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『数字で話せ』斎藤 広達

優れた経営者やビジネスマンほど「会話の中に数字がスラスラと出てくる」。本書は、その技術を「数字が苦手な文系人間」向けに明かすもの。著者の斎藤氏は文系出身ながら独学で数字を操る技術や統計学を習得し、コンサルタントやマーケティングディレクターとして活躍している。そんな氏が「ビジネスのコアスキル」と明言するのがこの「数字で話す」能力だ。自身もかつて、数字が苦手であったからこそ、誰でも使える技術へと落とし込んでいる。たとえば、
「@変換で自分事にして伝える」
「偏差値で意見を通す」
「ファネルで営業を効率化する」
「確率で戦略を語る」
「コンサルタントが使う2ケタ×2ケタの暗算」
など、まさに現場に即した内容となっている。さらに、AI活用やビッグデータ解析など、最新の「数字で話す」技術についても解説。数字やデジタルに対するコンプレックスが解消される!

「みんな言っているよ」のみんなとは、誰?

人の意見というものは必ず「正規分布」ーつまり、良いほうにも悪いほうにも極端な意見が数%は出てきます。そこだけ拾えば、「この商品は全然ダメだ」という結論にも、「この商品は素晴らしい」という結論にも導くことが可能です。もちろん、感覚的な個人の感想を述べてくれることは差し支えないのですが、現場の意見を針小棒大に誇張して、社内の他部門を攻撃する人もいます。過去に実績を上げてきたプライドの高いベテランほど、この傾向が強いのが困ったものです。

数字で話すことができれば、客観視できるのでこうしたノイズを除去することができます。数字を用いて話すことは弱者の戦略と言ってもいいでしょう。感性的な議論において最後に勝つのは必ず「声の大きい人」だからです。声の大きい人とは、「立場が上の人」「年齢が上の人」などです。こうして若い人の意見は握りつぶされ古い人たちに偏った意見が採用されることに。「数字で話す」ことは、そうした状況を一気に打開するための強力な武器となるのです。

「1人当たり」「1個当たり」で見えてくるもの

数字で語る経営者やコンサルタントは、「@変換」という手法をよく使います。つまり、大きな数字を「1人当たり」「1個当たり」の数字や単価に変換する作業です。「数字に意味を持たせる作業」と言うこともできます。たとえば会社の売上を社員数で割ってみる。100億円の売上で社員が200名なら、1人当たり5000万円の売上。仮にライバル社が90億円の売上で社員が150名なら、1人当たり6000万円。自社はまだまだ効率化の余地があるのではないか、と主張することも可能になります。

たとえば月間売上目標まであと500万円と言う月があったとします。営業マンの数で「@変換」すると、営業マン10人なら1人50万円。商品単価が10万円の商品をプラス5個売り上げれば良いと言うことになります。こうした自分事に落とし込むことで、目標を明確に感じ取ることができます。馬鹿でかい数字ほどこの効果は絶大で、たとえば、国家予算100兆円というとピンとこないが、1人当たり100万円といえば数字の意味を理解しやすくなります。

Sカーブを知る

たとえば、ある能力を高めようとすると、まさにこのSカーブを描きながら習熟度が高まっていくものです。どんなものを学ぶ際にも、最初はなかなか効果が上がらず、苦痛なことが多いでしょう。それでも、我慢してトレーニングを繰り返していると、ある瞬間からSカーブの急上昇局面に入っていきます。すると、学んだことが全身に吸収されるような感覚となり、学習効果が一気に高まります。学んでいて非常に楽しい時期です。

勉強をしていて、あるいはダイエットをしていて、このSカーブのような局面に打ち当たることは多いのではないでしょうか。実体験としてそれを乗り越えたことがある人間は、成功体験としてその停滞が何を意味しているのか知っているため、頑張りが効きます。何事も三日坊主に終わる傾向が強い人は、一度Sカーブの上昇局面に至るまで我慢して続けてみることをお勧めします。石の上にも三年です。

ZOZOが派手なプロモーションを連発する理由

オンラインビジネスとはいえ、すべてを「数字」で語れるわけではありません。たとえばZOZOを支えているのは、ファッション高感度な服好きユーザーでしょう。ただし、先に言及した通り、社会全体の意識はサステナビリティに向かっています。新品の服を毎年何枚も買って捨てる消費パターンは、これからも続くか疑問です。最先端ファッションを追いつつも、何度か着たらメルカリに出品する。そこまでファッション感度が高くない層は、そうして出品された中古の服でおしゃれを楽しむ。このエコシステムが確実に回り始めています。

最近、またハイブランドの商品が若者に支持され始めているそうです。理由はハイブランドのものなら、着なくなった、あるいは旬を過ぎたと感じる商品でもメルカリで出品すれば結構な高額でSold Outするからだそうだ。10万円の洋服でも着なくなった時5万円で売れればその洋服は5万円で買ったようなものだからと言う訳です。

文系人間でも数字に強くなくては生き残れない時代。積極的に数字で話すことによって説得力の向上に!特に数字に特化したスキルを持っていなくても、それなりに数字を操れるようになります。根っからの文系の僕のような人にも優しい書籍です。

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