資本主義の構造がわかる名著が1分でわかる
現代の実業家も大いに参考になる!革命家・マルクスの代表作のエッセンスが1分でわかる。
19世紀前後に起こった産業革命以降、工業化により商品の大量供給が可能になりましたが、貧富の差はますます広がり、人々の生活は豊かになるどころか苦しくなるばかり……。労働者を酷使する生産過程の中で新たな価値を生み出す「搾取」のシステム……。資本主義社会に生涯を賭けて立ち向かった革命家・マルクスの代表作のエッセンスを、1分間シリーズとして、わかりやすく解説した1冊です。
量を変えることで、あらゆる商品は等価交換できる。
商品価値には「使用価値」と「交換価値」の二つがあります。使用価値は、使用・消費を通じて欲望を充足させる有用性のことだと定義できます。たとえばパンは食べることで食欲を満たし、本は読まれることで知識欲を満たします。商品は、人間の欲求を満たします。商品は、人間の欲求を満たすことで価値を持つのです。マルクスは、これを「一つの物の有用性‥‥は、この物を使用価値に値する」と言っています。交換価値については、こう述べています。「有用性は‥‥商品なくして存在するものではない。だから‥‥使用価値は同時にーー交換価値の素材的な担い手をなしている」。
昔話のわらしべ長者にあるように、物々交換していくうちに大金持ちになることだってありうる。たとえば読み終わった本と洋服を交換できる(交換価値がある)のは、それぞれに使用価値があるからだというのがマルクスの分析です。最近ではメルカリやブックオフの宅本便など使用済みの商品をお金に変えるサービスが人気を博しています。これも交換価値の考え方がなせる技。金額を変えることで、あらゆる商品はお金に変えることができる(等価交換できる)のです。
労働時間を見る時は個人別の長短でなく、社会全体の平均値を見る。
同じ箸でも、腕の良い真面目な職人は短時間でつくれるのに対し、腕の悪い職人は長時間を必要とします。労働時間によって価値が決まるのなら、後者の箸が前者の箸より高価になるというおかしな話になってしまいます。マルクスはこの疑問に「労働時間」とは個々人の労働時間ではなく、社会全体の平均的な労働時間になると答えています。箸をつくる時間が一人一人違っても、平均すれば、ある量に落ち着きます。その平均的な時間量が、その商品の価値を決めるわけです。
職人が手作りしていた高価な商品も、大量生産が始まると平均的な労働時間が短くなり、価格が下がる。現代のように機械化が進み全ての商品が大量生産されるような時代において、それらには人間の労働時間が織り込まれており商品価格と労働時間がイコールで結ばれるというのがマルクスの考え方です。
お金を貯める人と増やす人は違う。資本家は後者である。
お金があれば必要なものを買うことができます。また、お金は値段が高いか安いか、つまり価値を判断する尺度です。同時にお金は、蓄えることもできます。マルクスは、お金を蓄えることを「貨幣退蔵」と呼んでいます。そして、貨幣退蔵者はお金を貯める人、資本家はお金を増やす人というふうに区別した上で、前者についてこのように書いています。「貨幣退蔵者は、黄金神の為に自分の肉欲を犠牲にする。‥‥多く売って少なく買うということが、彼の経済学のすべてである」。
アメリカ建国の父と言われるベンジャミン・フランクリン氏と、世界で最も成功した投資家であるウォーレン・バフェット氏には共通のマネー哲学があります。「入るよりも出るを少なく」です。当たり前のことですが、これを徹底できれば、収入は少なくてもそれなりに貯蓄できるはず。
資本家は剰余価値を得る為にのみ労働者を雇う。
資本家が工場を建て、機械設備や原材料を買い、労働者を雇用して商品を生産するのは何のためでしょう。マルクスは二つのポイントを挙げています。一つは「使用価値」と「交換価値」を併せ持った商品を生産して、貨幣を得るためです。使用価値があっても交換価値のない商品、つまり売れないものをつくっても、意味はありません。二つ目は使用価値と交換価値に加えて「剰余価値」を持つ商品を作るためです。資本家が目指すのは商品を自分のために使うことでも、他の商品と等価交換することでもありません。資本家が望むのは利益を得ることです。資本家が労働者を雇用するのは、人間労働によって剰余価値を持つ商品を作るためです。
資本家はより多くの利益を得るため雇用した労働者をフルに使って剰余価値を生み出そうとします。それが資本主義社会の病症。最近では働き方改革などが推進されていますが、そのきっかけとなった過労死は今も昔も社会問題として資本主義社会に横たわります。
マルクスの『資本論』が1分間で読める77項目に渡って簡単な説明で記されています。原著は難しくて読む気が起きないという人でもマルクスの考え方がお手軽に理解できます。原著は興味があったらさらに深掘りするために読んでみるのも良いかもしれません。
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