世界を舞台にして活躍してきた著者が、「世界を知り、人生と仕事を楽しくする方法」のすべてを語った。「国際情勢の読み方」「英語力」「勉強法」など、知れば知るほど世界で活躍したくなる教えが満載。グローバル化を楽しめる「世界人」になるための知恵を伝授。
日本の凋落
日本の凋落は、経済の世界だけではない。先ほど述べた教育の世界でもそうだ。たとえば、日本の大学について。日本中の高校生たちが必死に勉強して入ろうとしている日本の大学は、はたして世界レベルではどう評価されているのか。イギリスの「タイムズ」紙(現在はタイムズ・ハイヤー・エデュケーション誌)が毎年発表している世界の大学ランキングというものがある。二〇一二年に発表された最新のランキングによると、一〇〇位以内に入っているのは東京大学、京都大学の二校のみとなった。数年前まではなんとか四校程度入っていたが、今はわずか二校である。中国は、香港を含めて四校が世界の一〇〇位に入っている。シンガポールも三校、韓国は二校となっている。順位的には東京大学が二七位でアジアのトップを守っているとはいえ、数でいえばすでに、日本は中国、シンガポールを下回っている。しかも今、中国の大学に行くと、「世界一流を目指す」と書かれた赤い垂れ幕があちこちに吊るされている。ライバルは国内ではなく、あくまで世界と位置づけているのだ。このような状況では、いつランキングで中国の大学に抜かれてもおかしくないだろう。
目指すところが日本一か世界一かで、努力の方向性は変わってくる。アスリートでも世界で活躍する人たちは、最初から世界での活躍を念頭に置いてる。サッカーやバスケ、野球など本場の世界の舞台が目標なのだ。しかし勉強となるとまだ国内での競争に終始しているように思う。競争は自由であるべきだし、こうした自由競争の中にこそ良いものや何かを生み出す土壌がある。スポーツにしても、商売にしても競争原理が働く限りそれは進化し続けるのだ。
3.11
二〇一一年三月十一日の東日本大震災は、本当に悲しい出来事だった。多くの人が犠牲になり、その中には明らかに「人災」としかいえないようなものもあった。救える命が救えなかったこと、避けられた事故が起きてしまったことなど、反省すべきことは多々ある。だが同時に、日本が持っている潜在力が示されたことも間違いない。東日本大震災では一万五〇〇〇人以上の方が亡くなり、行方不明者も含めると二万人にもおよんでいるが、津波が押し寄せた地域には約五〇万人もの人が住んでいた。一万五〇〇〇人以上が亡くなられたのはきわめて遺憾だが、逆にいえば四八万人の人が生き延びた。同レベルのマグニチュードの地震が、二〇〇四年にインドネシアで起きている。このスマトラ島沖地震では、推定で二三万人もの人が亡くなったという。もちろん、人口規模の違いはある。だが、日本の約二倍の人口を持つインドネシアで約一五万人もの人が亡くなり、人口二〇〇〇万人のスリランカで東日本大震災を超える三万人以上の人が亡くなったことを考えれば、日本がこれまでやってきた防災訓練等の対策は決して無駄ではなかったとも考えられるのだ。岩手県三陸海岸地域には、「津波てんでんこ」という有名な言葉がある。「てんで」は「てんでんばらばら」のことで、「津波が起きたら、親も親戚もかまわずに逃げろ」という意味である。非常に冷たい言葉に聞こえるかもしれないが、これこそが、一人でも多く生き延びるために考えられた、生活の知恵なのだ。こうした知恵が、日本中の至るところに蓄積されている。
東日本大震災は悲惨であったが、日本人が蓄積してきた生き残る知恵も発揮された出来事である。逃げ遅れる人々がいる中、難を逃れた人が救助される光景は記憶に新しい。
シンガポールに学ぶ
シンガポールの面積は、実は東京二三区ぐらいしかない。一方、購買力平価で測った一人当たり所得は、日本の一・五倍ぐらいある。資源もない小さな島国が、なぜこのような奇跡を起こすことができたのか。かつてのシンガポールは、マレー半島の先端に位置する、きわめて貧しい漁港だった。第二次大戦後もイギリスの植民地時代が続き、そうした中、一九五九年にリー・クワンユーが弱冠三十五歳でシンガポールの初代首相になる。そして一九六三年に、すでにイギリスから独立していたマレー人を中心とするマラヤ連邦らとともに、マレーシア連邦を結成する。ところがマレー人優遇政策をとろうとするマレーシア中央政府の方針に、華人(中国人)中心であるシンガポールは不服で、両者は次第に対立するようになる。最終的にマレーシア連邦から追放される形で、シンガポールは一九六五年に独立するのだ。天然資源の乏しいシンガポールは、当時は十分な産業も育っておらず、独立したといっても、どうやって生きていけばいいかわからない状態だった。それをまだ四十代だったリー・クワンユーが、大変な決意の下、国を導いていく。リー・クワンユーは、まずシンガポールを工業国とすることを目指し、これに成功する。やがて製造業から、より付加価値の高い産業へと産業構造を変化させ、一九八〇年代頃からは金融やサービス業も展開していく。現在は、金融を中心とする最先端のサービス業が主要産業になっている。これを可能にしたのは、一党独裁の下、言論弾圧をはじめ、国民を厳しい管理下に置きながら開発を押し進めたことにある。いわゆる「開発独裁」と呼ばれるもので、国民の自由や政治参加を著しく制限することで、資本の集中投資を可能にし、経済発展を遂げていったのだ。
強いリーダーシップで発展を遂げたシンガポール。日本のも国を引っ張る強いリーダーが必要。与党という地位に胡座をかき政権運営に当たるのではなく、世界レベルの日本へとなるべく導いてくれる人でなくてはならない。そんな人材いるだろうかと疑問に思う今日この頃である。
日本人が世界で戦っていくための条件とは何かを考え、国内だけでなく世界を見据えて活躍する人や国から色々なことを学びます。グローバルという言葉が定着してうん十年たつが、果たして日本にはグローバルな人材はいかほどいるだろうか?と考えさせられる書籍でした。
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