Web3の基本から実際にどんな企業がどんな事業をしているのか、今後どうなっていくと考えられるのか、図解や事例を踏まえながら解説。日本人の知らないWeb3の真実とは?
Apple Watchよりも処理能力で劣るワールドコンピュータ
素晴らしい可能性を秘めたWeb3ではありますが、課題もまだまだたくさんあります。
大きな課題の一つとして挙げられるのが、処理能力の低さです。イーサリアムのネットワークには、世界中で100万台のコンピュータが参加しているといわれています。イーサリアムはいわば、100万台のコンピュータによって構成される1台のバーチャルマシンであり、開発者らの言葉を借りれば「ワールドコンピュータ」ということになります。
このワールドコンピュータは、膨大な電力を消費するわけですが、その処理能力は1台のパソコンどころか、Apple Watchにも劣っているのです。
従来のコンピュータとは異なり、ブロックチェーンは永続性や非中央集権を目指しているわけですから、処理能力で比較できるものではありません。それでもこの効率の悪さには、プログラマーとして耐えられないものがあります。
スマホやパソコンなど従来のコンピュータであれば、処理能力を上げるのは簡単です。半導体の製造技術を向上させて、より多くのトランジスタを搭載したCPUを、より高速で動作させれば処理性能は高まります。データを記録するストレージにしても、半導体技術の向上によって年々容量が増加しています。
しかし、ブロックチェーンの性能を上げるのは簡単なことではありません。
ワールドコンピュータとしてのブロックチェーンの処理能力を上げるためには、ソフトウェアのアーキテクチャ(基本設計)自体を大きく変える必要があるでしょう。
実際にWeb3の分野では、この課題に取り組んでいるエンジニアや研究者がたくさんいます。将来的にイーサリアムでは、秒間 10 万件の取引処理能力を目指しています。
また、イーサリアムとは別のブロックチェーンを作ろうとしている人たちもいます。たとえば、Solanaというブロックチェーンでは、PoS(Proof of Stake。こちら参照)を改良したPoH(Proof of History:プルーフ・オブ・ヒストリー)という手法を採用。これによって、Solanaはすでに1秒間に5万件の取引処理を実現しています。
今後もこうした処理能力向上は順調に進むのか、10年後にブロックチェーンの処理能力がどうなっているのかを見極めるのはなかなか難しいことであるといえます。
ブロックチェーンというと最新の技術という印象からその処理能力は高いものだと勘違いしていました。Apple Watchより劣るって意外。ということはこれから処理能力が上がればより精度の高い技術として定着するだろう。
日本のIT産業は、なぜGAFAMに勝てないのか
Web3に興味を持ったソフトウェアエンジニア、あるいはソフトウェアエンジニアを目指している人は、ぜひ自分で手を動かしてコードを書いていただきたいと思います。
ここで、コードを書くことの重要性について再度強調しておくことにしましょう。
ソフトウェアエンジニア自身がコードを書くかどうか。このことがアメリカと日本のIT産業の明暗を分けた、私はそう考えています。
ゲームを除き、日本のIT産業は世界ではまったく存在感を示せていません。
かつて任天堂、ソニー、セガの3社は、世界のゲーム市場を席巻していました。この3社は世界市場に向けたゲーム機器を開発・販売し、日本国内でもゲームを作るソフトウェア企業が成長してきました。また、モバイルゲームでまだ頑張っている日本企業がいるのは、ドコモが世界に先駆けてiモードという「ネットにつながる携帯電話」のプラットフォームを作ったからといえるでしょう。日本発のプラットフォームがあったからこそ、その上にソフトウェアビジネスが花開くことになりました。たくさんの小さなスタートアップがゲーム好きの開発者を集め、プラットフォーム上で小規模な開発を行なってきたことが、ゲームビジネスの隆盛につながったのです。
一方、現在ゲーム以外のプラットフォームはすべてグーグル、アップル、マイクロソフト、アマゾンなどのビッグテックに握られています。
なぜこうなったのでしょうか。 それは、国際的に競争力のある、魅力的なソフトウェアプラットフォームを日本のIT業界が作れないでいるからです。
ゲーム業界だけその技術が突出している国も珍しい。とはいえ最近の日本のゲーム業界はなんだか振るわない。大作ゲームがこけたり、物言いを気にしてつまらない改変を加えたり。そのうちゲーム業界も侵食されていくのだろうなと思ったりもする。
Web3の詳しい状況を見ながら各国の取り組みを紹介。日本がビックテックに抗うために必要なことがなんなのかがわかる書籍。
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