「知性とは発達した大脳皮質をもつ生きものだけが持てるものである」。この常識に日本人研究者が「待った!」をかけた。脳はおろか、細胞同士をつなぐ神経系もない、単細胞でアメーバ状生物の粘菌が迷路で最短ルートを示し、時間の記憶を持ち、ハムレット的逡巡を見せた後、ある判断をする。立派に知性を持つといえるのではないか!この驚きの結果は、いま世界中で注目の的。知性とはなにか、意識とはなにか、身体とはなんなのか、大きな波紋を投げかけている。
粘菌は単細胞生物
粘菌は単細胞生物です。ちなみに、細菌も単細胞生物です。細胞の一つ一つは、ふつう肉眼では見えませんが、粘菌は巨大化して何センチメートルにもなることができます。細胞が巨大化するわけです。この巨大化したものは粘菌の「変形体」と呼ばれるものです。十分大きくなった変形体は、肉眼で見ることができます。運がよければ、森の中で大きい変形体を目にすることができます。肉眼サイズの変形体は、およそ一時間に一センチメートルぐらいの速さで移動します。細胞の中には、核と呼ばれる球体の構造物があります。核の中には、DNAという分子が詰まっています。DNAは、デオキシリボ核酸という物質名の略称です。この分子が、生物の遺伝情報を記録しています。DNAは、アデニン、グアニン、シトシン、チミンという四種類のユニットがひも状につながった細長い分子です。それぞれA、G、C、Tとアルファベットで表します。このユニットが三つ並ぶと、一つのアミノ酸と対応します。たとえば、GAGはグルタミン酸という具合です。アミノ酸には二〇種類ほどあります。DNAが遺伝情報として決めているのは、「どのアミノ酸がどのような順序でつながっているか」です。遺伝情報といっても、たったそれだけです。
単細胞生物でありながら、巨大化して何センチメートルかまで成長することが可能な粘菌。普通は肉眼では見えないほどの大きさなのに粘菌とは不思議なものだ。DNAの情報だってアミノ酸20種ほどというのだから、そんな粘菌に知性があるのかは疑問に思いつつ読み進めた。
動物の脳の中には神経細胞というひものように細長い細胞が、互いにつながりあって網目状になっています。そこに電気信号が流れたり流れなかったりすることでいつの間にか脳は答えを導き出す。この電気信号の中身はいまだ謎が多いが、そのうち解明されたら、僕の統合失調症の症状も電気信号を書き換える機械かなんかで完治するのだろう。
知性という言葉
日本語で言う「知性(智性)」と、英語の「intelligence」では、そもそも、その意味するところが食い違っていても不思議ではありません。これは私の勝手な想像ですが、彼らは「intelligence」を、神様が人間だけに与えたもの、と捉えているようです。欧米では、インテリジェントマテリアルのことを、スマートマテリアルというのだと、後になって聞きました。インテリジェントマテリアルという言葉を用いる欧米人は確かにいます。ただし、物質材料にインテリジェントといっても、「それは本当にインテリジェントですか?」という反論をよこす人はほとんどいないのですが、生物にこの言葉を使うと過敏なほどの反応が帰ってきます。魚類や鳥類はおろか、哺乳類でさえもそうなのですから、アメーバともなればなおさらです。物質科学で用いるときにさほど物議をかもさないのは、人々が明らかに比喩として受け取っているからでしょう。生きものであれば、それがどんなに単純な体制のものであっても、「比喩ではすまされない」という認識が、無意識のうちに作用しているのかもしれません。こんな状況の中で、生物学と物理学の間で研究する者にとって、この言葉をどう捉えたらよいかは日々の研究方針と無関係ではありえません。このことの見定め方によって粘菌のどこに焦点を当てて研究し、論文で何を主張するかが決まってきます。
僕たち人間は物質からできています。そこに知性が生じ、心が生じ「私」という感覚が生まれます。どの人間にも等しく起こる この現象はモノと心の不思議ともいえるでしょう。全ての生物現象は物理現象であり、生物学では、この単なる物理現象をしばしば機能と呼んで生物学的意義を論じる。ある目的に対してそれを実現するように物理現象が起これば、その物理現象は機能を持つといえるでしょう。生物の目的が生存・持続だとすると生物は生存機械であるといえるでしょう。地球上には生存競争や気候の変化に耐えきれず絶滅した生き物が数多くいます。そんな中生き残っている粘菌にも知性があるのではないかという視点は面白い。
粘菌といっても普通の人は「なにそれ?」となるだろう。「なんかの菌?それに知性があるってどういうこと?」そんな素朴な疑問から手に取った書籍だが、読んでいくとその深淵な世界に引き込まれる。単細胞生物に知性はあるのかという疑問に答えてくれる書籍。
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