お願い、お詫び、議事録、志望理由など、私たちは日々、文章を書いている。どんな小さなメモにも、読み手がいて、目指す結果がある。どうしたら誤解されずに思いを伝え、読み手の気持ちを動かすことができるのだろう?本書では小論文指導のエキスパートが、「意見」「望む結果」「論点」「読み手」「自分の立場」「論拠」「根本思想」の七つの視点から、よい文章を書くための戦略をアドバイスする。自分の頭で考え、他者と関わることの痛みと歓びを問いかける、心を揺さぶる表現の技術。
自分を自分らしく外に向かって発現する
私たちは、いざ自分で自由に考えてよいと言われると、不安になる。文章を書くのが苦手という人のほとんどが、どう書くか以前に、何をどう考えていけばよいかで、つまずいている。だから、自分を自分らしく外に向かって発現するために、さらに、自分の書いたもので相手を揺り動かすために、「何と何を考えればよいのか」、それらを「どう考えていけばよいのか」を、本書は具体的な方法として提案する。ちょっとした方法を手に入れるだけで、あなたの文章は確実に進歩するだろう。ただ、方法を手にしても、考えることは、もともと孤独で辛い作業だ。考えて、問題点がはっきりしたとしても、それは予想以上に厳しい現実かもしれない。例えば、想像以上の相手との距離、非力な自分の立場、これが自分かと疑うような本心に気づくことになるかもしれない。しかし、それでも思考を前にすすめたとき、見えてくるのは、他のだれでもない「自分の意志」だ。さらに、自分の意志を書き表わすことによって、人の心を動かし、望む状況を切り開いていけるとしたら、こんなに自由なことはない。本書を踏み台に、そういう自由をあなたに味わってほしい。
考えることは孤独な作業というのは同感。ある問題について考える時、人の意見やなんかに左右されることはあっても、結局、決めるのは自分自身。書くことによって自分の意思を表すという作業を繰り返していく。これが間接的に人の心を動かしたり望む状況を切り開いたりするとしたら‥‥。是非みなさんも、書くという作業で自由に自分自身を味わって欲しい。
言葉で結果をイメージする
自分が書いたもので、読み手にどういう価値を提供したいのか、読み手や状況がどうなっていくことを望むのかが、明確にイメージできればよいのだが、慣れないと難しい。そこで、こんないい方法がある。自分が書いた文章を読み終えたとき、読み手に、どう言ってもらいたいか、その言葉で結果をイメージするのだ。これなら、結果を具体的に描きやすい。これは、私が企業にいたとき習い、出版物をつくるときに効果をあげていた方法だ。例えば、後輩に仕事のやり方を書くとき、読んだ後輩にどう言ってほしいか?次の、どの言葉を望むかで、書き方も変わってくる。〈読んだ人から聞きたい言葉〉 とてもわかりやすかった! 大変、責任の重い仕事だな、と気が引き締まりました。 面白そう!この仕事が楽しみになりました。 それぞれの工程で、やることに意味があるんだな、と思いました。納得して取り組めます。このような反応をイメージして書き始めるだけで、仕事の指示書は、コミュニケーション性を強く帯びてくる。書き方を工夫するだけでいく通りもの価値を伝えることができ、書き手のオリジナリティが生かせるというわけだ。
僕は数年前からブログに読んだ本の感想をアップするようになったわけだが、最初は、自分の読書記録として始めたものが、今では大勢の人の次に読む本の参考にまでなるように。自分が読んだ本を他の人が読むことがこんなに楽しいことだとは始めた当初は思わなかった。読書記録も兼ねているので、つまらなかった本も紹介しているのだが、それも踏まえて活用していただければと思っている。なおその本の魅力を引き出すために引用を多用しているので、そこはあしからず。
勝手がわからないため、置いてきぼりにされること
こんな光景をみた。東京郊外のコーヒーショップ、昼下がりのすいた店。明らかに地方から来たようすの老夫婦が、じっと客席で待っている。いつまで待ってもウェイトレスが注文をとりにくるはずはない。そこはセルフサービスの店だから。東京ではあたりまえになっているスターバックスやドトールのようなセルフサービスの店だが、私の実家のある田舎には1軒もない。喫茶店では、注文は席にとりにきてくれるものだし、お金は後で払うもの、地元の人はそんな常識の中で暮らしている。初めての人のためには、店の前に、「はじめに注文し、飲み物を受け取ってから、お席へどうぞ」と案内板があればいいのだろう。でも、よくわかっていて、それがあたりまえになっている人の間では、「わからない人がいる」ということが、なかなか想像できないものである。前提のちょっとした勝手がわからないために、おいてきぼりにされるという事は、日々のサービスや、コミュニケーションの中でたくさん起こっている。あなたの書く文書の読み手をこのような「おいてきぼり」にしないために、「2歩前提に引いて見ること」を提案したい。自分の書いたものを、人が見たらどうか、おかしくないだろうか、と1歩引いた視点でチェックするのは、だれもがやっている普通の推敲だ。ここではそこに留まらず、さらにもう1歩引いて、自分があたりまえと思っていることをわからない人もいるのでは?と想像してみることが肝心だ。初歩的なところで話に入ってこられない人がいることを事前に想定して、その人たちが、すんなり入ってこられるように、案内板や、はしごのようなものを、文中に用意してあげる。これができるようになれば、あなたの文章は、数段、人に読まれやすくなる。
このコーヒーショップと同じことをファミレスで経験したことがある。普段ファミレスを使用しない僕は、メニューを決めたのちベルを鳴らすのがわからず、ずっと店員さんが近くを通るのを待っていた。しばらくたってベルの存在に気付きオーダーを済ませたのだが、その旨をどこかに大きく書いておいて欲しいものだ。
文章を書くことを生業とする人もそうでない人も、伝わる文章を書けると格段に人生が豊かになる。コミュニケーションの一つとして文章を捉えると、ものを書く機会というのは意外と多い。心揺さぶる文章を書けるように今一度、自分の文章に対する姿勢を見直してみては?
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