コミュニケーションがうまくいく秘訣は、好かれる文章です。実際に話すより、ネット上の文章のやりとりが日常の多くを占めています。本書では、言葉選びのコツから、何を書くのか、書くときにやってはいけないことまで53のポイントを紹介。メールにSNS、ブログまで、つい読んでしまう感じがいい文章の秘密を、言葉のプロが大公開。
悪意があるわけではないけれども嫌われる文章
「自分はプロの作家ではないので、本なんて一生書かないし、ブログもやっていないから文章が下手でも関係ないです」と言う人がいます。関係ないことはありません。自分の文章に無頓着は人は、読み手の気持ちをさかなでします。たとえば、知り合いにおいしいお店に連れて行ってもらったら、作家でなくても、誰でもお礼状を書きます。この時、「連れて行ってもらったレストランが、ちょうどすいててよかったです」というお礼状を送ったらどうでしょう。読み手は「すいてて、よかったって‥‥(すいている店に連れて行って悪かったね)」と嫌な気持ちになります。描いた本人は、まったく悪気がありません。悪意なく嫌われる文章を書いているのです。お店の人にそのお礼状を送ったら、「すいている店で悪かったな」と、ムッとされるのは当然です。
ではこの場合どのような文章が正解か?文章で好かれる人は「静かなお店に連れて行っていただいて、ありがとうございます。ゆっくりお話ができました」とか「落ち着いたお店」「大人のお店」などというワードを使ってお礼状を書きます。文章による表現力やボキャブラリーが多いだけで見違えるほどの文章に。上司やなんかに食事に連れて行ってもらった際のお礼のメールなどでも差がつくでしょう。
好かれる文章は現在形
お世話になった人には、「今日はありがとうございました」よりも「ありがとうございます」と書いた方が好感を持たれます。「ありがとうございました」は、冷たい言い方です。ここでいったん、関係が終わるような感じを与えてしまいます。「今日はごちそうになりました。ありがとうございます」と言う方が、次の機会がある感じがするのです。好かれる文章は、過去形ではなく、現在形で書かれています。
普段から過去形を多用している人は、知らず識らずのうちに、相手を遠ざけている可能性もあります。印象の問題ですが、これは極めて大切な部分。100人のうち99人が「ありがとうございました」と書いているとしたら、「ありがとうございます」と現在形で書くだけで100人中の1人に抜きんでることができるので、皆さんはこれから現在形を意識して使ってみましょう。人間の心理的により近くに感じるのが現在形です。
手紙は、短い方が、急いで書いてくれたうれしさがある。
手紙を書く場合は、便箋より、はがきの方がいいです。短い方が、ホンネなのです。はがきは、相手と自分の名前を書くと、本文は1〜2行しかありません。文章を短くすることで、読み手のイメージが膨らみます。手紙は長いという印象がありますが、ほとんどが定型分の文章であの長さを保っているのです。便箋を2枚埋めようと思うと、定型文を混ぜないと書けません。時候の挨拶と締めの言葉を書くのは、手紙のマナーとしては正しいです。好かれる文章はマナーとはまた別のところにあります。どんなにマナー通り書かれていても、定型文だけでなんの個人の思いも入っていないものでは、好かれる文章にはなりません。だからこそ短く書くことが大切なのです。
はがきや手紙でなくとも、メールやSNSなどでも短い文章が好まれる時代となってきています。長文メールは一切読まないという徹底した人もいます。短い文章で思いを伝えられるなら、その方がより相手に刺さる場合が多いような気もします。よく句点がなかなか文章中に現れないと冗長でイライラするという人も。行が変わる前までに「。」を打つ。ぐらいの心構えでいる方が、読み手に優しい文章と言えるかもしれません。
「返事は結構です」は、返事を催促しているように捉えられる場合も
「返事は結構です」と書く人がいます。そもそも「返事は結構です」と書かなくていいのです。返事をするかどうかは相手が決めることです。「返事は結構です」は、「返事をください」という催促です。意識のレベルでは違っても、無意識のレベルでかまってほしいのです。
「返事は結構です」以外にもかまってちゃん臭が漂うのは「長文ですのでお時間があるときにお読みください」という文章。でも忙しい人はそんな長文読みません。しかし、この注意喚起があることで、「絶対読んでね」と言われているようでなんだか拘束されている気分にさせてしまうかも。絶対読んでほしいなら、短くまとめて文章を書くべき。
みなさんが日々書き連ねている文章が、好かれるものなのかどうかは気になりますよね。この書籍は無意識のうちに嫌われる文章を書かないための、教科書です。ちょっとした言葉のチョイスの違いで相手にイラっとされたりしないためにも読んでおくとよいでしょう。特に普段は文章を書くということをあまりしない人が陥りがちな罠に気づかせてくれます。
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