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ウイルス学者の責任|宮沢 孝幸|ウイルス学の専門家として、世に伝えるべきこと

コロナ禍でのスポーツイベントやコンサートの中止は不要だった。日本の自粛要請は過剰で、実際にはルールさえ決めておけば飲食店も休業しなくてもよかった。そんな日本の対応への疑問符を投げかける書籍。

ウイルス学者の責任

ウイルスは、未知の「お化け」ではありません。「お化け」なら、わけがわからないことが起こりますが、ウイルスの感染にはすべて理由があります。その理由を知っておけば、「ほぼ起こり得ないこと」を過度に恐れることはなかったはずです。

感染した人とすれ違うときに、うつされる「通りすがり感染」を心配している人もいたようですが、仮にそれがあったとしても極めて 稀 です。

もし通りすがり感染が頻繁に起こっているのであれば、人通りの多い都市部は3週間くらいでみんな感染してしまうでしょう。そのようなことは現実には起こっていません。基本再生産数の1・7という数字は、通りすがり感染が起こっていないことを示しています。

「お札から感染する」とか「水道の蛇口から感染する」といったことも、ないと断言していいレベルです。しかし、そのようなことを 吹聴 する人がいたため、それを聞いた人が怖がってしまって、過度な自粛につながりました。万一あったとしても、天文学的に極めて確率の低いことを過度に気にしていては、日常生活は送っていけません。

過度な自粛をするよりも、「お札から感染することはない」「水道の蛇口から感染することはない」と伝えて、人々が恐れおののかないようにすることのほうがはるかに重要でした。

私はウイルス学者として、世に伝えるべきことを伝えようと、SNSやメディアで訴え続けています。たくさんの人が私の提言を聞いて下さり、「100分の1作戦」を実行して下さいました。しかし、私の声が各方面に十分に届いたかというと、決してそんなことはありません。残念なことに国の行政が、ウイルス学者である私の発言を尊重してくれることはなかったですし、 罵声 のような批判も浴びました。時には殺害予告まで受けました。

ひどく失望したこともありましたが、それでも私はウイルス学の専門家として、声をあげることをやめてはいけないと考えています。私は国立大学法人に勤めています。予算の多くを国家の税金に負っている大学で働いている以上、自らの研究成果を国に還元しなければなりません。

また、飲食店の方、私が趣味のピアノをきっかけとして懇意にして下さっているライブハウスや交響楽団の方々など、日頃大変お世話になっている人々が理不尽なことで困っているのは見過ごせません。それが、ウイルス学者の責任だと思っています。

人流を止めるのは、あくまで最後の手段のはずです。いわゆるサラリーマンや公務員でない商店の経営者、音楽・演劇・演芸・スポーツなどの興行で生計を立てている方は、その日その日の収入で家族を養っておられます。彼らの場合、何もしなくても、従業員の人件費や家賃などの固定費は毎月発生しているのです。今回の感染症対策の意思決定者は、その現実を見ても、何も感じなかったのでしょうか。

今後、別のウイルスでまたパンデミックが発生したら、今回の教訓を活かし、専門家の知見を活かした合理的な判断が下されることを切に願います。

人間には少なからず菌に対する抵抗力があるので、そこに期待して過度にウィルスに怯えないことが大事。基本的な感染対策で十分予防できるしお札や蛇口から感染するので注意なんて細かすぎる感染対策はいらない。100%ではないが、ほぼ起こらない感染経路については無視して生活した方がQOLは上がる。

「ダメな人」と言われている人を大事にする組織が強い

長年自分の研究室を運営してきた私には、独特の組織論があります。「ダメな人を大事にする組織が、よい組織」というものです。

研究室のボスの中には、学生のことを「あいつはダメだ」と言って、切り捨てようとする人がいます。私は逆に、ダメな人と言われる学生ほど、大事にしています。

他の先生からは「なんで、そんなダメな学生をかばい、時間をかけるの?」と言われますが、その人がいるから組織はよくなるというのが私の考え方です。

どんな組織も構成メンバーは均一ではありません。できる人もいればできない人もいる。できる人ができない人を見下したり、馬鹿にしたりすると、できない人が 萎縮 してしまいます。それだけならまだいいですが、できる人ができない人をいじめたりすると、組織の雰囲気が非常に悪くなります。できない人は辞めていき、殺伐とした毎日になってしまいます。

私は大学学部5年生くらいから、グループリーダーを任されて、組織をずっとオーガナイズしてきました。運営がうまくいかず、組織が空中分解した失敗を何度も経験しています。その経験から学んだことは、組織にはダメな人もいなければいけないということです。

ダメな人がいじめられることなく、組織内に居場所があることによって、他の人たちの心が和らぎ、組織が平和になることを実感しました。

よく、会社内で仕事が抜群にできる人たちが独立して会社をつくるケースがありますが、たいていはうまくいかないと聞きます。仕事のできる人だけでは、組織は成り立たないのでしょう。

強い組織というのは、仕事の実績を上げられない人も、ニコニコしながら働いている組織ではないかと思います。「僕は宴会要員やります」とか「僕は、雑用は何でもやります」と言ってニコニコして働き、周りの人も「彼が雑用を何でもやってくれるから本当に助かる。僕は彼の分も実績を上げよう」と言っている組織は、うまく回ります。

うまくいかない組織は、周りの人たちが「あいつは仕事ができない」「あいつはダメだ」と、そんなことばかり言っている組織です。ダメだと言われた人は辞めてしまいますが、その人が辞めると、次に仕事ができない人が「あいつはダメだ」と言われるようになります。次々とダメな人間が見つけ出されてターゲットにされます。こんな組織が、うまくいくはずがありません。

私は、周りから「ダメな人」と呼ばれている人に、「おまえのこと、大好き」と言って、ハグしたりします(笑)。そうすると、組織の雰囲気がよくなって、うまくいくものです。噓のように思えるかもしれませんが、私が何度も経験していることです。

周囲からは、「宮沢さん、甘いよ。もっとビシバシやらなきゃいけないでしょ。放り出せばいいんだよ」と言われますが、私は「それは間違っている」と言い続けています。

「ダメな人ほど大事」というのは、私の独特の組織論かもしれませんが、共感してくれる人もいます。組織を動かしたことのある人たちには、けっこうわかってもらえます。

できる人間ばかり集めてチームを形成しても案外予想に反してうまくいかない。逆にできない人をあえて入れたチームはなぜか成果を上げやすい。なぜなのか?「ダメな人ほど大事」そう頭の片隅に置いておけば組織作りで失敗しなくて済みます。

パンデミック下の専門家の対応に苦言を呈し、自分たちの責任を真っ向から受け止める書籍。ウィルスのみならず人間社会における人材の配置バランスなどにも触れており興味深い。

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