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現代思想をツールとして使いこなす技法をパフォーマンスする!

現代思想は何のための道具なの? 二〇世紀を代表する六人の思想家を読み解き、現代思想をツールとして使いこなす技法をパフォーマンス(実演)する。本書の目的は、現代思想の概説ではなく、現代思想をツールとして使いこなす技法を実演(パフォーマンス)することである。この一冊には、現代思想に貢献した六人の思想家について、案内編と解説編と実践編が含まれている。

フェルディナン・ド・ソシュール

あらためて考えてもらいたい。なぜわたしたちは、ある動物を「イヌ」と呼んでいるのだろう?どうしてその動物を「キツネ」や「タヌキ」や「オオカミ」と呼んではいけないのだろう?大人になってからはともかく、幼い頃には、こうした疑問をもった人も多かったのではないだろうか。それにもかかわらず、わたしたちは成長するにつれて、そんな体験を幼児期だけに認められる言語の混乱として問題にしなくなる。その結果、コトバのほんとうのはたらきは、まったく解明されないまま残されてしまう。そこで、モノとコトバの関係そのものから考えなおしてみることにしよう。わたしたちはたいてい、最初にモノが存在していて、それからそのモノをコトバで名づけると考えている。このモノとコトバの発生の順序は、まず疑われることがない。これをイヌの例で説明すると、「イヌ」と呼ばれることになる動物がまず存在していて、わたしたちはあとからそれに「イヌ」という名称を与えるということになる。しかし、これはほんとうだろうか。なぜなら、ある動物を「イヌ」と呼ぶには、それより前に、その動物が「イヌ」であることを知っていなければならないからである。

確かに大人になると犬を「イヌ」と呼ぶのに何の疑問も持たなくなってしまう。子供の頃なら4本足歩行の動物に対し、これはイヌであり「キツネ」や「タヌキ」や「オオカミ」ではないのかと疑問に思ったことだろう。最近では深層学習などによりAIだって犬や猫を判別できるような世の中になってしまっているが、それも数多くの写真をこれは犬であるとインプットした結果の話。ものと言葉の意味づけはこんな奇妙な関係にあるのだと改めて思う。

ロラン・バルト

インターネット・テクストはここでバルトが書いたテクスト概念をほとんどそのまま具現化している。それは無数のウェブ・サイトとリンクし、ほとんど無限の書き手に開かれ、先行する膨大なデータからの引用と選択と接合を果たしている。ここでは「テクストの起源」を探し求めることはほとんど不可能だし、そもそもそのような望みを持つ人はここにはやってこない。あるデータの起源をたどろうと望むものは、一歩「外へ」踏み出しただけで、無秩序に拡散してゆくハイパーテクストの「蜘蛛の糸(ウェブ)」に絡め取られて挫折を余儀なくされる。まさしく「主体は解体する。おのれの巣をつくる分泌物のなかに溶解してしまう蜘蛛のように」。わたしたちにできるのは、リンクをたどって見知らぬサイトからサイトへ横滑り的に逸脱してゆくことだけである。わたしたちは果てしなく拡がるウェブのなかを「さまよい歩きまわる」だけで、決してテクストの向こう側に「突き抜ける」ことができない。

現在では当たり前となったインターネットも検索が発達する以前はリンクのアドレスを知らないとアクセスさえできなかった。なので雑誌に載っているウェブサイトのアドレスをせっせと打ち込んでそのサイトを見に行ったもんだ。それがやがて検索が普及することにより利便性ははるかに良いものとなりネットサーフィンは地底奥深くから、地表に現れるウェブサイトがメインになった。

ミッシェル・フーコー

ある人が、体調をくずして病院へ行ったとする。その人は病院に入るなり「患者」と見なされ、「患者」と呼ばれはじめる。診察室では「医者」と呼ばれる人が、「患者」に視線を送り、「患者」に質問をし、「患者」の心身を読み取り、その結果を書きとめ、症状に「病名」をつけて、どのような「処置」をするかを決める。この一連のプロセスを経て、「患者」と「病気」は、「治療」の対象として構成され、現実のモノとして存在しはじめる。このケースで「言表」にあたるのは、それぞれの手順に含まれる表現の最小の単位(たとえば、ある人を「患者」と呼び、ある心身の状態を「病気」と呼ぶこと)であり、その言表で構成されるものが「言説」(たとえば「あなたは『カゼ』なので、ゆっくり『休養』を取ってください」という医者の語り口)である。この例からもわかるとおり、言説とは、医者が語ること(語れること――たとえば「カゼ」といった公式名称のある症状)ばかりでなく、医者が語ることはできても、実際には語らないこと(語れないこと――たとえば発明されていない治療法)まで規定する表現のシステムである。

体調を崩して、医者に入った途端、僕らは「患者」となり、「病名」をつけられ薬を処方される。医者はまだ発明されていない治療法について語ることなどないことは周知の事実だが、そこを疑問に思うかはあなた次第。

六人の思想家の、現代思想をツールとして使いこなすための書籍。普段の生活の中で当たり前となっている様々な事象を掘り下げていくと新たな気づきが。現代思想に触れる機会なんて普段の生活ではないので、異空間にトリップする感覚さえある書籍です。

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