『サピエンス全史』のユヴァル・ノア・ハラリ大絶賛!
「国家がいかに危機を乗り越えたか? 明快な筆致に引き込まれる。本書は、地球規模の危機に直面する全人類を救うかもしれない」
遠くない過去の人類史から何を学び、どう将来の危機に備えるか?
国家的危機
危機対応における国家と個人の類似点と相違点を論じる前に、つぎのような思考実験をしてみよう。世界中から無作為抽出された個人を比較したとする。さまざまな理由──大きく分類すれば、個人的、文化的、地理的、遺伝的──で、それぞれの個人は異なっているはずだ。たとえば、一月のある日の午後に、五人の男性が上半身に身につけているものを比較してみよう。その五人は、北極圏の北方で伝統的な生活をするイヌイット、私が暮らすロサンゼルスの街角にいるふつうのアメリカ人二人、ニューヨークのオフィスで仕事中のアメリカ人の銀行頭取、そして、ニューギニア低地の熱帯雨林で伝統的な生活をするニューギニア島民だ。地理的理由により、イヌイットはフード付きの暖かい毛皮の防寒着を着ているだろう。アメリカ人三人はシャツは着ているが、毛皮の防寒着は着ていないはずだ。ニューギニア島民は上半身に何も身につけていないだろう。文化的理由により、銀行頭取はネクタイをしめているが、ロサンゼルスの街角の二人はノーネクタイだろう。個人的理由により、ロサンゼルスの二人の男性は異なる色のシャツを着ているかもしれない。もし問題が上半身の服装でなく彼らの髪の色だったら、遺伝的理由もかかわってくる。
日本は島国であり敗戦国であるのでそれが国民に根付いている。文化的発展や、経済などもこの島国という独特な条件により他の国とは違う土壌が形成されている。世界をサンプルした場合日本人はレアケースに値するのかもしれない。それが様々な分野でここ最近の停滞を生み出しているようにも思う。
疑問
国家的危機は、暴力革命による大変革(一九七三年のチリ、一九六五年のインドネシア)になる場合と、平和的な漸進的変化(戦後のオーストラリア)になる場合がある。明治日本の変革は、後者にやや近い中間といえる。幕府による政治は、一八六八年一月三日にほぼ無血のクーデターによって終わった。徳川慶喜自身ではなく、旧幕府を支持する一部の者が抵抗し、一年半にわたる内戦の末に旧幕府軍は敗北した。だがこの内戦による死者は、一九六五年のインドネシアのクーデターとその後の反クーデターによる死者や、一九七三年のチリのクーデターとその余波による死者、一九一八年のフィンランド内戦の死者と比べてかなり少ない。ナチスドイツといえばヒトラー、一九七三年以後のチリといえばピノチェト、一九六五年以後のインドネシアといえばスハルトだが、明治維新には、そのように突出した指導者はいない。明治時代のどの時期をみても、それぞれ複数の指導者がいる。一八八〇年代には少しずつ指導者が入れ替わっていった。さまざまなタイプの指導者がいたが、共通していたのは西洋世界をじかに知る経験があったことだ。いずれの指導者も諸外国から手本となるものを選び取り、富国強兵をめざすという基本戦略に専念した。天皇は、実際の指導者というより、象徴的で名目上の政府指導者という立場を変えなかった。
日本の戦後をリードする力強いリーダーがいなかったというと意を唱える人はいるかもしれないが、実際世界と比べてみるとそう言わざるを得ない。
国債
日本が抱えるもっとも深刻な問題を問われれば、経済学者たちはおそらく「巨額の国債発行残高」と答えるだろう。それは、日本の年間GDP、つまり一年間に日本で生み出された付加価値の約二・五倍に相当する。つまり、たとえ日本人が自分たちのための生産活動を差し置いて国債を完済すべく収入と労力のすべてを費やしたとしても、二年半かかる。さらに悪いことに、発行残高は年々増えつづけている。比較のために述べると、アメリカの財政保守派は米国債の残高を非常に懸念しているが、それはまだGDPの約一倍 でしか ない。ギリシャとスペインは経済に諸問題を抱えていることで悪名高いヨーロッパの二国だが、日本の国債発行残高(対GDP比)はギリシャの二倍、スペインの四倍である(本書執筆時点)。日本の発行残高はユーロ圏一七カ国の債務残高合計に等しいが、ユーロ圏の総人口は日本の三倍である。これほどの負債がありながら、日本の政府がずっと前に崩壊、あるいはデフォルトしなかったのはなぜか?第一に、日本の国債は外国人ではなく日本の個人、日本企業や年金基金(運用額の大部分は国民年金の積立金)、日本銀行であり、いずれも日本政府に対して強硬な態度をとることはない。対照的に、ギリシャ国債の保有者は外国人であり、ギリシャに対して強硬な態度をとり、財政政策の変更を迫った。日本人が保有する国債はあるが、日本は他国に対しては債権国であり、それらの国は日本に対して債務を負っている。第二に、日本はマイナス金利政策をとっている。最後に、日本人債権者と外国人債権者は現在も日本政府の債務返済能力に強い信頼を寄せており、国債を買いつづけている。実際、国債こそが、日本の個人と企業の貯蓄の主たる投資先である。
日本の借金はほぼ国民の貯蓄額で賄えるのでギリシャのようなことにはならないだろうが、実際そうしたことが起こったら混乱は避けられないだろう。安全な投資先として依然人気な国債がリスクにさらされるのはどうかと思う。
危機的状況から脱した、7つの国の事例から人類の未来を読み解いていく書籍。『サピエンス全史』のユヴァル・ノア・ハラリ大絶賛!ということで買ってみた(間違ってKindle版と紙の本、両方注文してしまいましたww)が期待が高かった分落胆も。
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