるほど」
西園寺はバーバラにも同じ質問をした。バーバラはこの店で働きながら、マンハッタンにあるニューヨーク大学のビジネススクールに通っている。 「MBA(経営学修士)の授業では、『 資源を消費して付加価値を生み出す際の効率の程度』と教わりました。例えば、従業員1人当たり利益とか、です」
つまり、生産性とは、投入した資源によって、どれほど大きな付加価値を生み出すことができるのかを表す概念であり、その効果が大きければ「生産性が高い」と考える、という話である。それは、教科書通りの答えだった。 「なるほど、間違いではない。 だが、それは生産性についての『情報』であって、『知識』ではない」
「おっしゃる意味がよくわかりません」
バーバラは首を傾げた。情報と知識の違いがわからないのだ。
「生産性を学ぶ場合、この区別が重要なのだ」
西園寺は、3人に向かって話を続けた。 「世の中では生産性という専門用語を曖昧に使いすぎている。学校では経営学と会計学の授業で生産性を学ぶ。そして生産性の向上が、会社の成長・発展をもたらすと教わる。だが、勉強しただけでは生産性は向上しない。なぜなら、生産性の本質について何も教えてくれないからだ」
最近やたらと生産性という言葉が目につく。なんとなく朧げにわかった気になって使う場合が多いが、リソースを費やして価値あるものを生み出す時の尺度がそれといえばわかりやすい。仕事の生産性というとやはり「時間=リソース」と考えてそれに見合う価値を生み出せるかをいってることが多いような。
「知識」とは
西園寺は、立ち上がるとホワイトボードに「知識」と大きく書いた。
「安田君、知識って何だろうね?」
端的すぎる質問に戸惑いながらも、安田はこう答えた。
「あることについて知っていること、だと思います」
「なるほど。たくさん本を読み、いろんなことを知り理解している人を知識人といったりする。だが、そんな知識は経営には使えない。それは情報にすぎない。ドラッカーは、『知識』をそれとはまったく違う意味で使っている」
「まったく違う意味ですか……」
安田は聞き返した。
「もっと奥深く、もっと実務に即している。おそらく一流の経営者は全員ドラッカーと同じように考えているに違いない。安田君、この文章を読んでみたまえ」
西園寺は、革張りのシステム手帳を開いた。
安田は、その文章を何度も読み返した。
安田の頭に浮かんだのは、テレビのクイズ番組に登場する高学歴のタレントやクイズマニアたちだった。
そんな回答者を見て、視聴者は「頭がいい」とか「すごい知識量だ」と感心する。何を隠そう、安田も実はそう思っていた。
だが、ドラッカーの解釈を適用するなら、 彼らの頭に入っているのは単なる情報にすぎない。情報量が普通の人たちより多いだけのことだ。そんな知識の量だけなら、図書館やインターネットの海にはかなわない。情報は仕事に使い、成果をもたらすものでなくてはならないのだ。
たくさんの本を読むことは知識につながると思っていたが、それを活用できなければただの情報があるに過ぎない。読書家にとっては痛い言葉だ。情報の量が多いだけならインターネットや図書館にはかなわない。それを噛み砕いて知識へと昇華させる気概が必要。
生産性をドラッカーの名著から学ぶ書籍。なんとなく使っていた生産性という言葉を再考。ドラッカーと共に解釈を考えることで新たな生産性の意味が浮上する。
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