いかにして持続可能な社会インフラとするか
◆数少ない国内成長産業に位置づけられる医療分野について、医療機関の経営とファイナンスに関する基本的な知識を解説した入門書。
◆医療機関における事業性の見方、地域性の特徴、事業体としての特性、事業展開の方法、ファイナンス手法、医療体制の現状と課題など基本的かつ重要な内容をわかりやすく解説。
◆統計・資料に示される客観的事実と金融実務の現場からの実感を複層的に考察。
◆医療機関を取引先にもつ金融機関の渉外担当者、医療施設の経営管理者等必読の書。
資金調達に関する基本的な考え方
日本の病院の約85%は、国および自治体が運営する公的病院「以外」の病院です。こうした病院を運営する医療機関は、よほどの内部蓄積がない限り、新規の大型投資を行う際に金融機関等からの借入れを実施しなくてはなりません。 その際のポイントの一つが、 ① 「税引後の医療機関の利益に減価償却費を加え、かつ恒常的に必要な維持投資金額などを差し引いた金額」(=A)、および ② 「医療機関の長期借入金残高」(=B) のバランスとなります(図表2−1)。 健全な経営を実施している医療機関の場合、B÷Aの水準(非常に簡略化していますが、いわゆる「償還年数」という概念に近いもの) がたとえば5倍程度で推移しているかもしれません。しかし、ここで乾坤一擲の大投資を行おうとして、この数字がたとえば30倍程度の水準になってしまった場合、金融機関はなかなか融資条件が出せないでしょう。
こうやって見ていくと、病院経営も他の企業などと同じで、融資条件を満たすのは大変なのがわかる。これから大型の病院の老朽化による建て替え時期となると一層困ったことになる病院は多いはず。
バランスのとれた設備投資を行なっていくために
経営を一定のレベルに保ちながら、施設更新も含めて適切な運営を行っていくことが、地域医療への貢献という意味でも不可欠であることは、各医療機関も十分に認識をしているところです。その意味でも、地域の医療環境における当該医療機関の役割・特徴などを十分把握したうえで、本書で述べていく議論を繰り返し行っていくことは、医療機関・金融機関双方にとって重要な行為として理解すべきと考えています。 実際に、本書でテーマとしている「再投資可能な」医療経営というのは、単純に、単年度の黒字・赤字およびキャッシュフロー水準だけをみた経営ではなく、バランスシートも含めたうえで、適切な経営判断や事業計画策定を行い、しっかりとした設備更新などを行っていけるような「医療経営」という意味です。こうした経営を医療機関自身が実施していくうえで、それを金融機関等の第三者が、医療環境等に関する十分な知見ももちながら、事業運営のサポートをしていくことの重要性は、今後もさらに増してくるものと思います。
病院側も経営に長けた人物がトップだと何の問題もなく経営はうまくいくだろう。それとビジョンをしっかり持ったカリスマ的医者がトップでも成功する事例は多いようだ。設備投資の際もどれだけ融資を受ける対象に熱弁を奮えるかも大事な要素の一つのようだ。
医療機関のBCP対応
医療機関のBCP対応 BCPは「事業継続計画」と訳され、「災害や事故等の発生により業務が中断を余議なくされた場合に、事業への影響を最小限に抑えるために、社会に与える影響の大きい業務を優先的に継続・早期復旧を図るべくあらかじめ決めておく計画」のことをいいます。 医療機関にとってのBCPは、近時大きなトピックです。病院というのは、やはり公共性の強い施設であり、その位置づけは、一般的に大きなものとみられているからでしょう。そして、医療機関の場合、非常時に医療機能が低下するにもかかわらず、入院患者への対応等で一定水準を確保しなければならないことに加え、通常時を上回る医療需要が発生する点で、他業種と異なる特徴を有しています。 東日本大震災前には、なかなか認知度の上がらない分野ではありましたが、現在は違います。ただし、震災前の内閣府によるアンケート調査でも、医療機関は「部署間連携が難しい」という課題についていちばん回答率が高く、これは他業種の回答結果を上回るものでした。 なお、ハード面についても、「医療機関の耐震化に関する2005年度調査」では耐震化率(すべての建物に耐震性がある病院の場合)が36%、2009年度調査でも全体で56%と耐震化は進められているものの十分ではない状況でしたが、耐震化補助金の交付による建替え・増改築等が増加していることから、改善はある程度進んでいるものと推測されます。
これからは超高齢化社会、病院にかかる患者数もどんどん増えていくことだろう。在宅医療に移行したい国と、治療を受けたい患者の間で、需要と供給のバランスが取れればいいが、病院不足はこれからの課題となるだろう。僕の家のそばにあった大学病院は、新しい土地に大規模なビルを建てリニューアルして患者を受け入れている。最近では、大学の経営も少子化によって厳しくなっている中、随分思い切ったものだと思ったが、近隣住人としては歓迎したい。
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