Book

タックス・ヘイブン──逃げていく税金|志賀 櫻|税負担の公平を損なうさまざまな悪事

税負担の公平性を損なうタックス・ヘイブンに群がる金の亡者たち。悪質な課税逃れとそれを売りにする国家の闇。富を吸い込み肥大化するブラックホールの実情を解説。市民の目の届かないところで何が行われているのか?

曖昧な境界

まず、節税、租税回避、脱税という概念の区別をしておこう。

節税とは、非難される性質のない税金を減らす努力である。節税の典型的な例として必ずあげられるのは、キャピタルゲイン課税の例である。「キャピタルゲイン」とは、土地などの資産が値上がりした場合の値上がり部分のことをいう。

キャピタルゲインの課税はどうあるべきかということには、なかなか難しいものがある。日本の譲渡所得課税は五年を境に短期と長期に区分されていて、長期譲渡所得の方が租税負担は軽い。この五年という年限は、納税者にとってひとつの分水嶺となる。たとえば、たまたま四年半保有していた土地があって、それを誰かに売りたいと思ったとしよう。このとき、もし譲渡所得の規定について知っていたら、あと半年待ってから売るだろう。誰もこれを非難されるべき行為とは思わない。これがふつうに説明される節税の典型事例である。

脱税は、「仮装隠ぺい」などという重加算税を課されるような行為や、「偽りその他不正の行為」という、ほ脱犯となる行為である。帳簿を二つ作って(二重帳簿という)、売上の一部を表の帳簿に計上しなかったり、架空の仕入を計上するなどの行為が典型である。

以上のような、節税と脱税の中間に位置するのが租税回避である。租税回避とは、非難の対象となって課税処分を受けるべきであるか否かが直ちには明らかでない行為である。租税回避と節税の境界はあいまいであり、また租税回避と脱税の境界もあいまいである。これまでにあまたの碩学が、何らかの基準でこれらの間に境界線を引こうと努めてきた。しかし、理論的にも現実的にも、それを明解に区分できた例はないと言ってよい。

おそらく普通の人に関係あるのは節税だけ。租税回避や脱税はやはり悪。法の抜け穴をうまく利用し行う行為や犯罪行為は決して許されるべきではない。日本は税金の割には意外と社会福祉が充実してる方だと思っていたが、そうでもなさそう。高額所得者や大企業はその社会的責任を放棄してはならない。むしろ税金をきちんと払ってでかい顔をするぐらいの心意気が大事かと。

日本の富裕層

外国には想像を絶するような大富豪がいる。ロックフェラー家やロスチャイルド家などの資産は、先進国であっても小国のGDPなどでは足元にも及ばないほどに巨額である。英国の資産家ランキングでは、王家が群を抜いて一位である。また、「フォーブス400」という雑誌はアメリカの富裕層四〇〇名を純資産ベースで推計しているが、これによると二〇一〇年の一位はビル・ゲイツで五〇〇億ドル、二位はウォーレン・バフェットで四〇〇億ドルである。ゲイツはマイクロソフトの共同設立者、バフェットは長期投資を専ら行う著名な投資家である。クレディ・スイスの試算によると、五〇〇〇万ドル(約四〇億円) 以上の純資産を持つ富裕層は、一位がアメリカで三万八〇〇〇人、二位は中国で四七〇〇人、三位はドイツで四〇〇〇人、四位は日本で三四〇〇人となっている。

従来、日本社会は経済的に平等であることが特色であって、小金持ちはいても大金持ちはいないと信じられてきた。たしかに日本の場合、アメリカのようなスケールの超大富豪はいない。しかしながら、実際には右の数字で見たように、日本の個人富裕層は一般に思われているよりもはるかに多い。これは裏をかえせば、日本にも所得や資産が巨額に上るため節税に苦労している人間が少なからずいるということである。

ある程度の所得が得られるようになると、金融機関や証券会社からさまざまな金融商品の勧誘が来るようになるが、本当の富裕層にはもっとはるかに複雑で専門的な節税商品が売られている。そうした個人富裕層や同族会社には専門のチームが付いていて、その指導の下、資産運用と税務対策がなされていたりする。こうした事実は、これまで裁判で争われてきた節税事例の一つひとつを検討していくことによってのみわかる。

高額所得者を取り巻く闇。こうした複雑な金融商品、節税知識を売りにくる金融関係者にNoを突きつけろ!日本にもいるこうした富裕層の実情は一般市民には用のない世界で、自分から調べない限り知らないまま死んでいくことだろう。日本は累進課税が弱めで、一定額を超える高額所得者にとっては低めの税率が適応されているので逆にありがたがって素直に払うべき。

タックス・ヘイブン、聞いたことはあるがそこでどのような租税回避が行われているかは意外と知られていない。節税、租税回避、脱税の違いなどをわかりやすく解説。

※この書籍はKindle Unlimited読み放題書籍です。月額980円で和書12万冊以上、洋書120万冊以上のKindle電子書籍が読み放題になるサービスが初回30日間無料となっております。PCの方はサイドバーのリンクより、スマホの方は下の方へスクロールしていただければリンクが貼ってありますので興味のある方はどうぞ。なお一部の書籍はキャンペーンなどで無料になっていて現在は有料となっている場合もありますのでその場合はあしからず。

【サブスク】 Kindle Unlimited

Kindle Unlimitedの詳細はこちら

僕が利用している読書コミュニティサイト

【本が好き】https://www.honzuki.jp/

【シミルボン】https://shimirubon.jp/

-Book
-, , , , ,

© 2024 51Blog Powered by AFFINGER5